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ラマダン中も栄養戦略次第でパフォーマンスを維持可能 スペインのサッカーリーグ「ラ・リーガ」所属選手での検討

ラマダン期間中のイスラム教徒のアスリートも、栄養戦略を最適化することで、体重や体組成、パフォーマンスへの影響を回避できるとする論文が発表された。スペインのプロサッカーリーグ「La Liga(ラ・リーガ)」で活躍する選手でのケーススタディーの報告である。

ラマダン中も栄養戦略次第でパフォーマンスを維持可能 スペインのラ・リーガ所属プロでの検討

ラマダン中のアスリートはパフォーマンス低下を甘受すべきなのか?

イスラム教徒はラマダン期間中、日の出から日没まで飲食を控えるため、アスリートの場合、パフォーマンスが低下する。ラマダンはイスラム暦の9カ月目に行われ、約ひと月続く。プロサッカーのリーグ戦の季節と重なることが少なくない。

ラマダン中には、肝臓と筋肉のグリコーゲン低下、体内水分の減少、脱水リスク、血糖値の低下のほか、睡眠時間がかわり概日リズムへの影響が生じる可能性もある。実際に、そのような影響をスポーツパフォーマンスの観点から報告した研究も、既に複数存在している。

しかし、イスラム教徒アスリートはラマダン期間中、パフォーマンスの低下を甘受しなければならないわけではなく、なんらかの方策を検討し得る。ただ、有効な方策を示した研究はほとんどない。

そこで本論文の著者らは、個別化した栄養介入を徹底することで、パフォーマンス低下を抑制できないか検討した。

ラ・リーガ所属プロサッカー選手でのケーススタディー

この研究は、ケーススタディーとして行われた。

対象は、5歳からサッカーを始め研究時点で20歳であり、15年間のサッカー経験がある、アフリカ出身のサッカー選手。スペインのプロサッカーリーグ「La Liga(ラ・リーガ)」で過去2シーズンプレーしてきている。

栄養戦略の個別化

ハリス-ベネディクトの式によって基礎代謝量を計算し、エリートサッカー選手に求められる必要なエネルギー量と栄養素量を算出。摂取エネルギー量は3,400kcal/日、炭水化物4.6g/kg/日、タンパク質2.5g/kg/日、食物繊維約25g/日、コレステロール200mg/日未満で、ビタミンB12は17.3mg/日とされた。

食事の時間は、朝食が5:30~6:00、軽食が20:00、夕食が22:30、二度目の軽食が0:30とした。

このほかに、ラマダン期間中は後半になるに従いグリコーゲンが枯渇に近づくため、エネルギー基質としてグリセロールを、初日~3日目までは25g(グリセロール溶液として0.5L)、4~6日目は50g(同1L)、7~10日は75g(同1.5L)、11日目以降は100g(同2L)摂取することとした。

パフォーマンスの評価について

パフォーマンスは、カウンタームーブメントジャンプ(countermovement jump;CMJ)とアバラコフジャンプ(abalakov vertical jump;ABK)で評価した。

カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)は、立位から腕を振る反動を使わずに行う垂直跳びで、30秒間隔で3回試行した。アバラコフジャンプ(ABK)は、膝を90°屈曲した状態から腕の反動を使わずに行う垂直飛びで、同様に30秒間隔で3回試行した。

ラマダン中に体重は減少し、骨格筋量は増加、パフォーマンスは上昇

上記の栄養戦略の結果、ラマダン期間中に、体重の減少と骨格筋量の増加、パフォーマンスの上昇が確認された。詳細は以下のとおり。

体重は、ラマダン入り時点で86.1kg、ラマダン明け時点で85.9kg、骨格筋量は同順に50.26%、51.50%であり、パフォーマンスは、CMJは36.72cmが40cmとなり、ABKは39.16cmから49.34cmとなった。

このほかにも、上腕や肩甲骨下、腹部、大腿部、下肢などの脂肪量の減少が確認された。

n=1研究であることに留意が必要

これらの結果をもとに著者は、「個別化された栄養戦略によって、ラマダン期間中もふだんの摂取エネルギー量を維持できることがわかった。また、体組成とパフォーマンスを改善できる可能性も示された」とまとめている。ただし、被験者が1名であることから、「結果を注意して解釈する必要があるとし、「この領域の研究はまだ不十分であるため、今後実施される研究では、フィットネス評価、体組成、および食生活に関するより詳細な検討を勧める」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Ramadan Nutritional Strategy: Professional Soccer Player Case Study」。〔Nutrients. 2022 Jan 21;14(3):465〕
原文はこちら(MDPI)

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