乳酸菌B240を用いたコンディショニング飲料の免疫増強機能と運動能力向上の可能性
植物由来の乳酸菌「Lactobacillus pentosus株b240」(乳酸菌B240)の機能性に関する文献レビューの結果が論文発表された。乳酸菌B240はタイ北部で伝統的に飲用されている発酵茶「ミヤン」から発見され、東京農業大学が単離した乳酸菌。大塚製薬が生体防御機能向上の有効性を確認し、これを利用した機能性飲料を開発・販売している。
この研究では、免疫強化における乳酸菌B240の重要性や、日常生活およびスポーツ分野におけるコンディショニング飲料の入手可能性・用途などに焦点を当てて体系的に文献レビューした。乳酸菌B240の機能性については近年の研究で、高齢者の唾液中の免疫グロブリンA(IgA)を有意に増加させることが明らかになっている。
また乳酸菌B240の摂取方法としては、電解質を含むものとタンパク質を含むものの2種類が製品化されており、前者は飲用形態で電解質濃度の調整にも優れており、エネルギー量が低く爽快感がある。後者はホエイ蛋白やクエン酸、BCAA(運動時の筋肉でエネルギー源となる必須アミノ酸。バリン、ロイシン、イソロイシン。Branched Chain Amino Acidsの略)やアルギニンなどを含むゼリー状の食品。これらのタンパク質は体内に素早く吸収されて筋肉などの身体組織に取り込まれることから、アスリートの体調と回復力の維持目的で広く用いられている。
これらレビューの結果から本論文では、乳酸菌B240を用いた機能性飲料はスポーツパフォーマンスの向上に寄与する生物学的有用性が期待されており、健康に関連する潜在的な意味があると結論している。
B240による免疫能増強メカニズムには、ムチン分泌の増加も関与
B240の機能性に関しては、大塚製薬のインターネットサイト「乳酸菌B240研究所」に詳しい。同サイトには、B240が唾液中のIgAを対プラセボで有意に増加させるという研究データや、実際にB240の摂取量が多いと風邪の罹患が減るといったデータが紹介されている。このような作用の一部は、B240によって唾液やムチン(上皮細胞由来の粘性物質)の分泌が増え、粘膜の乾燥が予防されウイルスや菌との接触を防ぐという機序が関与している可能性があるという。
文献情報
原題のタイトルは、「Innovative and practical conditioning beverages for public health and athletic performance: Focus on immunopotentiation by lactic acid bacteria B240」。〔J Exerc Nutrition Biochem. 2019 Jun 30;23(2):13-15〕