カフェインサプリの機能性表示の多くに修正や加筆が必要 スペインからの報告
スペインで流通しているカフェインサプリメントの多くが、公的機関の推奨やエビデンスレベルの高い研究結果から導かれる推奨の範囲を逸脱していたり、情報が不足していたりするという報告が「Molecules」誌に掲載された。著者は、「ほとんどの製品のラベルを修正する必要がある」と述べている。
カフェインサプリのラベル情報は正確か?
アマチュアレベルであろうとプロレベルであろうと、アスリートのサプリメント使用はますます広がっている。中でもカフェインに関しては研究のエビデンスが豊富。
それらのエビデンスに基づき、欧州食品安全機関(European Food Safety Authority;EFSA)は、主として持久系スポーツアスリートの使用を想定し、持久力のパフォーマンスの向上、運動耐容能の向上、自覚的な苦痛の低下のため、3mg/kg(約200mg)、製品として最低70mg以上を、運動の1時間前に摂取するという使用法を示している。また、国際オリンピック委員会(International Olympic Committee;IOC)やオーストラリア国立スポーツ研究所(Australian Institute of Sport;AIS)も、それぞれ使用法を公表している。メタ解析の結果などをあわせると、現在のところカフェインのエルゴジェニック効果は6mg/kgで頭打ちとなり、9mg/kgを超えると副作用リスクが上昇すると考えられる。
本研究は、これらのエビデンスに基づく使用方法が、カフェインサプリメントのラベルにしっかり記載されているのかどうかを調べた結果である。
全くの不正確な情報は少ないものの、修正や追加が必要なラベルが多数
解析対象のサプリメント製品は、2020年3月にAmazonとGoogleショッピングのWebサイトの検索により収集された。「カフェイン」「ダイエットと栄養」「スポーツサプリメント」などのキーワードを用いて検索。カフェインの剤形は問わず、ピル、カプセル、飲料、チューインガムなどを含めた。
414製品がヒット。そこから、カフェイン以外の成分を含むサプリメントや、機能性に関する強調表示のない製品、摂取量が記されていない製品などを除外したところ、42製品が残った。解析はその42製品で行われた。
カフェインの用量の記載
カフェイン用量に関しては、85.36%(35製品)は1回あたり200mgだった。他に、4.88%(2製品)は1回あたり101~199mg、7.32%(3製品)は100mg、2.44%(1製品)は70~99mgという用量が設定されていた。
機能性の表示
機能性に関して最も多くみられた記載は、「エネルギーを与える」と「集中力や認知力を改善する」の56.1%だった。続いて「集中力改善、眠気除去」(51.2%)で、「減量」「精神的疲労の改善」、その次に「パフォーマンスの改善」と「身体的・精神的疲労の軽減」が続いた。
さらに、「免疫システムを改善する」、「グリコーゲンの使用を最適化する」などもみられた。
ラベルの記述が妥当でない具体的な理由
結論として、多くの製品のラベルの記述に修正や追記が必要であることがわかった。例えば、(1)カフェインに関して承認された機能性強調表示に準拠していない例として、以下のような記述がみられた。
- エネルギーを与える
- 熱発生作用
- 利尿作用
- 記憶力を向上させる
- 新陳代謝改善
- 媚薬効果
- 筋肉疲労の回復
- 脂肪を酸化・燃焼させる
- グリコーゲン貯蔵の利用を最適化する
- 免疫システムを強化する
- 疾患の治療によい
- 減量に役立つ
- 呼吸を助ける
- 心拍数を高め血管を収縮させる
- 酸化防止
このほか、(2)承認された機能性強調表示に準拠しているが、推奨用量を示していないケース、(3)承認された機能性強調表示と確立された正しい用量に準拠しているが、対象となるスポーツの種類を記載していないケース、(4)承認された機能性強調表示に準拠しており、製品の適切な推奨用量とサプリメントの効果を指定しているが、摂取するタイミングを記載していないケースがあった。
スポーツサプリメントのラベルに規制が必要か
結果として、前記の(1)〜(4)に該当せず、記載の修正や追記または削除が必要ないと判断された製品は、解析対象の2.78%だった。
その内訳は、機能性強調表示が「持久力のパフォーマンスを向上させる」で用量が70~99mg、および200mgという製品と、機能性強調表示が「短期的なパフォーマンスを向上させる」で用量が70~99mgの製品(強調表示の重複あり)。
以上から著者らは、「多くの製品が科学的根拠に基づく情報を正確に示していないか、十分な情報を示していないことが明らかになった」とまとめている。そのうえで、「スポーツサプリメントに関する誤った情報は、食品の広告やマーケティングの中でさまざまな形で見られ、消費者に大きな影響を与えている。公衆衛生またはスポーツ政策を改善し、スポーツ食品サプリメントに対し欧州で直接適用される規制を検討する必要がある」と提言している。
文献情報
原題のタイトルは、「Pre-Exercise Carbohydrate or Protein Ingestion Influences Substrate Oxidation but Not Performance or Hunger Compared with Cycling in the Fasted State」。〔Nutrients. 2021 Apr 14;13(4):1291〕
原文はこちら(MDPI)