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緑茶を飲むと、不健康な生活習慣による心血管代謝への悪影響が緩和される

健康的な生活習慣による高血糖や高インスリン血症、血管機能の低下を、緑茶が緩和する可能性を示唆するデータが報告された。健康な男性に7日間、過剰摂取と不活発な状態で過ごしてもらうという条件下での、二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験で検討した結果だ。

緑茶を飲むと、不健康な生活習慣による心血管代謝への悪影響が緩和される

非健康的な生活のマイナス面を、お茶を飲んで相殺できる?

ポリフェノールは、ヒトが摂取する食品の中に最も豊富に含まれている抗酸化物質の一つであり、心臓血管系に対して保護的に働くことが報告されている。ポリフェノールはフラボノイド、フェノール酸、リグナン、スチルベンの四つに大別され、このうちフラボノイドの心血管リスク低下作用が多く研究されている。

お茶は食事性フラボノイドの主要な供給源であり、とくに緑茶(未発酵)はカテキンが豊富で血管内皮機能を維持するように作用する可能性がある。実際に緑茶の摂取が、心血管疾患(cardiovascular disease;CVD)イベントリスクや2型糖尿病発症リスクの低下と関連するとするエビデンスがある。

一方、身体的不活動と過剰摂取による心血管代謝リスクは世界中で拡大している。お茶は世界各地で飲用されており、安価で容易な生活習慣の変更手段と言える。そこでこの研究では、緑茶の連日の摂取が、健康な人が不健康な生活習慣を送った際に生じる、心血管代謝リスクを緩和し得るとの仮説を立て、以下の検証を行った。

14名の活動的な健常男性対象に、二重盲検プラセボ対照クロスオーバー法で検討

この研究の対象は、14名の男性。14名というサンプルサイズは、既報に基づいて、緑茶摂取による介入で血管機能に有意差を得るのに必要な大きさとして決定された。

研究対象者の特徴

参加者は29±6歳、BMI25±2、平均血圧84±8mmHgで、健康で(高血圧、脂質異常症、心血管疾患、食物アレルギーなどの既往がなく)、活動的であり(1日の歩数が8,000歩以上)、喫煙習慣がないことを適格条件とし、なんらかの食事療法を行っている場合やサプリメント利用者は除外した。14名中9名はお茶またはコーヒーの常用者だった。

参加者はまずモニタリング期間として、4日間にわたり身体活動量と食事摂取量を記録。その後、二重盲検プラセボ対照クロスオーバー法により、5週間にわたり以下の順序で研究が行われた。1週間の導入期間に続き、1週間の介入期間(緑茶またはプラセボ介入)、2週間のウォッシュアウト、1週間の2回目の介入期間(1回目の介入と別の手段での介入)。

介入中の身体活動量と摂取エネルギー量

介入期間中は、事前の4日間のモニタリング期間の記録に基づき、1日の歩数を50%削減した。参加者自身が歩数計でカウントし歩数を調整するとともに、加速度計のデータを事後解析し検証した。

また介入中は通常の食事に加え「スナックボックス」から菓子類を摂取することで、モニタリング期間の摂取エネルギー量のプラス50%となるようにした。スナックボックスの食品は、脂質60%、炭水化物20%で構成されており、チーズ、サラミ、卵、ホワイトチョコレート、クロワッサンなどが含まれていた。

なお、参加者のモニタリング期間中の摂取栄養素のエネルギー比は、炭水化物49%、脂質31%、タンパク質20%だった。

緑茶、プラセボの摂取方法

介入期間中、参加者は1日3回、朝食、昼食、夕食の15分以上前に、二重盲検下で緑茶またはプラセボを摂取した。

緑茶は乾燥粉末の状態で提供され、アルミホイルの小袋に小分けされた2袋を、300mLの沸騰したお湯に溶かして摂取された。この用量の緑茶には、約300mgのフラボノイドが含まれていると推定される。

プラセボは、緑茶と同様の色と味に加工されており、フラボノイドやカフェインは含んでいなかった。

なお、緑茶に含まれるマルトデキストリン(19kcal/日)による緑茶とプラセボのエネルギー摂取量の違いは、毎日の食物摂取量にあわせて調整された。また参加者は、提供されるもの以外のお茶の摂取を避けるように指示された。

評価項目

各1週間の介入の前後に、食事負荷前後での血液検査と血管機能検査を行った。血液検査は、1,201kcal、炭水化物60%、脂質33%、タンパク質7%の食事を摂取させ、食前および食後180分までの血糖値、インスリン値の変動を測定した。

血管機能検査は、上腕動脈および浅大腿動脈の血流依存性血管拡張反応(flow mediated dilation;FMD)と、頸動脈反応テスト(carotid artery reactivity test;CAR)を評価した。前者のFMDは、上肢または下肢を一定時間駆血した後、駆血を解除すると、血管内皮から産生される一酸化窒素(NO)によって血管径が拡張する程度を測定するもので、末梢血管機能の指標とされる。後者のCARは手首を氷水に浸して交感神経を刺激した際に生じる頸動脈の拡張反応を測定するもので、中枢血管機能の指標とされる。

なお、これらの測定前6時間からは絶食とし、24時間前からはアルコール摂取と激しい運動を禁止した。また、血管機能の測定は、対象者が緑茶またはプラセボのいずれの摂取条件かをマスクされた1名の技師が行った。

緑茶摂取による介入により心血管代謝への影響が抑制

介入中の身体活動量と摂取エネルギー量の変化、および体重・血圧

身体活動量(歩数)は、介入前が1万1,103±3,385歩/日と比較して、介入期間中はプラセボ条件では5,880±1,462歩/日、緑茶条件では5,710±1,390歩/日と、双方の条件で有意に減少していた(ともにp<0.001)。プラセボ条件と緑茶条件の介入中の歩数は有意差がなかった(p=0.75)。

摂取エネルギー量は、介入前が2,373±864kcal/日と比較して、介入期間中はプラセボ条件では3,519±1,279kcal/日、緑茶条件では3,516±1,210kcal/日と、双方の条件で有意に増加していた(ともにp<0.001)。プラセボ条件と緑茶条件の介入中の歩数は有意差がなかった(p=0.95)。

体重は介入により、プラセボ条件では77.4±10.0kgから78.1±11.0kg、緑茶条件では76.9±9.0kgから77.6±10.6kgと変化したが有意でなく(p=0.07)、条件間の差も有意でなかった(p=0.92)。

平均血圧は介入により、プラセボ条件では83±5mmHgから85±5mmHg、緑茶条件では84±7mmHgから82±6mmHgへと変化したが有意でなかった。交互作用もp=0.06であり、有意水準に至らなかった。

食事負荷試験での血糖値、インスリン値の変化

食事負荷後の血糖値の上昇曲線化面積(area under the curve;AUC)は、プラセボ条件では介入前4,068±2,484mg/dL、介入後4,698±2,916mg/dLであり、インスリンのAUCは同順に1万2,562±4,498miu/L、1万6,254±6,803miu/Lであって、ともに介入後のほうが有意に大きかった(ともにp<0.05)。

一方、緑茶条件では、血糖値が介入前4,698±2,160mg/dL、介入後が2,953±2,034mg/dL、インスリンが同順に1万5,225±5,501miu/L、1万533±3,825miu/Lであり、ともに介入後のほうが有意に小さかった(ともにp<0.05)。

インスリン感受性の指標である松田インデックスは、プラセボ条件では介入前3.7±2.0、介入後3.0±1.3であり有意に低下していたが(p<0.05)、緑茶条件では同順に3.3±1.7、4.2±2.2であり有意な変化がなかった(p>0.05)。

血管機能の変化

FMD(末梢血管機能)の変化

上腕動脈のFMDは、プラセボ条件では介入前7.0±2.5%、介入後7.0±3.4%で有意な変化がなく、緑茶条件でも同順に7.0±1.2%、7.7±1.6%で有意な変化がなく、条件間の差も有意でなかった。

一方、浅大腿動脈のFMDは、プラセボ条件が介入前7.0±3.4%が介入後に5.0±2.8%と有意に低下したのに対し、緑茶条件では同順に6.7±3.6%、7.3±3.5%であって、有意な変化がなく、介入前後の変化幅に条件間の有意差が存在した(p<0.001)。

CAR(中枢血管機能)の変化

CARは、プラセボ条件では介入前5.1±1.5%、介入後3.3±4.3%と有意に低下したのに対し、緑茶条件では同順に5.7±5.3%、7.5±4.0%であって、有意な変化がなく、介入前後の変化幅に条件間の有意差が存在した(p=0.04)。

わずか7日の不摂生がリスクを増やし、食習慣の簡単なアレンジがそれを抑制する

これら一連の結果から結論として著者らは、「歩数が50%少なく、摂取量が50%多いというわずか7日間の不健康なライフスタイルが、若くて健康な男性の末梢および中枢血管機能だけでなく、食後の代謝異常につながることが明らかになった。そして、緑茶を毎日摂取すると、これらの短期間の代謝および血管への有害な影響が抑制された。これは、緑茶の摂取などのごく簡単な食事の変化​​が、健康な参加者が一時的に不健康なライフスタイルにさらされた場合の短期的な悪影響を、回避するのに役立つ可能性があることを示唆している」とまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「Impact of green tea on the deleterious cardiometabolic effects of 7‐days unhealthy lifestyle in young healthy males」。〔Physiol Rep. 2021 Mar;9(5):e14720〕
原文はこちら(John Wiley & Sons)

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