スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2023 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

十代のセーリング選手のサプリメント使用状況を調査 スペインの研究

セーリングは、風をとらえてボートを最大速度に保ち、波や潮を読んで可能な限り最短時間となるルートを選びゴールを目指す。操船のためにセーラー(選手)はボートから体を大きく張り出たせ、全身を使って帆とボートを操る。この運動は総航海時間の最大94%に達するという。

セーリング選手のサプリメント摂取状況 スペインでの調査

競技の持続時間も短くないが、競技中に頻繁に栄養素や水分を摂取できるわけではない。そのためパフォーマンスの維持にはふだんの食事管理が基本となり、それを補うためにサプリメントをとるセーラーも少なくない。ただしセーリング選手のサプリメント摂取状況はあまり調べられていない。

さまざまなカテゴリーの未成年選手を対象に調査

この研究は、スペインのアンダルシアにあるセーリング団体と、国際大会に参加経験のあるクラブに協力を呼びかけ、未成年(12~17歳)の42名の協力者を得た。

内訳は、性別は男性31名、女性11名、競技レベルは国際大会レベルが32名、国内大会レベルが10名。カテゴリーは、レーザークラスが15名、クラス420が6名、テクノ293クラスが12名、RS:Xクラスが9名。2018年12月27~30日に、スペイン南西部の港湾都市カディスで開催されたニューイヤーレース中に、調査が実施された。

サプリメントの摂取目的や購入経路に性差

サプリメントを摂取していると答えたアスリートは、男性54.8%、女性45.5%で男性の方が割合は高いが有意差はなかった(p=0.209)。

サプリメントを摂取しているアスリートに、摂取のタイミングを調査すると、トレーニング期間と競技日の双方で摂取しているのが男性46.2%、女性28.6%、競技日のみは男性50.0%、女性57.1%、トレーニング期間のみは男性3.8%、女性14.3%だった。

摂取の目的に関しては、統計的に有意な性差が観察された。具体的には、パフォーマンスの改善が男性(65.4% vs 女性28.6%)、体格の改善(15.4% vs 0%)、特別な理由なし(7.7% vs 0%)、などは男性が多かった。反対に女性では、健康状態の改善(57.1% vs 11.5%)、栄養不足の予防(14.3 vs 対0%)が多かった。

サプリメントの入手経路は有意な性差はなく、専門店(57.6%)、薬局(21.2%)、ジム(9.1%)、スーパーマーケット(6.1%)、栄養士から(6.1%)が多かった。

サプリメントの摂取を勧める人・機会は有意な性差があり、男性が多く挙げた人や機会として、コーチ(42.3% vs 28.6%)、チームメイト(23.1% vs 14.3%)、友達(19.2% vs 0%)、医師(7.7% vs 0%)、広告(7.7% vs 0%)、女性は家族(42.9% vs 3.8%)、栄養士(14.3% vs 0%)を通じての購入が多かった。

男性の方がサプリメントの摂取量が多かった。ただし、摂取しているサプリメントの種類では有意差がなかった(5.00±11.5 vs 2.73±3.2,p=0.524)。科学的エビデンスレベルによりA~Dに分類して解析した場合においても、すべてのカテゴリーで、女性に比較し男性のほうが摂取量が多かったが、統計的有意差は観察されなかった。

オーストラリアスポーツ研究所(Australian Institute Sports;AIS)により2019年に策定された分類。グループAは十分な科学的調査により安全性と効果が確認されアスリートの使用を支持するもの、グループBは調査結果に基づきアスリートの使用を考慮してよいもの、グループCは明確な根拠がなく推奨できないもの、グループDは禁止されるもの。

競技レベルによるサプリメント摂取量の相違

国際レベルのアスリートの70%がサプリメントを摂取すると回答したのに対し、国内レベルでは46.8%にとどまり、有意差がみられた(OR1.38,95%CI1.12-1.69)。

サプリメントを摂取する目的については、国際レベルのアスリートではパフォーマンスの向上(77.8% vs 50.0%)、体格の改善(22.2% vs 8.3%)が多くみられたが、有意差はなかった。なお、国内レベルのアスリートでは、健康状態の改善(29.2%)、特別な理由なし(8.3%)、栄養不足の予防(4.2%)などの回答がみられた。

性別、競技レベルによる摂取サプリメントの相違

最も摂取されていたサプリメントは、性別での有意差は観察されなかった。男性はアイソトニック飲料(61.3% vs 27.3%)やカフェイン(29.0% vs 9.1%)が多く、女性はビタミンD(18.2% vs 9.7%)やマルチビタミン(18.2% vs 9.7%)が多かった。ただし両性で最も多かったのは、栄養バーであり、男性64.5%、女性63.6%に上った。

競技レベル別の比較では、国際レベルのアスリートは栄養バー(80.0% vs 59.4%)、マルチビタミン(20.0% vs 9.4%)、チロシン(30.0% vs 18.8%)、ブドウ糖(40.0% vs 3.1%)、アイソトニック飲料(80.0% vs 43.8%)が多く利用されていた。一方、国内レベルのアスリートは、カフェイン(25% vs 20.0%)とビタミンD(12.5% vs 10.0%)の摂取量がわずかに多かった。なお、競技カテゴリー別の比較では、有意差のみられた項目はなかった。

これらの結果のまとめとして著者らは、「この研究におけるセーラーのサプリメント摂取率は約50%であり、男性は女性に比べて摂取量が多く、国際レベルのセーラーは国内レベルのセーラーに比べて摂取率が高い。カテゴリー別では、クラス420の摂取量が最も少ないことが明らかになったものの、性別や競技レベルとは無関係に競技日の摂取量は多かった」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Analysis of Sports Supplements Consumption in Young Spanish Elite Dinghy Sailors」。〔Nutrients. 2020 Apr 3;12(4)〕
原文はこちら(MDPI)

この記事のURLとタイトルをコピーする
志保子塾2024前期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養WEB編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ