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β-アラニンの急性効果を持久系アスリートで確認 摂取60分後の最大有酸素性速度に有意差

β-アラニンの持久力パフォーマンスに対する急性効果が報告された。30または40mg/kg摂取し60分後に最大有酸素性速度を評価したところ、いずれの用量でも有意な記録向上が認められたという。

β-アラニンの急性効果を持久系アスリートで確認 摂取60分後の最大有酸素性速度に有意差

低用量と高用量摂取時と非摂取時の記録をクロスオーバー法で検討

β-アラニンのエルゴジェニック効果については多くの報告があるが、急性効果、とくに無酸素性代謝閾値(anaerobic threshold;AT)レベルのパフォーマンスへの急性効果はよくわかっていない。今回紹介する論文は、この点について検討した研究の報告。

対象は、少なくとも2年以上にわたる大会出場歴のある、12名の男性持久系アスリート。年齢21.8±2.37歳、体重69.8±4.36kg、身長174±5.45cm、BMI22.8±1.63、体脂肪率9.3±2.62%、VO2max59.6±3.77mL/kg/分。無作為化二重盲検クロスオーバー法により検討した。

β-アラニンの用量は30mg/kg、45mg/kgの2条件。パフォーマンスは、6分間でできるだけ長距離を走る、最大有酸素性速度(maximal aerobic speed;MAS)での走行距離を計測するテスト(6-minute run test;6-MRT)で評価した。

この6-MRTは公式陸上競技場の400mトラックで行い、3条件の試行には72時間以上のウォッシュアウト期間を設定した。また、環境の影響を最小化するため、同時刻(9~11時)、同様の気象条件(気温16~18℃、相対湿度70~80%)の日に実施した。さらに、競技をシミュレートするため、3人ずつのグループを形成し、記録を競い合う状況を作り出した。この3人の条件(β-アラニン摂取の有無と摂取している場合はその用量)は無作為化されていた。ただし、3回の試行でグループの変更は行わなかった。

栄養介入について

試験期間中、参加者はカフェイン、サプリメントの摂取を禁止され、また食事摂取量をなるべく一定に保つように指示された。試験は前日から絶食として、試験開始2時間前に炭水化物2g/kgの食事を摂取、60分の安静後、β-アラニン摂取条件では30mg/kgまたは45mg/kgのいずれかを摂取した。この2種類の用量のうち、参加者がどちらを摂取するかは、参加者本人と研究者ともに盲検化されていた。

その後30分の安静に続いて、10km/時で10分間のジョギング、80m×3のスプリントを含むウォームアップを実施してから、6-MRTによるパフォーマンスを評価した。

研究者らは、検討に先立ち、低用量(30mg/kg)に比較し高用量(45mg/kg)の条件では、パフォーマンスをより高めるとの仮説を立てていた。

β-アラニン摂取条件では6-MRTの走行距離が有意に延長

12名の参加者のうち11名が、β-アラニン30および45mg/kg摂取条件で、6-MRTの走行距離が非摂取条件よりも長かった。1名のみ、β-アラニン摂取条件(両方の用量)で、非摂取条件よりも記録が悪かった。

参加者全員を統合した解析の結果、β-アラニン非摂取条件では1,828.3±75.7m、β-アラニン30mg/kg摂取条件では1,856.9±66.6m、同45mg/kg条件では1,861.7±65.9mであり、β-アラニン摂取条件では非摂取条件に比べて有意に距離が長かった(p=0.001,効果量0.68)。

β-アラニンの摂取用量別に検討した場合、まず30mg/kgでは、非摂取条件での記録が-28.58(95%CI;-46.41~-10.76)m有意に短かった(p=0.003)。45mg/kgでは、非摂取条件での記録が-33.42(95%CI;-55.31~-11.52)m有意に短かった(p=0.004)。

β-アラニンを摂取した2条件の比較では、低用量(30mg/kg)摂取条件での記録が-4.833(95%CI;-25.22~15.55)mと短いものの、有意でなかった(p=0.801)。なお、パフォーマンスの改善をパーセントで表すと、30mg/kgでは1.55(95%CI;0.76~2.33)%、45mg/kgでは1.80(95%CI;0.84~2.76)%と計算された。

有意差はないながら高用量のほうが影響が強いのではないかとの結論

以上より論文の結論は以下のようにまとめられている。

「我々の研究結果は、最大有酸素性速度(MAS)での最大走行距離に対して、60分前の低用量および高用量のβ-アラニン摂取の双方が、持久力アスリートの身体能力を高めることを示している。二つの用量での有意差はなかったが、高用量摂取時には低用量摂取時よりも実質的な効果が高かった。したがって、この結果は我々の研究仮説を支持している」。

実践への適用「栄養の専門家に相談のうえ、摂取検討を」

論文では上記の結論に加えて、「実用的なアプリケーション」として、以下のように述べている。

「有酸素-無酸素移行域での身体能力を改善するためのエルゴジェニックエイドを求める持久系スポーツのコーチおよびアスリートは、β-アラニンの急性および慢性摂取を検討する必要がある。我々の研究結果に基づいて、30~45mg/kgの用量を提案する。ただし、コーチとアスリートは、適切な摂取量について有資格専門家に相談すべきであり、かつ、摂取後の効果判定のため、アスリート個々に反応を観察することを推奨する。また、β-アラニン摂取後の知覚異常を避けるために、摂取の60~90分前に2g/kgの炭水化物摂取を推奨する」。

文献情報

原題のタイトルは、「Acute Supplementation with Beta-Alanine Improves Performance in Aerobic-Anaerobic Transition Zones in Endurance Athletes」。〔J Am Nutr Assoc. 2022 Feb 15;1-8〕
原文はこちら(Informa UK Limited)

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