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「地球温暖化を防ぐための食事スタイル」体にも地球にもやさしい”SDGsな食事”とは?

健康によくない食べ物は地球の温暖化をも招くと指摘する論文が発表された。どうやら、食事摂取ガイドラインを遵守し、健康によいとされる植物性食品ベースの食生活とするほうが、地球にやさしい”SDGsな食事”と言えるようだ。英国リーズ大学の研究者らが報告している。

「地球温暖化を防ぐための食事スタイル」体にも地球にもやさしい”SDGsな食事”とは?

年々暑くなっていく原因のかなりの部分は、我々の食事スタイルにある

気候が徐々に暑く変わってきていることを、多くの人が実感しているのではないだろうか。いわゆる地球温暖化の影響とも考えられる。その地球温暖化の元凶は、言わずと知れた、化石燃料を燃やした際などに発生する温室効果ガス(global greenhouse gas;GHG)だ。しかし、世界の温室効果ガス(GHG)排出量の30%は、実は食料生産で占めているという。つまり、持続可能な開発目標(sustainable development goals;SDGs)の達成には、人々が食事の摂り方を今一度見直す必要がある。

どのように見直せば良いのか。本研究は、その方向性を明らかにしたものと言える。

食品の生産と消費に伴って発生する温室効果ガスの排出量を推定

この研究では、文献検索で得られた情報を基に、3,287種類のさまざまな食品の生産工程で発生する温室効果ガスの排出量を推定した。さらに、成人212人の24時間の食事摂取状況をモニタリングするという検討を3回繰り返し、食事スタイルと個人の温室効果ガスの排出量との関連を検討した。

212人の平均年齢は43歳で、女性が60%であり、菜食主義者が7%含まれていた。これらの参加者が口にした食品は合計1,313種類だった。

ベジタリアン、女性、推奨摂取量を遵守している人は地球にやさしい

検討の結果、1人の人間の食関連行動に伴う温室効果ガスの平均排出量は、7.4(95%CI;6.7~8.1)kg CO2eq/日と計算された。

食品カテゴリーで比較すると、肉類が最大の負荷

食品区分別の検討では、食関連温室効果ガス排出量への最大の寄与は肉類であり、32%を占めた。続いて飲料が15%、乳製品14%、ケーキや菓子8%などの摂取も、地球温暖化に関与していることが明らかになった。

男性は女性より4割多く負荷をかけている

男性の食事は、女性よりも41(95%CI;20~64)%、温室効果ガス排出量が多かった。これは、主として男性は女性よりも肉類の摂取量が多いことによるものだった。

ベジタリアンは地球にやさしい

非菜食主義者(一般的な雑食者)の食事は、菜食主義者(ベジタリアン)よりも59(95%CI;18~115)%、温室効果ガス排出量が多かった。この差もやはり、主として肉類の摂取量の違いによってもたらされていた。また菜食主義者は、ケーキや菓子の摂取に伴う温室効果ガス排出量も、雑食者より少なかった。

一方、果物や野菜の摂取に伴う温室効果ガス排出量は、菜食主義者のほうが多かった。ただし、肉類の摂取量が少ないことによる環境負荷の減少を上回るものではなかった。乳製品の摂取に伴う温室効果ガス排出量については、雑食者と菜食主義者で有意差はなかった。

推奨栄養素摂取量(RNI)を超過した食習慣は環境負荷につながる

世界保健機関(World Health Organization;WHO)の推奨栄養素摂取量(Recommended Nutrient Intake;RNI)を逸脱して食事を摂取することの、地球環境への有意な影響も示された。

例えば、飽和脂肪酸のRNI(摂取エネルギー比10%未満)を超える人は、年齢、性別、BMIを調整後も、RNIを遵守している人に比べて22(95%CI;1~48)%、温室効果ガス排出量が多いことがわかった。同様に、炭水化物のRNI(摂取エネルギー比55~75%)を超える人は、56(95%CI;26~94)%多く温室効果ガスを排出しており、さらにナトリウムのRNI(2,000mg/日。食塩換算で約5.1g/日)を超える人は、74(95%CI;13~167)%も多く温室効果ガスを排出していることが示された。

年齢や肥満の有無では有意差なし

一方、年齢や肥満の有無で比較した場合は、有意差がみられなかった。

具体的には、40歳未満と以上で比較すると、平均差(mean difference;MD)は8%で95%信頼区間が-8~27%であり、有意でなかった。肥満者と非肥満者の比較でもMD13(95%CI;-4~32)%であり、有意でなかった。

食事スタイルを変更することで、食関連温室効果ガスの排出を8割減らせる

前述のように、肉類の摂取が最も食関連温室効果ガスの排出に寄与しているという結果だが、その理由を著者は以下のように解説している。即ち、家畜の飼育には大量の飼料の栽培を要し、飼料の栽培には農薬を必要とするからだ。著者らは、「生産効率重視の食料生産では、SDGsの達成は困難だろう」と述べている。

このほかにも、家畜が胃から排出するガスや糞尿から発生するガスも強力な温室効果があることに言及。人々が肉類の摂取量を減らす必要があることを示唆している。

早期死亡の2割減少にもつながる

本論文の掲載にあわせて、リーズ大学のサイト内にニュースリリースが発表された。それによると、全般的に栄養価が低い食品ほど地球環境への負荷が大きい傾向がみられるという。そして、仮に人々が食生活を、本研究で示された環境負荷の少ないスタイルに変更した場合、食関連温室効果ガスの排出量が最大で80%減ると試算されるとのことだ。

そして、そのような食事スタイルへの変更は、成人の早期死亡の5分の1を防ぐことにもつながるとしている。

プレスリリース

Less healthy foods and drinks also damage climate(リーズ大学プレスリリース(英文))

文献情報

原題のタイトルは、「Variations in greenhouse gas emissions of individual diets: Associations between the greenhouse gas emissions and nutrient intake in the United Kingdom」。〔PLoS One. 2021 Nov 23;16(11):e0259418〕
原文はこちら(PLOS)

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