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NCAA男性バスケ選手のシーズン前中後の栄養素摂取量、体組成、安静時代謝、呼吸商を比較した結果

NCAAディビジョンIに所属する男性バスケットボール選手では、シーズン前からシーズン終了にかけて、栄養素摂取状況や体組成、代謝が大きく変化することを示すデータが報告された。シーズン前からシーズン中は、呼吸商が0.7を切るレベルで推移していることなどもわかった。著者らは、ハイレベルのトレーニングを行っている同一チームのバスケットボール選手を対象に、栄養素摂取状況や代謝の季節性変化を追跡した研究はこれが初めてだとしている。

NCAA男性バスケ選手のシーズン前中後の栄養素摂取量、体組成、安静時代謝、呼吸商を比較した結果

NCAAディビジョン1の男性バスケットボール選手13人を継続的に観察

バスケットボールは高強度運動が断続的に続くスポーツで、有酸素系と無酸素系の能力が要求される。バスケットボール選手のパフォーマンスに影響を与える重要な因子として体組成が挙げられ、一般に体脂肪率が低く除脂肪体重が高いことが好ましいとされる。そのような体組成を維持し、かつ健康への悪影響を抑制するためには、適切な栄養素摂取が必須となる。適切な栄養素摂取はシーズン中とオフシーズンとで異なると考えられるが、そのような視線でアスリートの食事摂取状況等を検討した研究は少ない。そこで本論文の著者らは、シーズン前からシーズン中、シーズン後にわたり、バスケットボール選手の体組成や代謝にかかわるパラメーターを縦断的に評価した。

研究参加者は、全米大学体育協会(National Collegiate Athletic Association;NCAA)のディビジョンIに所属している男性バスケットボールチームのメンバー17人。プレシーズン(9~10月)に、身長、体重、体組成、食事摂取状況、安静時代謝量(resting metabolic rate;RMR)、呼吸商のベースライン調査を行い、10月には選手ごとに栄養士が栄養相談を実施。アスリートの食事摂取基準(dietary reference intake;DRI)に基づき、個別化した栄養指導を行った。12月にシーズン中の調査、翌年2月にシーズン後の追跡調査を実施した。

17人のうち2人はシーズン中の怪我のため脱落し、他の2人は測定値の欠落のため除外して、解析対象は13人となった。年齢は20.45±1.20歳、身長189.86±7.55cm、体重91.33±11.62kg。

シーズン前からシーズン後にかけて、計測結果にダイナミックな動き

栄養素摂取量の変化と推奨値との乖離

では結果について、まず、摂取エネルギー量、主要栄養素摂取量の推移と、推奨量と比較した結果をみていこう。

摂取エネルギー量

食事摂取基準(DRI)に基づく推奨摂取エネルギー量は、平均4,181±298kcalで、13人のうち3人は栄養士との相談の結果、減量のため-500kcalとしたことから、推奨摂取エネルギー量の平均は4,099±215kcalとなった。

それに対して、シーズン前の実際の摂取量は3,064±621kcalであり、推奨量より有意に少なかった(p<0.0001)。一方、シーズン後の追跡調査時には3,587±1,044kcalとなり、この値は推奨量と有意差がなかった。

タンパク質摂取量

タンパク質の摂取推奨量は205±13gであるのに対してシーズン前の摂取量は135±28gであり、有意に少なかった(p<0.0001)。シーズン後には180±46gとなり推奨量との有意差はなくなった。

炭水化物摂取量

炭水化物の摂取推奨量は619±33gであるのに対してシーズン前の摂取量は388±84gであり、有意に少なかった(p<0.0001)。シーズン後には446±160gと、シーズン前より増加していたが、依然として推奨量より有意に少なかった(p=0.0025)。

脂質摂取量

脂質の摂取推奨量は105±18gであるのに対してシーズン前の摂取量は113±33gとわずかに多かったが有意差はなかった。またシーズン後は127±46gと、シーズン前よりさらに多かったが、やはり推奨量と有意差はなかった。

体組成の変化

次に体組成の変化をみてみると、体重に関してはシーズン前、シーズン中、シーズン後を通して有意な変化は生じていなかった。

一方、除脂肪体重に関しては、シーズン前が74.63±8.87kg、シーズン中が75.53±8.59kg、シーズン後が75.75±9.26kgであり、シーズン後の値はシーズン前より有意に高値だった。また体脂肪率については同順に、13.48±3.60%、12.39±3.60%、12.46±3.54%であり、シーズン中およびシーズン後の値はシーズン前に比べて有意に低値だった。

安静時代謝量(RMR)、呼吸商の変化

続いて安静時代謝量(RMR)については、シーズン前が2,329.93±232.85kcal、シーズン中が2,491.01±215.15kcal、シーズン後が2,368.95±264.13kcalであり、シーズン中はシーズン前およびシーズン後より有意に高値だった。

呼吸商に関しては、同順に0.696±0.04、0.676±0.03、0.763±0.06でありシーズン前とシーズン中は0.7未満と低値であって、炭水化物摂取量の不足が示唆された。ただし、シーズン後には有意に上昇していた。

シーズン前・中・後のフェーズに適した栄養指導が求められる

以上一連の結果のポイントを著者らは以下の3点にまとめている。

  1. 男性バスケットボール選手のシーズン前のエネルギー、タンパク質、および炭水化物の摂取量は、推奨摂取量と比較して有意に低かった。一方、シーズン中には十分なエネルギー量とタンパク質を摂取していることが示された。しかし、炭水化物の摂取量は依然として推奨よりも有意に低かった。
  2. 体組成に関しては、体脂肪率がシーズン中に有意に低下し、除脂肪体重はシーズン終了後に最高値に達していた。
  3. RMRはシーズン中に有意に上昇し、呼吸商はシーズン後に最高値となった。

また、結論は以下のように述べられている。

NCAAディビジョンI男性バスケットボール選手は、シーズン前には推奨量と比較して有意に少ないエネルギー量の食事をしていた。また、シーズン中に体組成の有意な変化が生じていた。代謝関連パラメーターも、シーズン中に変化が観察された。アスリートのニーズを満たし目標達成をサポートするには、シーズン前からシーズン後を通して体組成の変化と食事摂取量の変化を把握し、適切な栄養管理・指導が望まれる。

文献情報

原題のタイトルは、「Assessing Dietary Nutrient Adequacy and the Effect of Season—Long Training on Body Composition and Metabolic Rate in Collegiate Male Basketball Players」。〔Sports (Basel). 2022 Aug 24;10(9):127〕
原文はこちら(MDPI)

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