プロとアマ、男性と女性でサプリの利用状況が異なる ラグビー選手対象の調査結果
サプリメントの利用率、種類、利用目的、購入方法、摂取するタイミングなどが、性別や競技レベルで異なるかを、ラグビー選手で調査した結果が、スペインから報告された。プロは運動の後、アマチュアは運動の前に摂取することが多いなど、多くの差異が明らかになった。
ラグビーは、試合中に低強度の身体活動と高強度の身体活動が断続的に繰り返され、1試合中の走行距離は3,500~8,000mに及び、加えてタックルなどの強い衝撃の発生する動作を伴う。エネルギー需要を満たし身体的パフォーマンスを維持するため、食事に加えてサプリメントを摂取しているアスリートも多い。ただし、ラグビーによる運動負荷量は競技レベルや性別によって異なり、そのような違いによりサプリの摂取状況も異なると考えられる。本論文は、その点に着目して行われたアンケート調査の結果報告。
調査対象は、スペインのラグビー連盟に所属している144人。内訳は、性別が男性83人、女性61人、競技レベルはプロが69人、アマチュアが75人。平均年齢は23~24歳。
サプリ摂取率は女性より男性、アマチュアよりプロが有意に高い
対象者全体の65.3%が少なくとも1種類のサプリを摂取していた。
サプリ利用率を性別に比較すると男性は女性よりも有意に高く(77.1 vs 49.2%,OR1.79〈95%CI;1.22~2.63〉,p=0.001)、競技レベル別ではプロのほうがアマチュアよりも高かった(79.7 vs 52.0%,OR2.09〈95%CI;1.29~3.38〉,p=0.001)。
サプリ利用者が摂取しているサプリの品数は平均3.90±3.56だった。
女性と男性での比較(4.44±3.51 vs 3.44±3.57,p=0.10)、および、アマとプロでの比較(4.35±3.84 vs 3.30±3.07,p=0.08)では、いずれも有意差がなかった。
サプリの利用目的のトップはパフォーマンスの向上
サプリを摂取する目的は、スポーツパフォーマンスの向上(62.3%)、栄養不足の予防(14.0%)、健康状態(8.8%)、および、体型(容姿)の向上(7.0%)だった。
スポーツパフォーマンスが摂取目的としていたのは女性よりも男性のほうが有意に多かった(74.3 vs 43.2%,OR1.75〈95%CI;1.19~2.57〉,p=0.002)。アマとプロの差は有意でなかった(p=0.205)。
サプリの情報源、プロはトレーナー、アマは友人
利用するサプリの種類、有用性を判断するための主な情報源については、25.8%がスポーツトレーナーから、16.7%が友人や栄養士から、13.6%がコーチから、12.1%がチームメートからと回答していた。
男性は女性よりもスポーツトレーナー(27.3 vs 22.7%)、栄養士(19.3 vs 11.4%)、友人(17.0 vs 15.9%)、チームメイト(13.6%対9.1%)からとの回答が多かった。一方で女性は男性よりも医師(15.9 vs 0%)、コーチ(15.9 vs 12.5%)からアドバイスを多く受けていた。
プロはアマに比較し、スポーツトレーナーからのアドバイスを参照するとの回答が有意に多く(34.1 vs 7.3%,OR1.49〈95%CI;1.23~1.80〉)、一方でアマは友人(26.8 vs 12.1%,OR1.83〈95%CI;1.09~3.09〉)、および医師(12.2 vs 2.2%,OR2.48〈95%CI;1.43~4.29〉)からのアドバイスを参照するとの回答が有意に多かった。
購入経路は半数近くがネット
サプリの購入経路は半数近くがインターネット(45.6%)で、次に専門店(39.8%)、薬局(4.9%)、その他(9.7%)と続いた。
プロはインターネットでの購入がアマよりも有意に多く(54.1 vs 33.3%,OR1.40〈95%CI;1.01~1.94〉)、専門店での購入も多かった(40.5 vs 39.3%)。性別では有意差はなかった。
プロはほぼ連日、アマは競技日のみに摂取するアスリートが多い
サプリ摂取する頻度については、44.7%がトレーニングと競技日に摂取すると回答。29.8%はトレーニング日にのみに摂取していて、10.6%は競技日にのみ摂取。1年中(毎日)が8.5%、時々が6.4%だった。性別では摂取の頻度に差がなかった(p=0.22)。
一方、競技レベルでは有意差がみられ、トレーニング日と競技日中に摂取する割合はアマよりプロのほうが高く(56.4 vs 28.2%,OR1.60〈95%CI;1.13~2.27〉,p=0.020)、競技日にのみ摂取するとの回答はアマで有意に多かった(20.5 vs 3.6%,OR2.17〈95%CI;1.42~3.31〉)。
プロは運動後、アマは運動前に摂取
サプリメント摂取のタイミングについては、運動後が最も多く53.2%、運動前と運動中および運動後に摂取するとの回答が17.0%、運動前が16.0%、とくに決まっていないが5.3%だった。これらの回答に性別による差はみられなかった。
一方、競争レベル別では、プロは運動後に摂取するとの回答が多く、アマとの間に有意差があり(65.5 vs 35.9%,OR1.67〈95%CI;1.13~2.45〉,p=0.004)、また、運動前と運動中および運動後に摂取するとの回答も多かった(20.0 vs 12.8%)。反対にアマはプロよりも運動前にサプリを摂取するとの回答が多かった(30.8 vs 5.5%,OR2.34〈95%CI;1.57~3.50〉)。
プロは乳清蛋白、クレアチン、BCAAの利用が多い
最も利用されていたサプリは、乳清蛋白(44%)で、続いてカフェイン(42%)、スポーツドリンク(38%)、エネルギーバー(34%)、クレアチン一水和物(31%)、分岐鎖アミノ酸(BCAA.19%)、グルタミン(12%)など。
性別に比較すると、乳清プロテイン(OR1.76〈95%CI;1.32~2.35〉,p<0.001)、クレアチン一水和物(OR1.69〈95%CI;1.30~2.18〉,p<0.001)、およびグルタミン(OR1.52〈95%CI;1.15~1.99〉,p=0.036)は、男性の利用率が有意に高かった。
競技レベル別ではアマよりプロのほうが、乳清蛋白(OR2.57〈95%CI;1.76~3.76〉,p<0.001)、クレアチン一水和物(OR1.60〈95%CI;1.15~2.21〉,p=0.011)、およびBCAA(OR1.90〈95%CI;1.41~2.56〉,p<0.001)の利用率が高かった。
文献情報
原題のタイトルは、「A Survey on Dietary Supplement Consumption in Amateur and Professional Rugby Players」。〔Foods. 2020 Dec 22;10(1):7〕
原文はこちら(MDPI)