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柔道選手の急速な減量は、長時間の脱水状態を引き起こす恐れ

柔道アスリートの試合前の急速な減量は、パフォーマンス低下にはつながらないかもしれないが、減量後15時間では脱水が補正しきれず、長期的には健康とパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があるとする研究結果が報告された。著者らは、急速な減量を避ける予防策を講じる必要があると述べている。

柔道選手の急速な減量は、長時間の脱水状態を引き起こす恐れ

急速な減量(RWL)のメリットはいまだ明確でない

柔道を含む体重別階級のあるスポーツのアスリートは、有利な条件で試合に臨むため試合前に急速な減量(rapid weight loss;RWL)を行い計量をパスすることが多い。柔道家の場合、60~80%がこの戦略を用いているとする報告もある。

このような戦略が試合成績にプラスになるとする研究もあるが、それを否定する研究もあり、結果に一貫性がみられない。また、急速な減量(RWL)を繰り返すことが、パフォーマンス向上を阻害するという研究もあるが、それを否定する研究もあり、その点でも結果に一貫性がみられない。

このような状況を背景に、本論文の著者は柔道アスリートの急速な減量(RWL)によるパフォーマンスや脱水リスクの検討を行った。

国際柔道連盟(IJF)の規定に即した条件でテスト

研究対象は、エリート男子柔道選手18名。適格条件として、5年以上の柔道経験があり初段以上であること、国際大会の出場経験があること、前年に筋骨格系の怪我をしていないことが設定されていた。

9名ずつの2群に分け、1群を急速な減量(RWL)を行う群、他の1群を減量を行わない対照群とした。RWL群に割り当てられた選手は、過去3年間、1年あたり5回以上のRWLを行っていた。

研究プロトコールとパフォーマンスの評価方法

この研究では、合計3回、計量、採尿・採血、心拍数計測、パフォーマンステストが行われた。

まず、最初のそれら一連のテストを19時に実施。その後、RWL群に割り当てられた選手は、48時間以内に5%の減量を求められた。減量に際しては下剤や利尿薬の使用を禁止した。

48時間後にあたる2日後の19時(国際柔道連盟〈International Judo Federation;IJF〉の公式計量時間)に2回目の計量や採尿・採血、パフォーマンステストなどを実施。その後、15時間の回復期間をおいた翌日に3度目の計量等を行った。RWL群における回復期間での体重増加は、IJFの規定に即して計量時点から5%を超えてはならないこととした。

なお、パフォーマンステストは、柔道特有の評価指標である「Special Judo Fitness Test;SJFT」により評価した。投げ技をかける「取」と、投げられる「受」が6m隔てた位置から組み合い、被験者は「取」となって、30秒の間にできるだけ多く投げ技をかけてその回数をカウント。それを3回繰り返し、各試行には10分間の休憩をはさんだ。また、採血および心拍数の測定は、各試行の1分後と6分後に行い、最後のSJFTでは15分後にもそれらを測定した。

急速な減量を繰り返すことの長期的な影響の検証が求められる

では、結果をみていこう。

まず、SJFTで評価したパフォーマンスについて。

群間差は有意でないながら、RWL群では計量時点のパフォーマンスが低い

1機会に3回、計9回実施されたSJFTの投げ技の回数を、機会ごとに合計すると、対照群は経時的に有意な変化がなかった。一方、急速な減量を行ったRWL群は、減量直後の投げ技の回数が少なく、回復後の回数との間に有意差が存在した。

ただし、対照群とRWL群とを比較した場合、すべての測定ポイントで有意差は認められなかった。

RWL群では15時間の回復後も脱水状態

続いて尿比重をみると、初回の計測では対照群が1.019±0.006g/mL、RWL群は1.014±0.005g/mLであり、両群ともに平均値は脱水レベルになかった。しかし、48時間後の計量時点では、RWL群は1.026±0.003g/mLと脱水状態(1.020g/mL超)にあり、さらに15時間の回復を経た後も1.022±0.005g/mLであって、平均値が脱水レベルにあった。一方、対照群は、いずれの測定ポイントも、平均値が1.020g/mL以下だった。

SJFT後の心拍数も有意差

心拍数にも有意差が認められた。具体的には、RWL群は対照群に比較し、測定ポイントごとの心拍数の変動幅が大きく、かつ2回目と3回目のSJFTの1分後の心拍数が有意に高かった。

乳酸値には有意差のみられたポイントはなかった。

結論として、「本研究は、急速な減量は柔道特有のパフォーマンスに影響を与えなかったが、運動中の生理学的負荷を部分的に増加させた。また、15時間の回復で最大5%の体重増加にもかかわらず、十分な脱水の補正ができなかったことに留意が求められる。今後の研究では、急速な減量の繰り返しによる脱水の長期的影響に焦点を当てる必要があるだろう」とまとめられている。

文献情報

原題のタイトルは、「Effect of Rapid Weight Loss on Hydration Status and Performance in Elite Judo Athletes」。〔Biology (Basel). 2022 Mar 24;11(4):500〕
原文はこちら(MDPI)

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