農水省が「令和元年度 食育白書」を公表 令和を担う若い世代の食育を特集
農林水産省は6月16日、閣議決定された「令和元年度食育推進施策(食育白書)」を公表した。令和元年度版の特集は、第3次食育推進基本計画の重要課題の一つである「若い世代を中心とした食育の推進」。
食育推進政策の基本的枠組み
食育に関する施策を総合的・計画的に推進し、将来にわたり健康で文化的な生活、豊かで活力ある社会の実現に寄与することを目的に、2005年7月に「食育基本法」が施行された。食育は、生きる上での基本であって、知育、徳育、体育の基礎となるべきものと位置付けられ、さまざまな経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てるというのが法の趣旨。
2016年度から2020年度までの5年間で取り組むべき施策として提示された「第3次食育推進基本計画」では、(1)若い世代を中心とした食育の推進、(2)多様な暮らしに対応した食育の推進、(3)健康寿命の延伸につながる食育の推進、(4)食の循環や環境を意識した食育の推進、(5)食文化の継承に向けた食育の推進――という五つの重点課題を規定している。
令和元年度 食育白書の概要
「令和元年度 食育白書」の内容は3部構成で、第1部の「食育推進施策をめぐる状況」では「若い世代を中心とした食育の推進」をテーマとした特集とし、若い世代の食生活の現状等を分析するとともに、若い世代が中心となって積極的に取り組んでいる食育事例を紹介している。
例えば、宮城学院女子大学で管理栄養士を目指す学生が運営している、食を通じた地域の活性化に貢献することを目的としたボランティア団体「Food and Smile!」は、地元企業や地域住民と連携しながら衛生面や栄養面に配慮し、避難所や家庭にある食材で水道・電気・ガスを極力使わず簡単に調理できる「災害食」レシピを開発・普及しているという。
第2部は「食育推進施策の具体的取組」について、第3次食育推進基本計画に掲げられている事項の具体的な取組状況を、全国の事例を紹介しつつ話題性の高いテーマについてコラムとして紹介している。
第3部の「食育推進施策の目標と現状に関する評価」では、第3次食育推進基本計画での令和元年度における進捗状況を述べている。
若い世代における食生活の現状
第3次食育推進基本計画で定められている若い世代に関連する四つの数値目標と、その達成状況は以下のとおり。
1.朝食を欠食する割合
朝食を欠食する(「週に2~3日食べる」および「ほとんど食べない」)若い世代の割合を、2020年度までに15%以下とすることを目指している。2019年度は25.8%。とくに男性は、31.5%が朝食を欠食していた。
朝食の摂取頻度(性・年代別)
2.主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べている割合
「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べている若い世代の割合」を、2020年度までに55%以上とすることを目指している。2019年度は37.3%だった。
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の摂取頻度(性・年代別)
3.地域や家庭で受け継がれてきた伝統的な料理や作法等を継承している割合
「地域や家庭で受け継がれてきた伝統的な料理や作法等を継承している若い世代の割合」を、2020年度までに60%以上とすることを目指している。2019年度は61.6%であり、目標を達成している。
伝統的な料理や作法等を継承している人の割合(性・年代別)
4.食品の安全性について基礎的な知識を持ち、自ら判断する割合
「食品の安全性について基礎的な知識を持ち、自ら判断する(「いつも判断している」および「判断している」)若い世代の割合」を、2020年度までに65%以上とすることを目指している。2019年度は70.3%であり、目標を達成している。
食品の安全性について基礎的な知識を持ち、自ら判断する割合(性・年代別)
食育推進施策の目標と現状に関する評価
食育白書の第3部には、食育推進施策の目標と現状が以下のように表形式でまとめられている。21個の目標のうち、3、6、12、18、20は、現状で目標に到達したもの。
食育推進施策の目標と現状に関する評価
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令和を担う若い世代の食育を特集~「令和元年度食育白書」の公表~(農林水産省)