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スポーツ強度が強い競技のアスリートはテロメアが長い カタールでの研究

スポーツ強度の強い競技を行っているアスリートは、低強度の競技を行っているアスリートに比較して、テロメア長が有意に長いという研究結果を、カタール大学の研究グループが報告した。テロメア長以外にも、IL-6やIL-10のレベルも、行っている競技の強度により有意差がみられたという。

スポーツ強度が強い競技のアスリートはテロメアが長い カタールでの研究

慢性炎症レベルやテロメア長は、年齢やスポーツ強度によって異なるのか?

加齢に伴い免疫能が低下する。これに対して適度な身体活動を続けることが保護的に働くことに関しては、多くのエビデンスがある。ただし、身体活動が免疫系の調節にどのようにかかわっているのかはよくわかっていない。一方、加齢に伴い慢性炎症が亢進することも知られている。炎症反応の亢進が、疾患罹患率、サルコペニア、死亡率と関連することも報告されている。しかし、加齢と炎症の関連のメカニズムについてもやはり、不明な部分が残されている。

他方、年齢依存性の炎症の亢進や酸化ストレスと、テロメア長との関連を示す報告がある。テロメアは、染色体の末端にあるDNAとタンパク質からなる構造で、染色体の安定性を維持しているとされ、細胞分裂の回数に応じてテロメアが短くなる。そのため、テロメアの長さは老化のマーカーとなり得、テロメア長が長いことは長寿の可能性を表すと考えられている。

以上を背景として、本論文の著者らは、カタールのエリートアスリートを対象に、各種炎症性サイトカインのレベルとテロメア長を測定し、参加している競技種目の運動強度と、および年齢との関連の有無を検討した。

年齢25歳未満/以上、および競技種目により運動強度を3群に分類して比較検討

この研究の対象は、カタールの国内大会または国際大会に参加しており、ドーピング検査の対象となっているエリートアスリートのうち、研究参加に同意した80名。過去にドーピング検査で陽性と判定されたアスリートは除外された。ドーピング防止のための研究機関により血液サンプルが採取され、カタール大学で分析が行われた。

研究対象者を参加競技の強度により3群に分類

研究対象者80名は年齢が26.4±7.6歳、女性14名、男性66名だった。80名中20名は競技シーズン中に研究参加し、60名はオフシーズンに参加した。

全体を、参加している競技種目の平均的なVO2maxによって、低強度競技、中強度競技、高強度競技の3群に分類した。具体的には以下のとおり。

低強度スポーツ

18名、25.0±8.3歳。クリケット、乗馬、ゴルフ、パワーボート、スポーツクライミング。

中強度スポーツ

31名、28.0±7.4歳。サッカー。

高強度スポーツ

31名、26.4±8.5歳。自転車、陸上長距離、トライアスロン

解析は、運動強度で上記の3群で比較するとともに、25歳未満(45名)、25歳以上(35名)に二分し、運動強度と年齢で層別化して検討した。

数種類のサイトカインは年齢またはスポーツ強度で有意差

評価した項目は、IL-12p70、IL-1β、IL-4、IL-5、IFN-γ、IL-6、IL-8、IL-22、TNF-αなど10種類のサイトカイン、およびテロメア長。評価した10種類のサイトカインのうち、年齢またはスポーツ強度により有意差が認められたのは、IL-6、IL-8、TNF-α、IL-10の4種類であり、IL-12p70、IL-5、IFN-γは測定キットの感度を下回り、IL-1β、IL-4、IL-22は有意差がなかった。

インターロイキン-6(IL-6)とIL-10は、年齢25歳未満と以上との比較では有意差がなかった。一方、スポーツ強度で比較すると、スポーツ強度の強い競技に参加しているアスリートのほうが有意に高レベルだった。

TNF-αは、25歳未満は中央値1.4(四分位0.9~2.0)pg/mL、25歳以上は2.1(1.1~3.3)pg/mLであり、高齢アスリートのほうが有意に高値だった(p≦0.001)。一方、スポーツ強度で比較した場合、有意差はなかった。

テロメア長は年齢では有意差がなく、スポーツ強度で有意差あり

テロメア長に関しては、以下のような結果が得られた。

25歳未満では平均7.5±4.4kbであり、低強度スポーツでは5.0±3.1kb、中強度スポーツでは8.6±5.0kb、高強度スポーツでは8.3±4.3kbだった。25歳以上では平均6.7±3.33kbであり、低強度スポーツでは6.6±5.73kb、中強度スポーツでは6.0±2.53kb、高強度スポーツでは7.3±2.73kbだった。

スポーツ強度で調整すると、年齢の違いはテロメア長に有意な影響がみられなかった。一方、年齢で調整後もスポーツ強度の違いはテロメア長と有意な関連がみられ、スポーツ強度の強い競技に参加しているアスリートのほうがテロメア長が長かった(p≦0.05)。

以上より著者らは、「高強度スポーツを行っているアスリートでは、テロメア長がより長く、炎症誘発性および抗炎症性のサイトカインのレベルが高かった。低強度および中強度のスポーツを行っているアスリートと比較して、加齢による影響が少なく、より健康的な表現型である可能性を示唆している」と結論を述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Age and Sport Intensity-Dependent Changes in Cytokines and Telomere Length in Elite Athletes」。〔Antioxidants (Basel). 2021 Jun 28;10(7):1035〕
原文はこちら(MDPI)

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