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スマホ vs ウェアラブル機器、運動療法の身体活動量モニタリングに適しているのは?

2020年04月21日

運動療法が治療の基礎をなす疾患は少なくない。近年、それらの疾患の管理のために、身体活動量のモニタリグが可能な各種ウェアラブル機器が用いられるようになってきた。それらの機器は、歩数や歩行距離に加え、加速度計による身体活動量の推計、あるいは心拍数や睡眠時間などを評価する機能を持つものもある。

スマホ vs ウェアラブル機器、運動療法の身体活動量モニタリングに適しているのは?

一方、歩数や消費エネルギー量のレベルであれば、スマートフォン(スマホ)のアプリでも十分計測できる。むしろスマホのほうが装着の手間がかからないというメリットがあり、多くの人が常に携帯している。

では実際に疾患管理のために身体活動量を把握するには、ウェアラブル機器とスマホのどちらがよいのだろうか。

ウェアラブル群とスマホ群、各250名を半年間追跡して比較

この研究は、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアにある2つの病院で、入院治療が終了し自宅退院した成人患者500名(46.6±13.7歳、女性64%)を対象に行われた。ウェアラブル群とスマホ群、それぞれ250名ずつの2群に、無作為に割り当てた。

対象者は計測された日々の身体活動量を報告することが求められ、4日間続いて報告がない場合、テキストメッセージ、電子メール、電話のいずれかの方法でデータの送信・同期が督促された。

研究期間は患者退院後180日とした。

スマホのほうが長続きする

身体活動量のデータを送信・同期した患者の割合を比較すると、退院30日後ではウェアラブル群81.9%、スマホ群86.7%で有意差はなかったが(p=0.13)、90日後にはウェアラブル群は67.6%と14ポイント以上低下したのに対し、スマホ群は77.6%で低下幅は約9ポイントにとどまっており、群間に有意差が生じた(p=0.01)。さらに180日後には、ウェアラブル群は46.5%と半数以下に低下、スマホ群は61.2%で15ポイント近くの差が開いた(p=0.001)。

180日間通してデータが送信・同期された日数の割合を比較すると、ウェアラブル群58.9%、スマホ群69.4%で有意差が存在した(p=0.001)。

多変量調整モデルでもスマホに軍配

続いて、継続率に影響する可能性がある因子(年齢、性別、人種/民族、加入保険、教育歴、婚姻状況、世帯収入、BMI、併存疾患の重症度)で調整し、Cox比例ハザードモデルでドロップアウトのリスクを検討。

するとやはり、スマホ群のウェアラブル群に対する有意なリスク低下が認められた(HR0.66,p=0.002)。また、男性は女性に比して有意にドロップアウトのリスクが低かった(HR0.71,p=0.02)。

身体活動以外のデータは、ウェアラブル機器が優れる

以上より著者らは「スマホ利用によって180日間の試験期間を完了した者の割合が32%相対的に増加した。スマートフォンはユビキタスであり、患者の健康行動を遠隔管理する機能拡張性に優れたツールであることが示唆される」とまとめている。一方、ウェアラブル機器には、スマホでは把握できない睡眠なども評価できるという利点があると指摘している。

文献情報

原題のタイトルは、「Smartphones vs Wearable Devices for Remotely Monitoring Physical Activity After Hospital Discharge: A Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial」。〔JAMA Netw Open,3(2),e1920677〕
原文はこちら(American Medical Association)

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