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スポーツ科学領域の学士号取得を目指す学生のドーピングに関する知識調査 スペインの研究

スポーツ科学関連の学士号の取得を目指している学生のドーピングに関する知識は十分でないとする研究結果が、スペインから報告された。論文の著者らは、少なくとも60時間以上のドーピング関連の講義をシラバスに含めることなどを提案している。

スポーツ科学領域の学士号取得を目指す学生のドーピングに関する知識調査 スペインの研究

スポーツ科学を学ぶ学生が、ドーピングリスクについては学んでいない

アスリートのサポートスタッフにとって、アスリートの健康を守ることは最優先事項の一つ。アスリートの健康を守るためには、意図的または不注意で禁止物質を使用しないことが必須であり、そのためにはサポートスタッフがドーピングに関する一定程度の知識を備えていることが求められる。

しかし、本研究が行われたスペインでは、スポーツ科学関連の学士号取得のためのシラバスにドーピング関連の講義が、ほとんど含まれていないという。このような背景から研究者らは、スポーツ科学領域の学問を学ぶ学生のドーピングやアンチドーピングに関する知識レベルの実態を把握するための調査を行った。

「WADA Play True Quiz」を改編して知識レベルをチェック

この調査は、スペイン国内のスポーツ科学関連の学部を有する26大学が参加して行われた。ドーピングに関する知識レベルの確認には、世界アンチドーピング機構(World Anti-Doping Agency;WADA)がWeb公開している、アスリート対象のドーピングに関する知識をクイズ形式で確認する「WADA Play True Quiz」(詳細はこちら)を用いた。ただし、このクイズはアスリート本人が回答することを前提にしているため、スタッフにはそぐわないクイズもあることから、一部を改編した。また、クイズの結果を100点満点に換算して評価した。

研究に参加した大学での講義中に、教職者から学生に調査趣旨を説明。回答は任意であること、クイズの成績は学業成績の評価と無関係であることなどを伝え、学生本人の意思で回答してもらった。

同一学生の重複した回答などを除外後、1,233人の学士号取得を目指す学生の回答が解析対象とされた。回答率は39.2%だった(大学により7.8~60.3%の範囲)。

解析対象学生の特徴

全体の73.6%が男性、26.1%が女性、0.3%がノンバイナリーだった。

学年は1年生が27.1%、2年生41.9%、3年生21.8%、4年生14.6%であり、専攻は「体育教育(Physical education)」が32.2%、「スポーツパフォーマンス(Sports performance)」が31.0%、「健康(Health)」が18.1%、「スポーツマネジメント(Sports management)」が7.1%で、「専攻なし」8.4%、「その他」3.2%だった。

また、53.9%の学生は自分自身が個人競技スポーツを行っており、39.5%は団体競技に参加、6.6%はスポーツを行っていなかった。

アスリートの荷物から禁止物質が見つかっただけではドーピング違反にならない?

クイズの成績は100点満点中、平均65.78±10.11点(範囲32~92)だった。最も正答率が高かったのは、医療目的での薬剤の使用が認められるケースがあるか否かを問う質問(正解は「はい」)で、誤答は6.1%のみだった。

反対に最も正答率が低かった質問は、「アスリートの荷物の中から禁止物質が見つかった場合、違反と認定されない(違反と認定されるには、アスリートの体内に存在することが証明されなければならない)」であり、74.3%が不正解だった。ちなみに正解は「いいえ」である。

高学年ほど正答率が高い

学年で比較した場合、高学年ほど高得点を獲得していた。より詳しくは、1年生は2~4年生に比べて有意に低い得点で(p=0.037)、2年生と3年生の比較では有意差がなく、4年生は2・3年生より有意に高得点だった(p=0.019)。

「体育教育」専攻の学生は正答率が低い

専攻別に比較すると、最も得点が高いのは「スポーツパフォーマンス」専攻、次いで「健康」専攻、「専攻なし」、「スポーツマネジメント」、「体育教育」の順だった。「体育教育」専攻は、「スポーツパフォーマンス」専攻の学生(p=0.001)や「健康」専攻の学生(p=0.003)に比べて有意に低得点だった。

ドーピング関連の講義を受けた学生の得点も、他の学生と有意差なし

全体の23.1%の学生は、シラバスの中でドーピング関連の講義を受けていた。ただし、正答率は他の学生と変わらなかった(65.82±10.47 vs 65.77±10.01,p=0.940)。

NSFに登録されている学生は高得点

全体の62.3%の学生は、中央競技団体(National Sports Federation;NSF)に登録されていた。NSFに登録されている学生は、登録されていない学生よりも正答率が有意に高かった(66.27±9.88 vs 64.98±10.43,p=0.028)。

サプリを利用している学生は高得点

全体の34.5%の学生は、自分自身がサプリメントを利用していると回答した。サプリを利用している学生は、利用していない学生よりも正答率が有意に高かった(67.80±10.81 vs 64.88±9.60,p<0.001)。

週3日以上トレーニングをしている学生は高得点

全体の93.4%の学生は、週に3日以上何らかの運動またはトレーニングをしていた。それらの学生はその他の学生よりも、正答率が有意に高かった(66.74±10.47 vs 64.80±9.57,p<0.001)。

スポーツ科学の学士号取得者には一定程度のドーピング知識が必要

著者らは、スポーツ科学の学士号を取得した者が、必ずしもアンチドーピングに関するスペシャリストである必要はないとしている。ただし、本研究で得られた結果は、アスリートのサポートスタッフとして「最適とは言えない」とし、「スポーツ科学関連の大学を卒業した人は、アスリートの危険なドーピング行為を防止し得るスキルを身に付けているべき」と述べ、例えば在学中の4年間に60時間以上のドーピング関連の講義を履修するといった対策の必要性を述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Anti-Doping Knowledge of Students Undertaking Bachelor’s Degrees in Sports Sciences in Spain」。〔Nutrients. 2022 Oct 27;14(21):4523〕
原文はこちら(MDPI)

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