アマチュア・ロードサイクリスト41人の食事と水分補給の状況を調査 ポーランド
アマチュアのロードサイクリストが、ふだんどのような食事を摂取し、トレーニング日にどのように水分補給しているのかを調査した結果が、ポーランドから報告された。おしなべて適切に食事・水分を摂取している傾向があるものの、乳製品や果物・野菜の摂取量と、トレーニング前の水分補給が不足しているという。
アマチュアアスリートは理想的な栄養戦略を立てられているか?
スポーツパフォーマンスを左右する因子として、トレーニングの量や質とともに栄養素や水分の摂取戦略が挙げられる。エリートレベルのアスリートであれば、食事に関してはスポーツ栄養士等からアドバイスを受けることができるが、アマチュアアスリートの場合はそのような指導や情報に接する機会が限られている。そのため、十分な知識を持たずに自己流の栄養戦略をとっている可能性があるが、アマチュアのロードサイクリストでそのような懸念が現実のものとなっているのか否かはよくわかっていない。本論文の著者らはこの点について調査を行った。
2017年にポーランドで開催された二つのサイクルロードレースの開催当日に、参加者に対してアンケートへの回答協力を依頼。同意を得られた男性サイクリスト41人の回答を解析した。
アンケートは三つのセクションで構成されており、一つ目は年齢などの社会人口学的因子に関する質問、二つ目は日々の栄養と水分摂取状況に関する質問、三つ目はトレーニングに関する質問。アンケートは匿名で回答可能とした。
全体的には良好な傾向がみられるが、介入すべき点も明らかに
アンケート回答者41人はすべて男性であり、年齢が43.76±13.25歳(範囲20~75歳)、BMI24.01±1.78(同21~31.10)。競技歴は1~5年が46.3%で最多であり、5~10年が34.1%、1年未満と10年以上がそれぞれ9.8%だった。週あたりのトレーニング日は5日が最多で26.8%、トレーニング日のトレーニング時間は2~2.5時間が最多で48.8%を占めていた。
食事摂取頻度や食品摂取状況について
全体の65.9%が「食生活に注意している」と回答し、75.6%は「規則正しく食事をしている」と回答。1日4食が43.9%、3食が29.3%、5食が24.4%だった。栄養相談サービスを「利用している」との回答は、17.1%にとどまった。菜食主義者は含まれていなかった。
穀物は全粒穀物を多く摂取している
日々摂取している食品のうち、穀物を全粒穀物(全粒粉パスタ、シリアル、玄米、オートミール、大麦、全粒粉パンなど)と、精製された穀物(白パン、白米、小麦パンケーキなど)に二分し、それらを「毎日摂っている」と回答した割合をみると、前者は46.3%、後者は21.9%であり、精製された穀物よりも全粒穀物をより頻繁に摂取していることがわかった。
タンパク源としては白身肉が好まれている
肉や魚を摂取する頻度は、「週に数回」が73.2%と最多であり、「毎日」は21.9%だった。好みのタンパク源として挙げられたのはトップが「白身肉」で52.1%を占め、次いで「赤身肉」が32.4%であり、「魚」は15.5%と少数だった。
乳製品を毎日摂っているのは5人に1人
卵を含む乳製品の摂取頻度は、「週に数回」が最多で43.9%、次いで「毎日」が21.9%であって、毎日摂っているのは5人に1人の割合だった。一方、「月に1~3回」という乳製品の摂取頻度がごくわずかな群も14.6%存在していた。その他の12.3%は「週に1回」。
野菜と果物は不足傾向
1日の野菜の摂取量は、1皿(1 portion)が31.7%と最多で、以下、2皿は24.4%、3皿は17.1%、4皿19.5%、5皿以上4.9%。果物に関しても、最も多かったのは1皿の41.5%であり、2皿は26.8%、3皿は12.2%、4皿12.2%、5皿以上2.4%だった。
単糖の摂取頻度が高いアスリートも存在
単糖類を多く含む製品(ミルクチョコレート、ケーキ、クッキー、キャンディーなど)の摂取頻度が「月に1~3回」との回答が約3割で、「週に1回」と「週に数回」が各24.4%であり、「毎日」は9.7%だった。水分摂取状況について
トレーニングを行う日の水分摂取量は、過半数(51.2%)が「3L」と回答し、24.4%は「2L」、17.1%は「4L以上」と回答。一方で「1L」との回答も7.3%存在していた。
トレーニング前に「水分を飲まない」との回答が3割
水分摂取のタイミング別にみた場合、トレーニング前は「摂取する」が68.3%にとどまり、「摂取しない」が31.7%に上った。摂取すると回答した人の摂取量は496±218mL/時だった。
トレーニング中については「摂取する」との回答が100%であり、摂取量は571±187mL/時だった。またトレーニング後についても「摂取する」との回答が92.7%と大半を占め、摂取量は504±152mL/時だった。これらの結果に基づき著者らは、「アマチュアのロードサイクリストの食行動は適切と判断される割合が高いと結論づけることができる。ただし、乳製品、野菜、果物の摂取量を増やす必要があり、肉類や単糖の摂取を控える必要があるかもしれない。また、水分補給についてもほぼ適切と考えられるが、トレーニング前の水分摂取の重要性に関する認識をより高める必要がある。これらの点について、アスリートの変化を促す介入が求められるが、残念ながら栄養カウンセリングを利用しているアマチュアアスリートは、ごくわずかだった」と述べている。
文献情報
原題のタイトルは、「An assessment of the dietary habits among road cyclists competing in amateur races」。〔Food Sci Nutr. 2022 Oct 21;11(1):428-433〕
原文はこちら(John Wiley & Sons)