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国際スポーツ栄養学会(ISSN)がエナジードリンクとエナジーショットに対する見解を公表

国際スポーツ栄養学会(International Society of Sports Nutrition;ISSN)はこのほど、エナジードリンク(energy drinks;ED)とエナジーショット(energy shots;ES)に対する見解(position stand)をまとめ、同学会発行の「Journal of the International Society of Sports Nutrition」に発表した。

国際スポーツ栄養学会(ISSN)がエナジードリンクとエナジーショットに対する見解を公表

国際スポーツ栄養学会(ISSN)では、2013年にエナジードリンク(ED)に関する初の見解を発表していたが、その後の10年間で新たなエビデンスが蓄積されたこと、および、エナジードリンクとは異なり、機能性のある成分を濃縮したエナジーショット(一般的に2~5オンス〈約60~150mL〉)が市場に普及してきたこと、それらの成分プロファイルに変化が生じていることから、最新のレビューに基づく新たなコンセンサスをまとめた。

販売量の多い75種類の製品について文献レビューが行われ、そのうちカフェインやタウリンなどの約20種類の成分について個別に解析した結果に続き、急性パフォーマンス効果、筋力、無酸素能力、有酸素能力、代謝や認知機能への影響、性差、安全性などのトピックについて解析した結果を論述。論文の末尾に13項目にまとめられた見解が述べられている。

以下に一部の要旨を抜粋し紹介する。

成分別のレビュー

カフェイン

カフェインはエナジードリンク(ED)やエナジーショット(ES)の主要成分として使われることが多く、検討した販売量の多い75製品の100%がカフェインを含んでいた。その含有量は平均174±81mg。なお、一般的なコーヒー1杯には80~150mgのカフェインが含まれている。カフェインとスポーツパフォーマンスとの関連ついては、国際スポーツ栄養学会(ISSN)が2年前に見解を公表しており、本論文でもその要旨が転載されている。当ニュースコーナーでも以下に紹介済み。

関連ページ
カフェインとパフォーマンスとの関係について、国際スポーツ栄養学会(ISSN)の見解

タウリン

タウリンは抗炎症特性を示し、また骨格筋、脂肪組織、肝臓、およびその他の組織のエネルギー代謝に影響を与える。最近のシステマティックレビューでは、タウリン摂取後の最大酸素摂取量、疲労回復時間、タイムトライアルパフォーマンス、無酸素運動パフォーマンス、筋肉損傷、および認知機能上のメリットが示唆された。興味深いことに、タウリンがカフェイン摂取に関連する有害な心血管症状を減らす可能性も報告されている。それにもかかわらず、タウリンに関する現在の一連の研究の結果には、矛盾と限界が認められる。販売量の多いEDおよびES製品、75品目の37.3%にタウリンが含まれている。ただし含有量が明記されていないものがあるため、含有量の平均は算出不能。一般的なEDおよびES製品のタウリンの投与量に安全上の懸念があることは考えにくい。

L-テアニン

L-テアニンは非タンパク構成アミノ酸で、認知機能を助ける可能性があり、テアニンとカフェインの摂取による相乗効果を示すいくつかのエビデンスがあるが、根底にあるメカニズムは完全には確立されていない。販売量の多いEDおよびES75製品、75品目の37.3%にタウリンが含まれている。ただし含有量が明記されていないものがあるため、含有量の平均は算出不能。

上記のほかに解説が加えられている成分は、人参、ガラナ、カルニチン、コリン、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6、ビタミンB9(葉酸)、ビタミンB12、ビタミンC(L-アスコルビン酸)、ビタミンD、ビタミンA、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、糖、人工甘味料、チロシン。

13項目の見解

論文の結論に示されている13項目の見解(position stand)は以下のとおり。

  1. エナジードリンク(ED)には、一般的に、カフェイン、タウリン、高麗人参、ガラナ、カルニチン、コリン、ビタミンB群・C・A・D、電解質、糖、チロシン、L-テアニンが含まれており、含有割合は1.3~100%の範囲。
  2. EDは、飲料中のカフェイン量(200mg超または3/mg/kg超)に依存し、急性有酸素運動のパフォーマンスを向上させ得る。
  3. EDおよびエナジーショット(ES)には、精神的・身体的能力に影響を与えるとされている栄養素が含まれている、科学的エビデンスに基づく大半のEDおよびESの主要な栄養素は、カフェインまたは炭水化物と思われる。
  4. 精神的・身体的パフォーマンスに対するカフェインのエルゴジェニック効果は、十分に確立されている。ただし、EDおよびESに含まれている他の栄養素との潜在的な相加効果は、まだ明確になっていない。
  5. 運動の10~60分前にEDまたはESを摂取すると、3mg/kgを超える用量の場合、集中力、注意力、無酸素運動能力、持久力能力を向上させることが可能。
  6. 少なくとも3mg/kgのカフェインを含むEDまたはESを摂取すると、下半身のパワーにメリットがもたらされる可能性が最大となる。
  7. EDまたはESの摂取により、持久力、反復スプリントのパフォーマンス、およびチーム競技におけるスポーツ固有のタスクを改善できる。
  8. 多くのEDまたはESに含まれる複数の栄養素は、それらの相互作用が研究されていない組み合わせで配合されているものが多い。そのため、それらの製品は、安全性に加えて、身体的・認知的パフォーマンスに対する有効性を実証するための研究が求められる。
  9. トレーニング中または減量中に低カロリーのEDまたはESを摂取した場合、おそらくトレーニング効率が向上しエルゴジェニック効果が得られ、体重管理上のメリットの上乗せ効果も得られる可能性が、限られたエビデンスから示唆される。ただし、EDの摂取エネルギー量が1日の総摂取エネルギー量の一部として考慮されていない場合、高カロリーのEDの摂取は体重増加につながる可能性がある。
  10. EDまたはESと高グリセミックインデックスの炭水化物の習慣的な同時摂取が、糖代謝に与える影響を考慮する必要がある。
  11. 12~18歳の若年者は、EDまたはESの摂取、とくに過剰な量、例えば400mgを超える量の摂取を検討する際に慎重さを要し、保護者の指導を求める必要がある。さらに、EDおよびESは、2~12歳の小児、妊娠中・妊娠を希望している、または授乳中の女性、およびカフェインに感受性の高い人には推奨されない。
  12. 糖尿病患者および心血管代謝疾患、肝腎疾患、神経疾患を有し、血糖負荷の高い食品、カフェイン、またはその他の覚醒作用のある成分の影響を受ける可能性のある薬を服用している個人は慎重さを要し、EDを摂取する前に医師に相談する必要がある。
  13. EDやESを摂取するか否かの決定は、飲料中の炭水化物、カフェイン、およびその他の栄養素の含有量と、潜在的な副作用の十分な理解に基づいている必要がある。EDやESを分別なく摂取した場合、とくに1日に複数回摂取したり他のカフェイン飲料や食品と一緒に摂取したりした場合、有害事象が生じる可能性がある。

文献情報

原題のタイトルは、「International society of sports nutrition position stand: energy drinks and energy shots」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2023 Dec;20(1):2171314〕
原文はこちら(Informa UK)

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