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味覚感度の数値化に成功、実用化すれば個人の味覚を客観的に評価できることが可能に

味覚を受けとる遺伝子の解析と客観的・統計的な味覚検査を組み合わせることにより、個人の味覚感度を数値化することに成功したとする研究結果が報告された。大阪大学などの研究グループの研究によるもので、「Nutrients」に論文が掲載されるとともに、同大学のサイトにプレスリリースが掲載された。苦味を受けとる遺伝子のタイプによって、苦味の感度は大きく異なっていたという。

味覚感度の数値化に成功、実用化すれば個人の味覚を客観的に評価できることが可能に

研究の概要:味覚の評価は主観的な指標に頼っていた

ヒトの味覚は舌の表面にある味細胞で知覚される。味覚感度には個人差があることが知られているが、従来の味覚検査は主観的方法に頼っており、同一対象での感度の変化は測定できるものの、個人間での味覚感度の違いは不明確だった。これに対して今回の研究では、すでに視覚分野で確立している、客観的・統計的に個人の感度を測る手法を味覚分野に適用することで、個人間の味覚感度を数値で比較することに成功した。遺伝子の違いによって生じる味覚感度の個人差を考慮することで、味覚障害の有無を予測できる可能性があり、臨床課題への応用が期待されるという。

研究の背景と成果:味覚感度には大きな個人差がある

これまでの味覚検査方法は、主観や偶然によって影響されやすく、異なる人の互いの味覚感度が、どの程度違うのかはわからなかった。この研究では、味覚受容体の遺伝子解析と客観的・統計的な味覚検査方法(二肢強制選択課題を用いたQUEST法)を組み合わせることにより、個人の味覚感度を連続した数値として推定した。

味物質はいろいろな受容体遺伝子に重複して受けとられることが多い。今回は、アブラナ科の野菜の苦味だけを受けとる苦味受容体遺伝子、TAS2R38に着目して遺伝子を解析した。味覚検査にはアブラナ科の野菜の苦味と似た成分を用いた。

被験者は、苦味を含む液と純水を順に口に含み、味のする方を答える。回答が正解か不正解かによって味覚感度はそのつど推定される。濃度を変えてこれを繰り返し、信頼区間が十分に狭くなった時点で実験を終了して、その人がぎりぎり感知できる苦味の濃度(閾値・感度)が決定された。このような客観的・統計的に個人の感度を測る手法は、これまで主に、視覚分野において用いられてきたが、これを味覚分野へ適用した。

味覚感度の数値化に成功、個人の味覚を客観的に評価できることが可能に 大阪大学

(出典:大阪大学)

その結果、苦味受容体遺伝子TAS2R38のタイプによって苦味感度が大きく異なることがわかった。感度が高いタイプの遺伝子をもつ人と低いタイプの遺伝子をもつ人では、苦味感度に何十倍もの違いがあった。つまり、味を受けとる遺伝子の違いによって、味覚感度に大きな個人差があることが明らかになった。

本研究成果が社会に与える影響:薬剤性味覚障害などへの予防的介入に期待

本研究成果により、個人の味覚の感度を連続した数値で表すことができるようになり、個人間の比較が可能になった。また、遺伝子の違いによって生じる味覚感度の個人差を考慮することで、薬剤投与時の副作用等による味覚障害の有無を予測できる可能性がある。

前もって味覚受容体遺伝子のタイプを調べておけば、味覚感度の高いタイプの人ほど味覚変化も感じやすいと予想される。そのようなタイプの人へ向けて早めの対処ができれば、味覚障害の軽減といった臨床課題への貢献が期待される。

関連情報

個人の味覚感度の数値化に成功 苦味を受けとる遺伝子の解析と客観性の高い味覚検査を組み合わせて(大阪大学)

文献情報

原題のタイトルは、「Association between Genetic Variation in the TAS2R38 Bitter Taste Receptor and Propylthiouracil Bitter Taste Thresholds among Adults Living in Japan Using the Modified 2AFC Procedure with the Quest Method」。〔Nutrients. 2023 May 22;15(10):2415〕
原文はこちら(MDPI)

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