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死亡者の1.5%は「身体不活動」が原因か 204カ国・地域、過去30年のデータ解析

世界の疾病負担研究(GBD)のデータを用いた解析の結果、2019年には死亡者の1.5%が身体不活動が原因で死亡していたとするデータが報告された。疾患別にみた場合、2型糖尿病による死亡に対する身体不活動の影響が大きく、死亡者の8.8%を占めるという。

世界の死亡者100人のうち1.5人は「身体不活動」が原因 204カ国・地域、過去30年のデータ解析

世界の疾病負担研究(GBD)データを用いて身体不活動の影響の変化を分析

身体活動が種々の疾患リスクや死亡リスクを抑制することは既に十分明らかになっており、世界保健機関(World Health Organization;WHO)をはじめ多くの国の行政府が、身体活動を奨励することを目的としたガイドラインを発行している。それにもかかわらず、多くの国の国民は身体活動を十分行っていないことが報告されている。2009年には、仮に世界の人々が運動不足を解消したとしたら、世界の平均寿命が0.68年は伸びるとする研究結果が発表されている。

今回紹介する論文の研究は、最新の世界の疾病負担研究(global burden of diseases, injuries, and risk factors study;GBD)のデータを用いて、過去約30年間で世界中の人々の身体不活動による疾病負担がどのように変わってきたかが検討されている。なお、GBDはWHOなどの複数の国際的研究期間が共同で行っている研究であり、疾患やライフスタイルによる死亡や生活の質(quality of life;QOL)への影響を定期的に調査している。

身体不活動の影響が明らかに

GBDでは、1週間あたりの総代謝等量(metabolic equivalents;MetS)により身体活動量を定量化している。600METs・分/週未満を低身体活動とすることが多いが、このカットオフ値は身体不活動に起因する健康障害のすべてを把握可能とは言えないため、本研究では既報研究で示されている、理論上の最小リスク暴露レベル(theoretical minimum-risk exposure level;TMREL)を3,000~4500METs・分/週と定義し、それ未満を低身体活動としている。

また、身体不活動の影響は、全死亡(あらゆる原因による死亡)、虚血性心疾患、虚血性脳卒中、2型糖尿病、大腸癌、乳癌による死亡、およびDALYs(deaths and disability-adjusted life years. 疾患により失われる健康寿命)で評価した。

では結果を見ていこう。

身体不活動に起因する死亡リスクの現状と推移

2019年の1年間で、身体不活動は世界で83万人(95%不確定区間〈95%UI〉;43万~147万)の死亡に寄与しており、1990年から83.9%(69.3~105.7)の増加が示された。これを年齢標準化して10万人あたりでみると、2019年の身体不活動に関連する死亡は11.1人(5.7~19.5)だった。1990年からの推移については、2019年までの間に、身体不活動に関連する年齢標準化死亡率は-25.9%(-30.9~-17.0)低下していた。

年齢標準化した集団寄与割合(population attributable fraction;PAF)としてみると、2019年は1.5%(0.8~2.6)であり、これは世界の1年間の死亡者100人のうち1.5人は、身体不活動が関連して亡くなっていることを意味する。この集団寄与割合(PAF)は1990年から2019年の間に12.2%(5.4~25.0)上昇していた。

2型糖尿病のみ、身体不活動による死亡への影響が有意に増大

次に、10万人あたり年齢標準化死亡率を疾患別にみると、身体不活動の関連した死亡者数が最も多い疾患は虚血性心疾患で6.5人(2.4~13.3)、次いで虚血性脳卒中が2.1人(0.4~5.3)、2型糖尿病1.6人(0.8~2.7)、大腸癌0.8人(0.2~1.5)、乳癌0.1人(0.1~0.2)だった。

これらの1990~2019年の推移をみると、2型糖尿病と大腸癌以外のすべての疾患は、身体不活動による年齢標準化死亡率が有意に低下しており、大腸癌も非有意ながら低下傾向にあった(-6.7%〈-13.1~3.2〉)。それに対して、身体不活動による2型糖尿病の年齢標準化死亡率は有意に上昇していた(9.3%〈2.6~17.3〉)。

身体不活動の死亡に対する影響を年齢標準化した集団寄与割合(PAF)でみた場合、2019年の疾患別最高値は2型糖尿病であり8.8%(4.4~14.5)だった。これは、2型糖尿病で亡くなる人の10人強に1人は、身体不活動のために亡くなっていることを意味する。身体不活動による年齢標準化PAFが次に高い疾患は大腸癌であり5.6%(1.6~10.7)、以下、虚血性心疾患、虚血性脳卒中、乳癌だった。

身体不活動に起因するDALYsへの影響の現状と推移

2019年の1年間で、身体不活動は世界で1,575万(同8.52~28.62)のDALYsに寄与しており、1990年から82.9%(65.5~112.1)の増加が示された。これを年齢標準化して10万人あたりでみると、2019年の身体不活動に関連するDALYsは、198.4(108.2~360.3)だった。1990年からの推移については、2019年までの間に、身体不活動に関連するDALYsは-18.3%(-25.2~-5.5)低下していた。

年齢標準化した集団寄与割合(PAF)としてみると、2019年は0.6%(0.3~1.1)であり、1990年から2019年の間に24.5%(14.0~44.0)上昇していた。

2型糖尿病のみ、身体不活動によるDALYsへの影響が有意に増大

次に、10万人あたり年齢標準化PAFを疾患別にみると、身体不活動の関連したPAFが最も高い疾患は虚血性心疾患で96.4(33.5~210.8)、次いで2型糖尿病55.9(27.2~97.6)、虚血性脳卒中が31.2(5.7~82.0)、大腸癌12.6(3.4~24.2)、乳癌2.4(1.2~4.2)だった。

これらの1990~2019年の推移をみると、2型糖尿病と大腸癌以外のすべての疾患は、身体不活動による年齢標準化DALYsが有意に低下しており、大腸癌も非有意ながら低下傾向にあった(-7.5%〈-13.9~2.3〉)。それに対して、身体不活動による2型糖尿病の年齢標準化DALYsは有意に上昇していた(24.3%〈16.8~32.3〉)。

身体不活動のDALYsに対する影響を年齢標準化した集団寄与割合(PAF)でみた場合、2019年の疾患別最高値は2型糖尿病であり7.0%(3.4~12.0)であり、続いて虚血性心疾患と大腸癌が4.3%、虚血性脳卒中が3.9%、乳癌が1.0%だった。

上記のほかに、国や年齢によって身体不活動の死亡やDALYsに対する影響が大きく異なることも明らかになった。著者らは、「身体活動を促進するための効果的、かつ対象を絞った緊急の取り組みが必要とされる」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Global disease burden attributed to low physical activity in 204 countries and territories from 1990 to 2019: Insights from the Global Burden of Disease 2019 Study」。〔Biol Sport. 2023 Jul;40(3):835-855〕
原文はこちら(Termedia)

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