スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJクラブ会員募集中! 詳細はこちら
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

「1日1万2,000歩」でも不十分? 30分間は速度を中強度レベルに上げる必要あり

2019年09月10日

肥満・メタボリックシンドローム(Met-S)の改善指導に際して、漠然とウォーキンングを勧めることが多いが、果たしてそれで十分効果的な指導になっているのだろうか。本研究はまさにこの疑問に答えようとする目的で行われたもので、論文のタイトルは「1日1万2,000歩という目標は体組成やMet-Sの改善に十分か?(Is the goal of 12,000 steps per day sufficient for improving body composition and metabolic syndrome?)」である。

「1日1万2,000歩」でも不十分? 30分間は速度を中強度レベルに上げる必要あり

結果を示す前に、まず、本研究における設定が「1日1万歩」ではなく「1日1万2,000歩」であり、目標自体がハイレベルであることの理由に触れると、論文の著者らは、肥満の解消には1日1万~1万1,700歩を歩く必要がある、または1日1万~1万2,000歩を歩くことでMet-Sが改善に向かうという複数の報告があることを論拠としたと述べている。また後述するように、1週間のうち土曜と日曜は歩数の目標を定めていない。

さて、冒頭の疑問の答えを得るために著者らは、介入期間8週間にわたる無作為化比較試験を行った。対象は18歳以上の肥満状態にある大学生32名(19.72±0.80歳、BMI30.38±0.83)。全体をランダムに3群に分け、1群は月曜~金曜日に1日1万2,000歩のウォーキングを課す「歩行群」とした。もう1群は月曜~金曜日に1日1万2,000歩のウォーキングを課すとともに、1週間に3日は30分間、運動強度が中等度となるように1分間あたり103歩のスピード(既報を根拠に設定)の歩行をすることを課した「歩行運動群」とした。残りの1群は特に課題を与えない「対照群」とした。

被験者は全員、起床から就寝までスマートウォッチを着用し、歩行数をモニターされた。なお、食事に関しては特に指示を与えず管理をしなかった。また介入前の体組成は3群間に有意差はなかった。

結果をみると、3群の1日あたりの歩数は、歩行群1万1,340±743歩、歩行運動群1万2,288±721歩で、この2群は有意差がなく、対照群に比し両群ともに有意に多かった。また歩行運動群における運動強度を強化した30分間の歩数は1分間あたり129歩であり、設定目標を上回っていた。

介入前後の内臓脂肪面積は、歩行群-0.18±8.89cm2、歩行運動群-13.11±9.83cm2、対照群-0.97±12.81cm2で、歩行運動群のみ有意に減少しており、かつ、介入後の値が他の2群に比し有意に低値だった。また安静時心拍数は、歩行運動群のみ介入による有意な低下が観察された。さらに歩行運動群では空腹時血糖値、中性脂肪値が有意に低下し、HDL-C(善玉コレステロール)値が有意に上昇していた。

以上より、たとえ「1日1万2,000歩」とハイレベルな目標であっても、単にウォーキングを課すだけでは短期間でMet-S改善効果を期待することは難しく、長期間の介入が必要になってくると言える。それに対して、運動強度が中等度の運動を短時間プラスことで、短期間でMet-S改善を狙うことも可能となる。本論文の著者らは、「単なる歩数設定は健康増進戦略としてのベネフィットは限られている」とし、適切な運動処方の必要性があると述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Is the goal of 12,000 steps per day sufficient for improving body composition and metabolic syndrome? The necessity of combining exercise intensity: a randomized controlled trial1」。〔BMC Public Health. 2019 Sep 3;19(1):1215〕

原文はこちら(Springer Nature)

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

スポーツ栄養”見える”化プロジェクト
スポーツ栄養”見える”化プロジェクト「パフォーマンスを、栄養で、マネジメントする」
  • 自転車競技
    中井彩子 選手 ✕ SNDJ

アスリートをサポートする公認スポーツ栄養士の仕事とは? このコーナーでは勝負の現場で働いているSNDJメンバーからのリポートをご紹介。スポーツ栄養の”チカラ”を”見える化”し、その世界を紐解きます

セミナー・イベント情報
このページのトップへ