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カフェインによる洗口(マウスリンス)は発汗量や脱水リスクに影響しない 市民ランナーでの検討

カフェインによる洗口は発汗量や脱水リスクに影響しない 市民ランナーでの検討

カフェインは、スポーツパフォーマンスの向上に利用されるサプリメントの中でも最も頻用されているものの一つ。カフェインは中枢神経系を刺激し、アデノシン受容体を遮断することで、その効果を発揮すると考えられている。一方、カフェインには、とくに高用量を摂取した場合に、消化管障害や利尿を招くというデメリットも知られている。

これに対して近年、カフェインを用いた洗口(マウスリンス)が、消化管障害を惹起せずにパフォーマンス向上が期待できる新たな戦略として浮上してきた。5〜20秒間のカフェイン洗口は、口内に存在するアデノシン受容体に結合することを介してアデノシンを競合的に阻害し、エルゴジェニック効果を誘発する可能性が想定されている。また、洗口という手法は、カフェインの摂取よりも、口内粘膜を介して迅速に体内に吸収されると考えられ、その差異がメリットにつながることも考えられる。

しかし、カフェイン洗口がスポーツパフォーマンスの向上をもたらすか否かは明らかでない。今回紹介する論文は、カフェイン洗口後の10kmランニングによる水分補給状態や発汗量への影響を検討した研究。

レクリエーションランナーを対象の二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験

既報のデータをもとに、10kmのランニングでカフェイン洗口の体液恒常性への影響を検証するには、8名以上のサンプル数が必要と推計された。パフォーマンスに影響を与える疾患がなく、カフェイン摂取量は標準的であり、カフェイン以外のエルゴジェニック作用のあるものは摂取しておらず、競技ランナーではないことを条件に被験者募集が行われ、レクリエーションランナー10名(男性8名、女性2名)が抽出された。

被験者の男性は30.0±7.1歳、体脂肪率19.2±8.6%、女性は30.5±3.5歳、体脂肪率19.9±5.8%で、トレーニング量は4~7日/週、5~40km/週(中央値10km/週)だった。また24時間思い出し法による摂取エネルギー量は2,033.8±723.7kcalで、栄養素構成比は炭水化物44.4±8.7%、脂質27.1±7.7%、蛋白質28.0±5.7%であり、1週間あたりのカフェイン摂取量は24.9±17.2サービングだった。

試験デザインは、全被験者にカフェイン洗口後およびプラセボ洗口後に10kmトライアルを行い、どちらが洗口に用いられたかを知らされていない研究者が体液恒常性を判定するという二重盲検プラセボ対照クロスオーバー法。カフェインは300mgを25mLの水で希釈し、10秒間洗口ののち吐き出してもらった。プラセボ条件ではセルロースの水溶液を用いて同様の手順で洗口してもらった。

各条件のトライアルの間には7日間のウオッシュアウト期間を設けた。トライアル実施日の気象は、1日目が気温28.7℃、湿度59.5%、2日目が28.5℃、56.5%で、どちらも有意差はなかった。被験者はトライアル前、通常どおりの食事と水分を摂取するように指示されていた。

体液恒常性への影響は認められない

では結果だが、まず脱水の程度を表す体重の減少率は、プラセボ条件、カフェイン条件の順に、1.20±0.57 vs 1.49±0.29%(p=0.15)、発汗量は同順に15.34±9.71 vs 11.91±6.98mL/分(p=0.39)、水分補給量は15.32±9.71 vs 11.89±6.99mL/分(p=0.37)、総水分摂取量720.0±437.2 vs 555.0±326.1mL(p=0.37)であり、すべて群間に有意差はなかった。

著者らはこの検討結果に加え、カフェインの利尿作用は身体活動中の懸念を増加させないというメタアナリシスの報告があり、暑熱環境での運動でもカフェインの有害性を示唆するエビデンスはほとんどないといった考察のもと、「カフェイン洗口が脱水リスクを押し上げる可能性は低く、運動前に避ける必要はない」としている。その一方で、「カフェイン洗口によるスポーツパフォーマンス向上のエビデンスはまだ少なく、その効果の検証とメカニズムの解明にはさらなる研究が必要」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Acute Caffeine Mouth Rinse Does Not Change the Hydration Status following a 10 km Run in Recreationally Trained Runners」。〔Biomed Res Int. 2020 Jun 6;2020:6598753〕
原文はこちら(Hindawi)

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