スポーツ習慣のある女性の大半が、カルシウムとビタミンD摂取不足
スポーツを習慣的に行っている女性にとって、疲労骨折や閉経後の骨粗鬆症リスクは決して他人事ではなく、その予防には適切な栄養素の摂取、とくにカルシウムとビタミンDの摂取が欠かせない。しかし実際には、それらの摂取推奨量を食事から満たしている女性は数パーセント程度であることが、ポーランドから報告された。
この調査の対象は、同国に住む18~50歳(中央値25歳)で、少なくとも週に2日以上の頻度での運動習慣がある女性593名。対象者のうちプロのアスリートは19名で、他の574名はアマチュアとしてスポーツを実践していた。運動の種類で最も多かったのは筋力トレーニングであり、頻度は週に3~4回が最多だった。体重は63kg(中央値。以下同様)で、BMIは大半が18.5~25の範囲内にあった。カルシウムやビタミンDの摂取量は、ソーシャルメディアを用いたウェブベースのアンケートにより把握した。なお、本調査において摂取量を満たしていると判定するカットオフ値は、カルシウムは800mg/日、ビタミンDは15μg/日とされた。
カルシウム摂取量:サプリからの摂取量を加えても、なお不足している人が大半
カルシウムの摂取状況をみると、まず食事からの摂取量は503mg/日であり、調査対象の92.0%は推奨量に足りていなかった。対象の13.1%はカルシウムのサプリメントを使用。サプリメントからのカルシウム補給を加えると、その摂取量は535g/日と若干増えたが、それでもなお87.5%は推奨量に足りていなかった。カルシウムをサプリメントから補給している女性で、推奨量を満たしているのは41.1%にとどまった。カルシウム摂取量に大きな影響を与えていた食品は、牛乳(68.5mg)、ヨーグルト(48.5mg)、ハードチーズ(21.4mg)、カッテージチーズ(28.5mg)などだった。
ビタミンD摂取量:食品からよりサプリメントとしての摂取量が大半を占める
次にビタミンDについてみると、食事からの摂取量は5.2μg(209IU)であり、調査対象の97.3%を占める大多数が推奨量に足りていなかった。対象の56.8%はビタミンDのサプリメントを使用。サプリメントからのビタミンD補給を加えると、その摂取量は28.8μg(1,152IU)と大幅に増えたが、それでもなお42.0%は推奨量に足りていなかった。一方、ビタミンDをサプリメントから補給している女性は、すべて推奨量を満たしていた。これは、ビタミンDサプリメントとして最も多く利用されていた容量が1,000IUだったことの影響が大きい。ビタミンD摂取量に大きな影響を与えていた食品は、魚とその加工食品(30.4IU)、乳製品(58.5IU)、卵(48.5IU)、肉とその加工食品(29.1IU)、バター・その他の脂肪(1.2IU)などだった。
カルシウム・ビタミンD摂取の教育が必要
これらの結果からの結論を著者らは以下の5つのポイントにまとめている。
- 調査対象の女性のほとんどすべてが、食事から満足のいく量のカルシウムとビタミンDを摂取していなかった。
- 一部の女性はカルシウムとビタミンDをサプリメントとして補給し、推奨量を満たす補助としていた。
- ビタミンD補給はカルシウム補給よりもはるかに一般的であり、結果としてカルシウム不足の頻度が高かった。
- 乳製品は食事中のカルシウムとビタミンDの最も重要な供給源である。
- 栄養素の不足に起因する健康への影響を回避するために、食事によって十分なカルシウムとビタミンDを摂取することの重要性について、女性に対する教育が必要。
文献情報
原題のタイトルは、「The Assessment of the Supply of Calcium and Vitamin D in the Diet of Women Regularly Practicing Sport」。〔J Osteoporos. 2019 Nov 4;2019:9214926〕