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硝酸塩の効果は、パフォーマンスの高い持久系アスリートほど低下する 文献レビュー

一酸化窒素(NO)は、血管拡張作用等において重要なシグナル伝達を果たしている。そのNO合成の基質であるL-アルギニンや硝酸塩は、食事によって体内に取り込まれるため、エルゴジェニックエイドとして利用されている。ただし、硝酸塩摂取によるパフォーマンへの影響は、報告によってまちまちで一定していない。

硝酸塩の効果は、パフォーマンスの高い持久系アスリートほど低下する 文献レビュー

硝酸塩摂取による影響が一定しない理由を本論文の著者らは、検討対象のトレーニング状況によって生じている可能性を想定し、これまでの報告の系統的レレビューを行った。著者らの仮説は、トレーニングを十分に行っている持久力系アスートでは、タイプII線維(速筋線維)に比べてタイプI線維(遅筋線維)の割合が高い可能性があり、動物実験の結果からは、タイプI線維は硝酸塩補給の効果が認められないことが示されていることに基づいている。

文献レビューによって、13報、22件の研究を抽出

2015年1月1日~2019年12月31日に発行された論文を、ScopusおよびPubMedにより検索した。キーワードは、「食事性硝酸塩」、「運動パフォーマンス」、「運動」などとし、健康な被験者を対象としていて、実験プロトコルに何らかのタイムトライアルテストを用いており、被験者のトレーニング状態が記されている、英語で発表された原著論文を検索した。最初の検索で229報がヒットし、この中から適格基準を満たすものとして、13報、22件の研究が抽出された。

22件の研究の被験者のトレーニングレベルをVO2maxによって5段階に分類。その内訳は以下のとおり。

トレーニングを行っていない人(VO2maxが男性45mL/kg/分未満、女性37mL/kg/分未満)を対象とした研究1件、レクリエーションレベル群(男性45~54.9mL/kg/分、女性37~48mL/kg/分)を対象とした研究4件、アスリート群(男性55~64.9mL/kg/分、女性48~52mL/kg/分)を対象とした研究4件、十分なトレーニングを行っているアスリート群(男性65~71mL/kg/分、女性52~58mL/kg/分)を対象とした研究12件、エリートアスリート群(男性71mL/kg/分以上、女性58mL/kg/分以上)を対象とした研究1件。

トレーニングレベルの低い集団で硝酸塩摂取の慢性効果

硝酸塩摂取によるタイムトライアルの変化量を、前記の5段階別にみると、トレーニングを行っていない人では2.63%の短縮で、以下、レクリエーションレベル群2.83%、アスリート群0.49%、十分なトレーニングを行っているアスリート群0.27%、エリートアスリート群0.31%、それぞれ短縮していた。統計的に、ふだんのトレーニングが少ないほど、硝酸塩摂取によるパフォーマンス向上効果が高いという有意な関係が認められた。

慢性効果と急性効果の比較

この結果を、硝酸塩を日常的に摂取している場合の慢性効果と、単回摂取後の急性効果に二分してみると、慢性効果については全体解析と同様に、トレーニングレベルが少ない集団のほうがタイムトライアルの短縮幅が大きいという有意な関連が認められた。しかし急性効果については、トレーニングレベルとの有意な関連は認められなかった。

高地トレーニングでの検討

低酸素状態では、タイプI線維の作業効率が低下しタイプII線維への依存度が高まる。このことから、ふだんのトレーニングレベルが高い対象群でも、硝酸塩摂取の効果が増強する可能性が考えられる。

そこで著者らは、高地トレーニングで硝酸塩摂取の影響を検討した3報、6件の研究に絞って検討した。結果は、高度なトレーニングを受けている群でもパフォーマンスの向上が見られたが(Vo2max65mL/kg/分以上の集団で3.2%の短縮)、トレーニングを受けていない集団では3.6%の短縮だった。

結論を著者らは、「タイムトライアルパフォーマンスに対する食事性硝酸塩のエルゴジェニック効果は、トレーニングレベルの低いアスリートで観察される可能性が高いことがわかった。アスリートのトレーニングステータスが高いほど、硝酸塩を摂取してもパフォーマンスの改善は少ないと示唆される。この関係は、単回摂取による急性補給プロトコルより、持続的な摂取プロトコルで、より強く認められた」とまとめている。

その一方で、「エリートアスリート間のパフォーマンスレベルの差はわずかであるため、本検討で示されたタイムトライアルで0.31%程度の短縮効果であっても、表彰台の順位に違いをもたらす可能性がある」とも述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of Dietary Nitrates on Time Trial Performance in Athletes with Different Training Status: Systematic Review」。〔Nutrients. 2020 Sep 8;12(9):E2734〕
原文はこちら(MDPI)

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