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おいしい減塩食を実現したい!「電気刺激」で塩味が1.5倍になる箸型デバイスの開発

明治大学とキリンホールディングス株式会社の共同研究グループは、減塩食品の味わいを増強させる電気刺激波形と箸型デバイスを開発したと発表した。このデバイスを用いると、減塩食を食べたときに感じる塩味が1.5倍程度に増強されるという。第26回(一社)情報処理学会シンポジウム(2月28日~3月2日、オンライン開催)で報告するとともに、同大学のサイトにプレスリリースを掲載した。

おいしい減塩食を実現したい!「電気刺激」で塩味が1.5倍になる効果を確認

塩味や旨味を微弱な電流で増強させる

日本人の1日あたりの食塩摂取量は成人男性10.9g、女性で9.3g※1と、世界保健機関(WHO)が掲げる食塩摂取基準と比較しても非常に多い※2。塩分のとり過ぎは、高血圧・慢性腎臓病をはじめとした生活習慣病の発症や重症化を招きやすく、健康に関する大きな社会課題となっている。厚生労働省が生活習慣病予防のために設定した目標量(男性8.0g未満、女性で7.0g未満※3)を達成するには、今の食塩摂取量を20%以上抑制する必要がある。さらに、生活習慣病の重症化予防には1日6.0g未満の食塩摂取量が望ましいと考えられているが※4、塩分を控えた食事(減塩食)に対して「味が薄い」と感じる人が少なくなく、減塩食を続ける上での阻害要因となっている。

※1:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」
※2:5.0g/日未満(2012年 WHOガイドライン)との比較
※3:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
※4:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン」、日本腎臓病学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」

同研究グループでは2019年から、人体に影響しないごく微弱な電気を用いて、塩味の基となる塩化ナトリウムやうま味の基となるグルタミン酸ナトリウムなどが持つイオンの働きを調整し、疑似的に食品の味を濃くしたり薄くしたりすることで、味の感じ方を変化させる「電気味覚」の研究を共同で行ってきていた。

このたび、微弱な電流で塩味をコントロールし、減塩食の味わいを増強させる電気刺激波形を開発。さらに、この技術を搭載した箸型デバイスを作成し、実際に減塩の食生活を行っている人を対象に臨床試験を実施。その結果、減塩食を食べた際に感じる塩味が1.5倍程度※5に増強される効果を確認した。これは世界初の研究成果※6だという。

※5:一般食品を模したサンプルと、食塩を30%低減させたサンプルでの塩味強度に関する評価の変化値
※6:減塩の食生活を送る方々に対して、電気味覚での塩味増強効果を確認した研究として世界初。キリン調べ(2022年3月1日(火)時点の公開情報に基づく)

図1 電気刺激波形の検討風景

電気刺激波形の検討風景

(出典:明治大学)

図2 開発中の箸型デバイス

開発中の箸型デバイス

(出典:明治大学)

研究概要

方法

40~65歳の現在減塩をしている、または過去にしていた経験のある男女36名を対象に、微弱な電気刺激が付与される箸型デバイス(図1)を用いて、一般食品を模したサンプル(食塩を0.80%含有するゲル)と減塩食を模したサンプル(食塩を0.56%含有するゲル。食塩含有量は一般食品を模したサンプルとの比較で30%低減)を試食した後、感じた塩味強度について評価する試験を行った。同じデバイスを用いて、減塩味噌汁の塩味強度や風味の変化についても評価した。

図3 微弱な電気刺激が付与される箸型デバイス

微弱な電気刺激が付与される箸型デバイス

(出典:明治大学)

結果

減塩食を模したサンプルを試食するときに、開発した電気刺激波形(図2)を箸型デバイスに付与することで、電気刺激を付与しない条件と比較して塩味が1.5倍程度増強される結果が得られた。また、電気刺激を付与したときの減塩食を模したサンプルの塩味強度は、一般食品を模したサンプルと同等であることを確認した(図3)。

図4 開発した電気刺激波形

開発した電気刺激波形

(出典:明治大学)

図5 電気刺激による塩味増強効果

電気刺激による塩味増強効果

(出典:明治大学)

これにより、食塩を30%低減した食品を摂取する際に、本技術を搭載したデバイスを用いると、通常の食事と同等の塩味を提供できることが示唆された。また、減塩味噌汁を用いた実験においても、塩味の増強効果が確認され、コクやうま味、全体のおいしさの向上を感じたという意見が得られた。

研究グループでは、この新技術を「味を調整できる食器の開発につながるもの」だとしている。

プレスリリース

~減塩食をよりおいしく、「健康」課題の解決に向けた大きな一歩~ 世界初!電気刺激の活用で 塩味が約1.5倍に増強される効果を確認 —「味を調整できる食器」の開発につながる新技術—(明治大学)

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