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世界トップレベルの女子ビーチハンドボール選手の食事と体組成、スプリントパフォーマンス

世界トップレベルの女子ビーチハンドボール選手の食事と体組成、スプリントパフォーマンスとの関係を、年齢層やポジションによる違いを考慮しつつ解析した結果が報告された。シニア選手ではタンパク質摂取量と骨量が正相関していること、大転子の高さが高いアスリートほどスプリントタイムが短いことなどが明らかになったという。

世界トップレベルの女子ビーチハンドボール選手の食事と体組成、スプリントパフォーマンス

世界のトッププレーヤーを対象とする研究

ビーチハンドボールは屋内競技のハンドボールから派生した屋外競技。試合の環境が天候によって左右され、炎天下で行われることが多いことや、砂地でのジャンプなどのため体力の消耗が激しい。試合中に高いパフォーマンスを発揮するためには適切な栄養戦略と、それによる体組成の最適化が必要とされる。ただ、ビーチハンドボール選手の栄養素摂取状況等の研究はあまり行われていない。

今回紹介する論文の研究では、女子ビーチハンドボール選手の栄養素摂取量と体組成を評価し、スプリントパフォーマンスとの関連を検討している。検討対象は、スペインの女子ビーチハンドボールの国家代表チーム所属選手で、ジュニア選手18人とシニア選手15人の計33人。両チームは世界選手権で優勝または準優勝しており、世界トップレベルのプレーヤーといえる。

研究は年齢層(ジュニアかシニアか)による違い、ポジションによる違いも解析することを目的としていた。研究前の仮説として、シニア選手は競技歴が長いことからジュニア選手よりも栄養の重要性をより強く認識し、質の高い食事を摂取している、タンパク質の摂取量は筋肉量と相関し、飽和脂肪酸の摂取量は体脂肪量に相関する、ゴールキーパーは最も体脂肪量が多い――などが予測されていた。

なお、栄養素摂取量は、連続4日間(平日3日、週末1日)の食事記録を基に把握した。スプリントパフォーマンスは砂地の素足での走行で評価し、5、10、および15mのタイムを記録した。

体組成の年齢層別、ポジション別の比較

体組成は年齢層による違いが少ないが、筋肉量はシニアの方が高値

対象者の年齢はジュニア選手が16.7±0.50歳、シニア選手は24.8±4.71歳。身長は全体の平均が168±5.15cm、翼幅171±5.94cm、体重63.6±7.54kg、BMI22.6±2.47であり、年齢層による有意差はなかった。

ただし筋肉量は、ジュニアが22.9±1.96kg、シニアが24.7±1.83で、シニアのほうが有意に高値だった(p=0.013)。

ポジション別では身長・翼幅・脂肪量・骨量などに有意差

ポジション別にみた場合、身長はピボットが172±3.96cm、ウイングが164±3.58cmであり有意に異なっていた(p=0.006)。また翼幅も同様の有意差が存在していた(p=0.012)。体重やBMIはポジションによる有意差が認められなかった。

ただし、体脂肪量はゴールキーパーが最も高値であり(16.2±4.84kg、22.6±3.86%)、ウイング(p=0.031)およびスペシャリスト(p=0.034)との間で有意差がみられた。また、骨量についてはピボットが最も高く(10.0±0.627kg)、ウイング(p=0.010)およびスペシャリスト(p=0.021)との間で有意差がみられた。

炭水化物と微量栄養素の不足傾向が認められる

栄養素摂取量についても、主要栄養素、微量栄養素ともに、年齢層による有意差の認められた項目はなかった。ただし全体的な傾向として、スペイン人の食事摂取基準(dietary reference intakes;DRI)と比較した場合に、微量栄養素の摂取量が少ないことが示された。また、炭水化物摂取量がジュニアは3.33±0.894g/kg/日、シニアは3.29±0.797g/kg/日であり、推奨される5~7g/kg/日より少なかった。

ポジション別にみた場合、摂取エネルギー量に占める炭水化物の割合が異なる傾向があったが、有意水準未満だった(p=0.052)。

シニア選手では、いくつかの栄養素摂取量と体組成指標が有意に相関

体組成と栄養素摂取量の相関を検討すると、シニア選手では、体脂肪量と動物性タンパク質摂取量(r=0.552~0.569〈計算式による〉)、および、筋肉量と多価不飽和脂肪酸摂取量(r=0.636)との間に有意な正の相関が認められた。また、骨量はタンパク質摂取量と正相関し(r=0.593〈総タンパク質摂取量〉、r=0.584〈g/kg/日〉)、また一価不飽和脂肪酸摂取量とも正相関が認められた(r=0.531)。

一方、ジュニア選手では、体組成と有意に関連のある摂取栄養素は特定されなかった。

スプリントパフォーマンスはシニア選手のほうが優れている

スプリントパフォーマンスの評価結果は、5m(p=0.018)、10m(p=0.020)、15m(p=0.022)のいずれも、ジュニア選手よりシニア選手のほうが優れていた。ポジションでの比較では有意差は観察されなかった。

スプリントタイムとさまざまな人体測定パラメーターの関連を検討した結果、大転子の高さが高いほど記録が良好という関連が認められた(5mでp=0.014、10mでp=0.048)。

これらの結果について著者らは、「シニア選手のスプリントタイムが良好な理由は、専門性が高いこと、トレーニング歴が長いこと、および転子の高さなどの骨格の特徴にあると考えられる。この研究結果は、アスリートのビーチハンドボールの才能を見極める際に役立つ可能性がある」と述べている。

論文の結論は、「ビーチハンドボール選手は、タンパク質、ビタミンB12、ビタミンD、ナトリウム、亜鉛などの微量栄養素の摂取量は十分だった。しかし、炭水化物、カルシウム、鉄の摂取量は推奨を満たしていなかった。ゴールキーパーは体脂肪量が最も高値であることには注視が必要。また、本研究からの重要な知見として、転子の高さとスプリントパフォーマンスの高さとの有意な相関が挙げられる」とまとめられている。

文献情報

原題のタイトルは、「Quantitative Diet, Body Composition and Sprint Performance in Female Professional Beach Handball Players」。〔Nutrients. 2022 Dec 28;15(1):138〕
原文はこちら(MDPI)

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