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受刑者の食生活と栄養知識、身体活動との関連を探る ポーランドでの研究

2022年08月25日

受刑者の身体活動と食生活や栄養知識を同一対象で検討した研究結果が報告された。身体活動レベルと相関のある因子は年齢のみであり、栄養知識は関連がないという。ポーランド国内の2つの刑務所で実施された横断研究の結果だ。

受刑者の食生活と栄養知識、身体活動との関連を探る ポーランドでの研究

塀の中の暮らしの食事と運動の実態は?

人の健康を決定する修正可能な二大因子は食生活と身体活動であり、これは塀の外で暮らしていようが、塀の中で暮らしていようが変わらない。しかし、塀の外の暮らしでは、食生活や身体活動の采配は本人次第であるのに対して、塀の中での暮らしではそうはいかない。食べるものは決められているし、自由に使える時間が限定的だ。その結果、刑務所暮らしの最中に体重が増加する受刑者の多いことが海外から報告されている。その割合は男性受刑者では42~75%に及ぶという。

これまで、受刑者の食事に焦点を当てた研究は決して少なくなく、世界各地から報告されている。ただし身体活動量との関連を検討した研究はほとんどない。この論文の著者らは、それらの関連の有無に焦点を当てて以下の研究を行った。

刑務所内の食事と身体活動の規則など

本研究が実施されたポーランドの刑務所では、提供される食事を拒否してはならないと法律的に定められているが、一方で、月に3回まで外部から食料品を購入することができ、月に1回は親類からの食料品の差し入れを受け取ることができるとのことだ。それらにより、食品は最大6kg、飲料品は最大2Lまで認められるという。

ただ、ポーランドの刑務所の受刑者が実際にどの程度この仕組みにより食料品を入手しているのかに関するデータはない。一方、オーストラリアからは、このような入手経路により受刑者は最大、摂取エネルギー量の30.5%を得ているとの報告があるとのことだ。

一方、身体活動については、定められた作業時間以外に受刑者が自主的に行っている。刑務所によっては所内にスポーツ施設を備えているところもある。これまでに、服役期間中の身体活動が活発な受刑者は、そうでない受刑者に比べて拘留期間中の体重増加が少ないことが報告されている。

2カ所の刑務所に服役中の200人強の受刑者を対象とする横断研究

この研究は、ポーランド西部にある2カ所の刑務所で、2020年に横断研究として実施された。年齢が18~65歳の範囲であり、男性の受刑者であって、研究参加に同意していることが適格条件で、除外条件は危険と判断された受刑者(dangerous prisoner status)。研究参加者数は226人で、次に述べるアンケート調査への回答が不十分だった受刑者を除外した211人を解析対象とした。

主な調査項目は、国際身体活動アンケート(International Physical Activity Questionnaire;IPAQ)を利用しての身体活動量、および、ポーランド人で精度検証済みの111項目から成る質問票を用いての食生活、食事の質、栄養に関する知識。

受刑者の過半数がBMI25以上

解析対象者は全員男性で、年齢は37.10±10.07歳。内訳は18~29歳が21.80%、30代が45.02%、40代17.54%、50代15.64%。

211人のうち100人は再犯、111人は初犯の受刑者だった。拘留期間は5.38±6.53年、最終学歴は、初等教育が31.75%、中等教育が61.61%で、6.64%は高等教育を受けていた。

BMIは27.00±4.15であり、18.5未満の低体重が0.95%、18.5~24.9の標準体重が38.86%、25.0~29.9の過体重(日本では肥満)が41.71%、30.0以上の肥満が18.48%だった。喫煙者率は51.18%だった。

拘留前に何らかのスポーツを専門的に行っていたのは3割未満であり、70.62%は特定のスポーツをしていなかった。

国際身体活動アンケート(IPAQ)に基づき、身体活動量の多寡で3群に分類すると、活動レベルが低い群(LPAL群)が93人(44.1%)、中等度の群(MPAL群)が22人(10.4%)、高い群(HPAL群)が96人(43.4%)となった。

2割近くは食事療法を行っており、30代の受刑者は身体活動量が比較的多い

この身体活動量の多寡と、他の因子の関連を検討した結果、年齢との間で有意な関連がみられ、18~29歳および40歳以上は身体活動レベルが低いLPAL群が他の年齢層より多く、30代はMPALまたはHPAL群の割合が他の年齢層より高かった。

食生活については、81.04%が「現在、食事療法をしていない」と回答。残りの2割近くは、9.48%が「医学的理由による医師のアドバイスに従った食事療法」を実施しており、同じく9.48%が「自分の判断で食事療法」を行っている受刑者が占めていた。

受刑者の身体活動量は栄養の知識と相関しない

栄養に関する知識は、27.49%が不十分(Insufficient)、63.98%が十分(Sufficient)であり、8.53%は良好(Good)と判定された。一方、自己評価に基づくと、不十分が18.01%、十分は44.08%、良好35.55%、非常に良好(Very good)が2.37%だった。

これらの評価結果はいずれも、身体活動量との有意な相関がなかった。

著者らは、「本研究の結果は、受刑者の身体活動と健康のための適切な栄養の重要性を理解するために役立つだろう。受刑者に供給される食事が全体的に健康的なものだとしても、彼らが健康的な食品のみを選択するとは限らない。受刑者の身体活動と栄養について、さらなる研究が必要であり、それらの研究結果は刑務所の食事の質を改善したり、刑務所の食事に関するガイドラインの策定につながるのではないか」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Dietary Habits, Diet Quality, Nutrition Knowledge, and Associations with Physical Activity in Polish Prisoners: A Pilot Study」。〔Int J Environ Res Public Health. 2022 Jan 27;19(3):1422.〕
原文はこちら(MDPI)

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