選手村でのアスリートの食品選択は、質より量を優先? 果物・乳製品が不足傾向
競技会参加中のアスリートは食品選択に当たり量的には十分満たす量を選んでいるものの、質的には改善の余地があることがアスリートの調査からわかった。
アスリートの食事はパフォーマンスに影響を与える可能性があるが、実際には適切な食品選択のスキルを欠いていることが少なくない。また、競技会中に選手村でアスリートがどのような食品を選択し食べているかについて、特に質的な観点からは十分に調査されていない。そこで本研究では、アスリート本人が選択した食べ物のデジタル写真から研究者が栄養素を定量化し、アスリート本人の自己評価と比較検討した。
調査対象は2018年4月にオーストラリアで開催されたコモンウェルスゲームズ(イギリス連邦加盟国・地域により4年ごとに行われる競技会)に参加した58カ国28種目のアスリート81名。主な背景は、男性が39名を占め、年齢は中央値で25歳。以前に選手村での食事の経験がある者は経験がない者より有意に年長であり、栄養アドバイスを受けていた率が高かった。なお食事に関する調査は個人の競技前または競技期間中に行われた者が69.1%を占め、残り30.9%は競技への参加終了後に実施されていた。
得られたデータから特徴的な結果を以下に抜粋すると、男性は穀物をより多く選択していた一方で、女性の約3分の1は穀物を選択していなかった。これは、女性アスリートは体重管理のために穀物摂取を控えがちだとする既報と一致する。また大部分のアスリートは十分なエネルギー量を摂取していたが、食品の選択には偏りもみられ、果物は80.2%、乳製品は65.4%のアスリートが選択に含んでいなかった。
一方、食品選択に対する自己評価は10点中8点(中央値)で、年齢と有意に相関していた(r=0.276、p=0.013)。性別、地域、競技種目、および競技参加前か後かの違いによる有意な差はみられなかった。前述のように大多数が果物を選択せず、さらに約3分の1は野菜を選択していなかったにもかかわらず、アスリート自身は食品選択を高く自己評価していた。このことについて論文の著者らは、「彼らはスポーツのためのエネルギー供給という視点での主要栄養素選択に焦点を合わせていることを示唆するものかもしれない」と考察している。
結論として、「アスリートは食品選択にあたり質よりも量を重視している可能性がある。食事の質に関するアスリートへの教育を強化し、幅広い食品群からの選択を支援することが、選手村などでのビュッフェスタイルでの食事計画に役立つであろう」とまとめている。
文献情報
原題のタイトルは、「Evaluation of Athletes' Food Choices during Competition with Use of Digital Images」。〔Nutrients. 2019 Jul 17;11(7)〕