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錠剤・カプセル状の健康食品ユーザー1万人超の実態、健康トラブルの原因は?

健康に良いことを特徴とした食品のことを一般的に「健康食品」と呼ぶ。薬局、ドラッグストア、スーパーのほか、テレビやインターネット、新聞広告などでは多くの健康食品が売られ、手軽に購入することができる。しかし、同じような健康食品でも、国の制度に基づいて、安全性や効果が確認されているものと、そうでないものがあるのはあまり知られていない。その違いを把握し、上手に健康食品を活用している人はどのくらいいるのだろうか? 

錠剤・カプセル状の健康食品ユーザー1万人超の実態、健康トラブルの原因は?

独立行政法人国民生活センターが8月に発表した「錠剤・カプセル状の健康食品の品質等に関する実態調査-形状から、医薬品だと思っていませんか?-」は、「過去1年以内に錠剤またはカプセル状の健康食品を摂取している人」を対象に行ったインターネットによるアンケート調査をまとめたもの(有効回答数:10,168人)。

それによると、錠剤やカプセル状の健康食品について、「厳格に製造され品質が安定している」と思っている人が74.0%を占めた(「たいへんそう思う」「そう思う」と回答した人の合計、図1)。この結果は、多くの人が錠剤・カプセル状の健康食品の効果について根拠なく信頼していることがうかがえ、健康食品によるトラブルの温床とも考えられる。

図1 錠剤・カプセル状の健康食品に対するイメージ「厳格に製造され、品質が安定している」という問いに対しての回答(n=10,168) 錠剤・カプセル状の健康食品に対するイメージ「厳格に製造され、品質が安定している」という問いに対しての回答
(錠剤・カプセル状の健康食品の品質等に関する実態調査)

また、留意しておきたいのは、直近1年以内で最も飲む頻度の高い(高かった)錠剤・カプセル状の健康食品の販売者名と商品名を自由記述式での回答。このうちの8.4%の人は、医薬品等を健康食品と して回答し、医薬品等と健康食品の区別があいまいであることが推測できる。

健康食品を使用する目的として最も多いのは「足りていない栄養素の補給」(65.8%)で、「体力、持続力の維持・向上」(32.0%)が2位、以下、「美容、デトックス、抗加齢」(32.0%)、「ダイエット」(22.3%)と続いている(図2)。

図2 直近1年以内で飲んでいる(飲んでいた)健康食品にうたわれている機能
(n=10,168、複数選択可、上位8つを抜粋) 直近1年以内で飲んでいる(飲んでいた)健康食品にうたわれている機能
(錠剤・カプセル状の健康食品の品質等に関する実態調査)

調査以内では上記のような一般消費者の現状のほか、市販されている商品(100銘柄)や、消費者から収集した利用途中の商品(105商品)について品質等を調べた結果も報告されており、その中には商品に記載されている含有量と大きな乖離があるものも流通しているという。さらに、商品を利用するにあたっての留意点等の情報も提供されている。

調査の全容は50ページを超える大部なレポートだが、健康食品ユーザーはもとより、健康食品を取り扱う機会のある方は一度目を通しておきたい内容が多い。

関連情報

錠剤・カプセル状の健康食品の品質等に関する実態調査-形状から、医薬品だと思っていませんか?-
調査結果の全容(PDF)

健康食品について詳しく知るための「健康食品Q&A」

消費者庁が7月に公開した「健康食品Q&A」は、一般ユーザーが健康食品を正しく使うための知識がQ&A形式で紹介されている。

健康食品Q&A
健康食品Q&A

例えば「栄養の偏りや運動不足があるので、健康食品でカバーしたいです」、「痛みの症状を軽くしたり、病気を治したりするために、健康食品を利用したいです」「簡単に痩せるために健康食品を利用したいです」「薬は副作用が心配です。健康食品は食品なので有害な作用はないですよね?」「健康食品を選ぶときに、参考になる目印はありますか? 国は安全性を確認していますか?」などの消費者や患者からの問いかけに、明確な回答ができるようにまとめられている。栄養指導の場にも活用できそうだ。

関連情報

「健康食品Q&A」(PDF、消費者庁)
「健康食品5つの問題」(PDF、消費者庁)

健康食品なのに健康に害を及ぼすおそれも

消費者庁は9月6日、「ケトジェンヌ」と称する健康食品を使用したところ、下痢等の体調不良が生じたという事故情報が短期間に急増しているとして、今後の消費者被害の発生または拡大の防止を図るため、ホームページ等を通じて消費者に注意を発出した。同食品を使用する場合は身体被害が生じ得ることに留意し、使用後に下痢等の体調不良が生じた場合は速やかに使用を控えた上で、最寄りの医療機関や保健所に相談するよう促している。

同商品は2019年3月から発売されているカプセル状の健康食品で、主にインターネット上で販売されている。同商品は、「ケトジェニックダイエットとは脂肪をエネルギーに変えて痩せる」、「ケトジェンヌで不足になりがちな栄養素を補いながらケトジェニックダイエットを継続することで、無理せず健康的にスリムなボディーになることができます」といった宣伝文句とともに販売されているという。

同商品の使用による健康被害は、主に下痢などの消化器症状で、消費者庁の事故情報データバンクに2019年4月以降、89件登録され、7月以降の登録件数が増加している。性別では女性の被害情報が多く(女性62件、男性26件、不明1件)、年齢層は40歳代以上が多くを占めている。

今回公表された注意勧告には「専門家からのコメント」として、以下の情報が記載されている。

「本来、ダイエットとは、消費エネルギー量と摂取エネルギー量を健康的にコントロールし、余剰についた体脂肪の減少を図ることをいいます。しかし、ダイエット効果、痩身効果を標榜する健康食品には「下痢を起こさせること」、「利尿作用で水分を減らすこと」などによって、飲み始めに体重を減少させる製品があります。また、長期的な視点で捉えた場合、十分な栄養が摂取できず、筋肉量の減少にもつながります。これは健康を害しているだけで、本来のダイエットにはなりません。特に体重が減少する効果が強い製品には、医薬品成分が入っている悪質な場合もあるので、なおさら注意が必要です。今回の場合のようなダイエットに限らず、全ての健康食品は、食事、運動、休養の3つの基本を押さえた上で使うことが大切です」(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、国立健康・栄養研究所食品保健機能研究部 千葉剛氏)

関連情報

「ケトジェンヌ」と称する健康食品を使用した消費者に身体被害が生じていることについて(消費者庁)

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