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'うま味'感度が低い人は甘いもの好きの肥満が多く、摂取エネルギー量が増えやすい

'うま味'に対する味覚感度が低い人には肥満が多く、感度が良好な人に比べると、摂取エネルギー量が経年的に増えていきやすいことを示した、日本人対象の研究結果が報告された。うま味に対する感度が低い人は甘味を感じることで満足感を得ており、そのような食習慣が肥満を増やしてしまうとも考えられるという。山陰労災病院循環器科の水田栄之助氏らの研究によるもの。同氏は「うま味に対する感度か低いことは、肥満の新たな予測因子だ」と述べている。

'うま味'感度が低い人は甘いもの好きの肥満が多く、摂取エネルギー量が増えやすい

グルタミン酸ナトリウム希釈液(味の素)でうま味感度を評価

味覚には、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5種類があるとされる。このうち、うま味は、脳内の扁桃体を刺激して食事の満足度を高めることが知られている。これを裏付ける知見として、肥満の女性はうま味に対する感度が低いことが、海外から横断研究の結果として報告されている。

しかし、この関係を日本人で検討した研究はなく、また、うまみ感度が低いことがその後の食生活に何らかの影響をもたらすか否かは、ほとんどわかっていない。

うま味感度が低い群には、肥満、高尿酸血症、甘味好きの人が多い

この研究の対象は47名(男性14名、女性33名)。糖尿病患者や、味覚に影響を与えると報告されている降圧薬を服用している患者は除外した。平均年齢は37.4歳。

甘味と塩味に対する感度は、専用試薬(テーストディスク〈三和化学研究所〉)を用いて評価。うま味に対する感度は、味の素(グルタミン酸ナトリウム97.5%)を0.03%に希釈した液体1mLを口に含み、味を感じとれるか否かで二分した。その結果、半数弱(22名、46.8%)が、うま味感度が低いと判定された。

うま味に対する感度が低い「低感度群」と、感度が良好な「対照群」(25名、53.2%)を比較すると、年齢や性別(男性の割合)、喫煙者率、飲酒者率などは有意差がなかった。しかし、肥満者の割合(36.4 vs 11.5%,p=0.011)や、高尿酸血症の割合(13.6 vs 0.0%,p=0.028)は、低感度群のほうが有意に高かった。

さらに、甘味が好きか嫌いかを調査したところ(「大嫌い」から「大好き」の5段階評価での回答)、「好き」または「大好き」と回答した人の割合は、対照群の33.3%に比較して低感度群では71.4%であり(p=0.033)、うま味感度が低い人には甘味好きの人が多いことがわかった。なお、甘味または塩味に対する感度が低下している人の割合や、塩味が好きと回答した人の割合は、うま味に対する感度の高低による有意な違いは認められなかった。

うま味感度が低い群では、約1年後に摂取エネルギー量が増加した人が多い

うま味に対する感度低下が食事摂取量に及ぼす影響を検討するために、上記の調査を行ってから9~12カ月後に、同一被験者を対象として2回目の調査を行った。

24時間思い出し法により評価した摂取エネルギー量が、初回調査から2回目の調査の間に増加していた人の割合を比較。すると、対照群では36.0%と約3人に1人だったのに対して、低感度群では68.2%であり、約3人に2人は摂取エネルギー量が増大していた。年齢と性別で調整しても群間に有意差が存在した(p=0.032)。

BMIが増加した人の割合や、炭水化物・脂質・蛋白質の摂取量の変化は、両群で差はなかった。腹囲長が増加した人の割合は、低感度群57.1%、対照群33.3%で前者が多かったが、統計的有意差はなかった(p=0.097)。

うま味を活用した栄養指導を!

以上の研究結果は、以下の3点に要約される。

  1. うま味に対する味覚感度が低い人は、肥満に該当することが多い。
  2. うま味に対する味覚感度が低い人は、甘味好きであることが多い。
  3. うま味に対する味覚感度が低い人は、摂取エネルギー量が増加していきやすい。

これらの関連を説明し得る機序として、著者らは以下のような考察を加えている。

まず、うま味に対する感度が低い人は、うま味のある食品ではなく、砂糖を多く含む食品を摂取することで満足しようとするため、菓子類を過剰に摂取する可能性があると考えられる。食事による満足感は、うま味と甘味による脳の扁桃体への刺激によってもたらされ、うま味の感度が低い場合は甘味によって代償しようとする可能性があるということだ。この考え方を支持する知見として、うま味成分であるグルタミン酸ナトリウムは、舌甘味受容体の細胞外ドメインに結合し、甘味応答を調整していることが動物実験で明らかになっているとしている。

著者らによると「本研究は、被験者数が十分でないものの、うま味に対する感度が低いことが日本人の肥満の新たな予測因子である可能性を示唆する初めての研究報告」という。そして、「近年、肥満やメタボリックシンドロームの増加が著しい。うま味感受性の評価、および、うま味を活用した食事により満足を得る食習慣は、生活習慣病の抑制という重要な臨床的意義があるのではないか」と述べている。

「うま味調味料」として知られるグルタミン酸ナトリウムは、昔「中華料理症候群」など副作用が懸念されたが、現在それは否定されている。うま味を栄養指導にうまく取り入れることができれば、肥満やメタボリックシンドロームの抑制にも役立つかもしれず、今後の研究が期待される。

文献情報

原題のタイトルは、「Umami taste disorder is a novel predictor of obesity」。〔Hypertens Res. 2020 Dec 7〕
原文はこちら(Springer Nature)

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