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妊娠中の母親の食事は、子どもの言語や運動能力の発達と関連 ノルウェー8万組以上の母児調査

8万組以上の母児を対象に行われた研究から、胎児期の母親の食事や出生後早期の食事の質が、言語や運動能力の発達と有意に関連していることが報告された。論文の著者らは、人生の早い段階で健康的な食事をとることが重要だと述べている。

妊娠中の母親の食事は、子どもの言語や運動能力の発達と関連 ノルウェー8万組以上の母児調査

「人生最初の千日が大切」は本当か?

人生の最初の数年間で急速に行われる神経発達には、胎児期から乳幼児期の栄養状態が重要であるとされる。母親および乳幼児の葉酸やω-3多価不飽和脂肪酸、ビタミンB12、亜鉛、鉄、ヨウ素などの微量栄養素の摂取不足は、神経認知機能の発達障害と関連していることを示唆する研究結果が報告されており、「人生の最初の千日」の重要性が指摘されている。

今回紹介する論文は、胎児期の母親の食事と子ども本人が出生後の早期の食事の質と、5歳までの発達との関連を、ノルウェーの一般人口8万組以上のビッグデータを用いて解析した結果の報告。関連性を検討したほぼすべての時点で、食事の質の低さが発達の遅延と有意に関連しているという結果を報告している。

北欧で開発されたノルディックダイエットスコアで食事の質を評価

この研究は、ノルウェーの一般人口での妊娠コホート研究(The Norwegian Mother, Father and Child Cohort Study;MoBa)のデータを用いて行われた。MoBaは、1999~2008年にノルウェー全土の妊娠中の女性に参加が働きかけられ、41%の妊婦が同意。約11万4,500人の子ども、9万5,200人の母親、7万5,200人の父親が登録されている。

母親の妊娠中、三半期ごとにアンケートを実施し、その回答率は91~95%だった。子どもの出生後には、6カ月、18カ月、3歳、5歳の時点でアンケートを実施し、回答率は3歳時点で59%、5歳時点では54%だった。

食習慣は、食物摂取頻度調査(Food Frequency Questionnaire;FFQ)により把握し、妊娠22週時点で母親の食事を調査し、子どもの出生後には子どもの食事について、上記の時点で母親に調査。北欧の食習慣を評価するノルディックダイエット(New Nordic Diet;NND)スコアという指標によって、食事の質を判定した。

子どもの発達については、言語と運動について、ASQ(Ages and Stages Questionnaire)、CDI(Child Development Inventory)という指標で評価した。それらのスコアが2標準偏差の範囲を超えて低値の場合に、発達遅延と定義した。

多くの時点で、食事の質の低さが発達遅延と関連

アンケート調査に回答しなかった母親、単胎児以外の出産(双子など)、母親の摂取エネルギー量が4.5~20MJ/日(1,076~4,780kcal/日)の範囲を逸脱している場合を除外し、8万3,800組の母児を解析対象とした。

食事の質(NNDスコア)と発達遅延との関連の解析に際しては、母親の分娩時年齢、教育歴、妊娠前BMI、および婚姻状況の影響を調整した。その結果、これ以降に記すように、多くの時点のNNDスコアと発達遅延に該当することとの間に有意な関連が認められた。

NNDスコアを高低で二分しての検討

まず、NNDスコアを高低で二分して検討すると、妊娠中の母親の食事と5歳時点の言語発達、6カ月時点の食事と5歳時点の運動発達の関係が有意でない以外、すべて有意性が認められた。

具体的には、妊娠中の母親の食事のNNDスコアの高値群に対して低値群では、子どもが6カ月(OR1.35)、18カ月(1.50)、3歳(1.29)の時点での発達遅延のオッズ比が有意に高く、5歳時点の運動発達遅延のオッズ比(1.22)も有意に高かった。

子どもが6カ月時点の食事のNNDスコアの高値群に対して低値群では、6カ月(1.31)、18カ月(1.57)、3年(1.22)の時点での発達遅延のオッズ比が有意に高く、5歳時点の言語発達遅延のオッズ比(1.45)も有意に高かった。

子どもが18カ月時点の食事のNNDスコアの高値群に対して低値群では、18カ月(1.72)、3年(1.56)の時点での発達遅延のオッズ比が有意に高く、5歳時点の言語発達遅延(1.51)、運動発達遅延(1.38)のオッズ比も有意に高かった。

子どもが3歳時点の食事のNNDスコアの高値群に対して低値群では、3歳時点での発達遅延(1.71)のオッズ比が有意に高く、5歳時点の言語発達遅延(1.38)、運動発達遅延(1.55)のオッズ比も有意に高かった。

NNDスコアを三分位で3群に分けての検討

次に、NNDスコアを三分位で3群に分け、第3三分位群(食事の質の高い上位3分の1)と第2三分位群(食事の質が中程度に位置する3分の1)を比較すると、やはり多くの有意な関連が示された。非有意の関連を除いて抜粋する。

妊娠中の母親の食事のNNDスコアの第3三分位群に対して第2三分位群では、子どもが6カ月(OR1.22)、18カ月(1.12)、3歳(1.15)の時点での発達遅延のオッズ比が有意に高かった。

子どもが6カ月時点の食事のNNDスコアの第3三分位群に対して第2三分位群では、6カ月(1.15)、18カ月(1.26)の時点での発達遅延のオッズ比が有意に高く、5歳時点の言語発達遅延(1.21)、運動発達遅延(1.18)のオッズ比も有意に高かった。

子どもが18カ月時点の食事のNNDスコアの第3三分位群に対して第2三分位群では、18カ月(1.30)、3年(1.26)の時点での発達遅延のオッズ比が有意に高く、5歳時点の言語発達遅延のオッズ比(1.26)も有意に高かった。

子どもが3歳時点の食事のNNDスコアの第3三分位群に対して第2三分位群では、3歳時点での発達遅延(1.30)のオッズ比が有意に高く、5歳時点の運動発達遅延のオッズ比(1.29)も有意に高かった。

人生早期の食事の重要性を一般の人々に伝える必要がある

以上の結果の解釈に際して著者らは、「健康的な食事と高い発達スコアとの関連は、健康的な食物へのアクセスが制限されず、子どもに健康的な食事を与える余裕がある親の存在が影響を及ぼしている可能性のある点に留意が必要」と述べている。

そのうえで結論を「ノルウェーのような先進国においても、人生の早い段階での健康的な食事と、子どもの言語発達・運動発達との間に強い関連性があることが示された。この結果は、最適な発達と潜在能力を発揮するために、食事の質が前提条件であることを強調するものだ。子どもの言語や運動能力の発達と食事の関連性について、さらに焦点を当てた研究がなされるべき」とまとめている。加えて、このような知見を一般の人にも広く知らせていく必要があるとしている。

文献情報

原題のタイトルは、「Adherence to a healthy and potentially sustainable Nordic diet is associated with child development in The Norwegian Mother, Father and Child Cohort Study (MoBa)」。〔Nutr J. 2022 Jul 18;21(1):46〕
原文はこちら(Springer Nature)

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