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ビタミンD補給でVO2maxが有意に上昇 若年男子サッカー選手対象の無作為化比較試験

若年の男子サッカー選手にビタミンDによる介入を8週間行った結果、プラセボ介入に比較しVO2maxが有意に上昇したという研究結果が、ポーランドから報告された。瞬発力に対しては有意でないわずかなプラス効果が観察されたという。

ビタミンD補給でVO2maxが有意に上昇 若年男子サッカー選手対象の無作為化比較試験

栄養介入でビタミンDレベルを上げるとパフォーマンスは向上するか?

近年、ビタミンDが生体に対し多様な影響を及ぼすことが報告されている。骨代謝への影響は古くから知られているが、免疫能への影響やスポーツパフォーマンスへの影響も知られるようになった。ビタミンDレベルとVO2maxが相関するとの報告もある。ただし、介入によってビタミンDレベルを高めることがスポーツパフォーマンスの向上につながるのかどうかという点のエビデンスはまだ少ない。この論文の研究はその点を検証したもの。

研究対象として若年(19歳未満)の男子サッカー選手40名が募集され、このうち、怪我や疾患、所属クラブの変更などの理由で除外され、25名(17.5±0.7歳、178±0.7cm、68.05±9.18kg)が研究に参加した。喫煙者は除外されている。

二重盲検無作為化比較試験で検討

介入は、日光曝露量が減少し皮膚でのビタミンD合成が低下する、1月中旬~3月中旬にかけて8週間行われた。

無作為に2群に分け、1群(12名)にはビタミンD(2万IUのコレカルシフェロール)を週に2回、8週間にわたり摂取してもらい、他の1群(13名)にはプラセボを摂取してもらった。ビタミンDかプラセボかの割り当てはクラブコーディネーターのみが知らされており、選手本人と研究に直接参加する研究者には盲検化されていた。

8週間の介入期間中の食事はスポーツ栄養士の指導にそって両群同様に続けられ、また、トレーニング内容や親善試合の参加回数も同等とされた。

介入の前後にビタミンDレベルとVO2maxの測定、および、スプリントテスト(5m、10m、30m)、ジャンプ力テスト(スクワット、カウンタームーブメント)、多段20mシャトルランテスト(20-MST)によるパフォーマンスを評価した。

ビタミンDレベルとVO2maxが有意に相関

介入前のベースライン時点では、両群のビタミンDレベルやVO2max、その他のパフォーマンス指標は同等であり有意差はみなれなかった。

ビタミンDレベルとVO2maxがVD群でのみ有意に上昇

ビタミンDレベルは、ビタミンDを摂取した群(VD群)は介入前が27.9±10.79ng/mL、介入後は47.4±12.21ng/mLであり、有意に上昇していた(p=0.000)。一方、プラセボ群は同順に25.5±9.52ng/mL、27.2±12.06ng/mLであり、有意な変化はみられなかった(p=0.97)。ベースライン値からの変化の割合は、VD群が70%、プラセボ群は6%だった。

VO2maxは、VD群が57.9±3.40mL/kg/分から59.4±3.39mL/kg/分へと有意に上昇(p=0.03)。プラセボ群も57.6±2.88mL/kg/分から58.9±2.82mL/kg/分へと上昇していたものの、わずかに有意水準に至らなかった(p=0.053)。

次に、VD群とプラセボ群をあわせた全体でビタミンDレベルとVO2maxとの関係を検討。すると、ビタミンDレベルが高いほどVO2maxが高いという、両者の間に有意な正の相関が認められた(r=0.4192、p=0.0024)。

20-MSTはVD群のみ有意に向上

その他のパフォーマンス指標に目を向けると、多段20mシャトルランテスト(20-MST)は、VD群では介入前が2,422±250.0m、介入後が2,530±253.3mであり、有意に向上していた。一方のプラセボ群は介入効果が非有意だった(介入前2,395±210.9m、介入後2,492±208.7m)。ただし介入後の記録の群間差は非有意だった。

スプリントテストやジャンプ力テストについては、両群ともにわずかな時間効果が観察されたが有意ではなく、また群間差も非有意だった。

冬から春にはビタミンDサプリが必要の可能性

著者らによると、これまでのところ、アスリートのスピードと筋力やパワーのパフォーマンスに対する血清ビタミンDレベルとの関連、およびビタミンDの栄養介入について、明確なコンセンサスは確立されていないという。そのような状況で行われた本研究では、「2万IUのコレカルシフェロールを週に2回、8週間摂取するという栄養介入によって若年男子サッカー選手の25(OH)D血清レベルを増加させ、そのレベルは有酸素能力と有意な正の相関があった。ただし、筋力やパワーのパフォーマンスとの関連は明確ではなかった」とまとめている。

結論には、「ビタミンDが欠乏またはそのレベルが低下する冬から春の期間、アスリートに対してビタミンDの補給を推奨する必要があるのではないか」と述べられている。

文献情報

原題のタイトルは、「Correlation between the Positive Effect of Vitamin D Supplementation and Physical Performance in Young Male Soccer Players」。〔Int J Environ Res Public Health. 2022 Apr 23;19(9):5138〕
原文はこちら(MDP)

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