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休日は身体活動量が増える? それとも減る? 休暇中の運動量や睡眠時間などを調査

2023年08月25日

仕事の束縛から解放された休暇に、人々はどの程度の身体活動を行っているのだろうか? 今回紹介する論文の著者によると、これまでにこのような視点で行われた研究はほとんどなかったという。研究の結果、休暇中には睡眠時間、軽強度運動、中~高強度運動の時間のいずれもが休暇前より増加し、座位行動は減少して、休暇が終了した後にもしばらく影響が続く、または過剰補正され悪化することが示されたとのことだ。ただし、休暇が3日以下の場合、睡眠時間への影響は限定的とのこと。オーストラリアで行われた研究であり、日本の一般的な労働環境への外挿は難しいかもしれないが、要旨を紹介する。

休日は身体活動量が増える? それとも減る? 休暇中の運動量や睡眠時間などを調査

「運動する時間がない」という主張は、確かにそうかもしれない

生産年齢にある成人の多くは、労働のために個人の裁量で使える時間が限られている。標準的な平日には、起きている時間の約半分を実労働時間が占め、さらに世界の労働者の平均的な通勤時間である約1時間(日本はより長いと報告されている)が別にかかる。これら以外の時間にも、家事、家族の世話、何らかの付き合いへの参加などの用事があり、残りの時間はわずかであって、保健指導の際に運動を勧めても「時間がない」と答える人が少なくないことは、実際そのとおりということも可能だ。もし、運動のための時間を確保するとなると、もともと少ない仕事以外の時間で行う何かの時間を削らなければならない。

一方、休暇中には、起きている時間の半分以上を占めていた労働から解放され、個人の裁量で使える時間が増える。この休暇中に何をして過ごすかは、その人の人生や健康を大きく左右する可能性がある。これまで多くの研究が、休暇の取得が精神的・肉体的な健康や幸福に与える影響を調査している。一般に、休暇の取得は主観的健康観や幸福感の前向きな変化と関連しているとされ、一方で、過食などの好ましくない変化との関連を指摘した研究もある。ただし、休暇取得中に人々が24時間をどのように使っているのか、睡眠時間や身体活動はどのように変化するのかというストレートな疑問に答え得るデータは、意外なほど少ない。

オーストラリア成人の行動を13カ月にわたって観察

この研究は、オーストラリアにおいて成人を対象に13カ月間にわたって毎日24時間の行動に関する情報を収集した前向きコホート研究「Annual Rhythms In Adults' life and health;ARIA」のデータを用いて行われた。

ARIAの研究参加者は18~65歳の375人。参加者には研究期間中の毎日、入浴、水中作業、充電中を除いて、ウェアラブル活動量計である「Fitbit Charge3」を利き腕でない腕に装着して生活してもらった。なお、妊婦や埋め込み型医療機器を使用中の患者、ライフスタイルに影響を及ぼし得る疾患罹患者は除外されている。また、Fitbit Charge3の精度については、睡眠については睡眠ポリグラフ検査との相関がr=0.73、消費エネルギー量については二重標識水法との相関がr=0.84などと報告されている。

このFitbit Charge3のデータに加えて、休暇の過ごし方を四つから選択してもらう質問(家族や社交でのイベント〈観光名所の訪問、娯楽イベントへの参加、宗教的または文化的行事〉、休息とリラクゼーション、屋外レクリエーション〈ハイキング、スポーツ、釣り、ボート遊び、キャンプなど〉、非レジャー活動〈誰かの世話、家事、病気の治療〉)や、雇用状況・家族構成・世帯収入などに関する質問の回答データも解析に用いられた。なお、研究参加者には100ドルの謝礼が支給され、希望次第でFitbit Charge 3と体重計を研究終了後にも利用できた。

解析対象者の特徴と休暇取得状況

研究参加者375人のうち、解析に必要なデータがそろったのは308人だった。年齢は40.4±5.6歳、男性44.8%であり、喫煙者率はオーストラリアの一般人口とほぼ等しく、被雇用者の割合は一般人口よりやや高く、教育歴もやや長いという特徴があった。

全体で合計806件の休暇が取得されていた。1人につき年平均2.6±1.7回であり、1回の休暇日数は12.1±14.1日だった。最も一般的な休暇の過ごし方は、屋外レクリエーション(35.2%)で、次いで、家族や社交でのイベント(30.6%)、休息とリラクゼーション(17.1%)、非レジャー活動(16.6%)だった。

休暇前から休暇中、休暇終了後の行動の変化

睡眠時間は休暇中から休暇終了後もしばらく長い状態が維持

休暇中、睡眠時間は休暇前と比較して4.4%有意に増加していた(+21分/日、p<0.001)。この有意な増加は、休暇終了後2週間目まで持続し(1週目は+8分/日、2週目は+7分/日)、その後は休暇前の値に戻った。

座位行動は休暇中は減少するが、休暇終了後には休暇前より増加

座位行動は、休暇前に比較して休暇中に-4.6%有意に減少した(-29分/日、p<0.001)。一方、休暇終了後の変化については睡眠時間とは対照的に、休暇前のレベル以上に0.7%有意に増加するという(+5分/日、p=0.022)、好ましくない影響が認められた。

軽強度運動は休暇後に減少し、中~高強度運動は休暇中にやや増加

軽強度運動は休暇に入るとわずかに増加し、休暇終了後は4週目まで有意に低下していた。一方、中~高強度運動は休暇中に13.2%有意に増加し(+5分/日、p<0.001)、休暇終了とともに休暇前のレベルに戻っていた。

休暇の日数による違い

休暇中の時間の過ごし方は休暇の長さによって異なっており、総じて休暇が長ければ長いほど、睡眠時間は長くなっていた。例えば、8~14日の休暇では睡眠時間が休暇前より+26.8分/日増えていたが、3日以下の休暇では有意な変化はみなれなかった。

座位行動時間の変化が最も大きかったのは、4~7日の休暇であり-46.3分/日減少していた。

健康のためには、休暇のとり方にもコツが必要かもしれない

論文の結論は以下のようにまとめられている。

「休暇中に、運動行動の好ましい変化、つまり身体活動が増え、座位行動の減少が観察され、これらの変化は4日~2週間の休暇において最も顕著だった。また、休暇終了とともに中~高強度運動は休暇前のレベルに戻った一方で、座位行動や軽強度運動は休暇中に見られた好ましい変化が過剰に補正されて、好ましくない状態になっていた。休暇日数によってこれらの反応が異なることも明らかになった。これらのデータは、休暇の健康上のメリットや留意点に関する新たなエビデンスとなり得る」。

文献情報

原題のタイトルは、「How do 24-h movement behaviours change during and after vacation? A cohort study」。〔Int J Behav Nutr Phys Act. 2023 Mar 1;20(1):24〕
原文はこちら(Springer Nature)

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