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ビタミンDとロイシン添加ホエイタンパク質がサルコペニアの慢性炎症を軽減

ビタミンDとロイシン添加ホエイタンパク質がサルコペニアの慢性炎症を軽減

筋肉量や筋力が低下した状態「サルコペニア」では、慢性炎症がその進展に関わる。慢性炎症に対し栄養や運動面から介入することで、理論的にはサルコペニアの発症・進行を一部抑止できると考えられるが、そのエビデンスは限られている。

一方、近年、タンパク質やビタミンDが免疫調節との関連で注目されつつある。ただし、タンパク質については高齢者において1.0~1.5g/kg/日の摂取を推奨する報告もあるが、実際には多くの高齢者がそれほど多く摂取できていない。またビタミンDも、活動性の低下による外出時間の短縮によって紫外線曝露が減ることから、血清ビタミンD値が低下しやすい。そこで本研究では、タンパク質とビタミンDを通常の食事に追加して摂取することにより、サルコペニアに伴う慢性炎症を抑制可能か否か検討した。

対象は、BMI20~30で65歳以上のサルコペニアの高齢者。被験者を無作為に2群に分け、一群(n=184)には、3gのロイシン、20gのホエイ(乳清)タンパク質、800IUのビタミンDを含む150kcalの食品を、朝晩の1日2回摂取させた。対照群(n=196)には同エネルギー量でタンパク質や微量栄養素を含まない食品を摂取させた。被験者と医師の双方がどちらを摂取しているかわからない状態で、別の評価者が結果を判定する「二重盲検比較試験」により検討した。

13週間の介入期間中に有害事象等により脱落した者を除き、タンパク質・ビタミンD強化群137名と対照群151名を比較した。すると炎症に関与するインターロイキン-6(IL-6)は、対照群では介入前のベースライン時より有意に増加していたのに対し(p=0.012)、タンパク質・ビタミンD強化群ではベースライン時から有意な変化はみられなかった(p=0.155)。この結果として介入後のIL-6の値は、タンパク質・ビタミンD強化群が対照群に比し有意に低値だった(p=0.046)。

以上より、タンパク質・ビタミンDの摂取がサルコペニアに伴う慢性炎症を軽減する可能性が示された。またIL-6は運動により骨格筋からの分泌が刺激されるマイオカイン(筋肉由来のサイトカイン)という側面もあり、タンパク質とビタミンDの摂取量増加がIL-6分泌を抑制するという今回の報告は、運動療法やスポーツ栄養の見地からも注目され今後の研究が期待される。

文 献

原題のタイトルは、「Thirteen weeks of supplementation of vitamin D and leucine-enriched whey protein nutritional supplement attenuates chronic low-grade inflammation in sarcopenic older adults: the PROVIDE study」。〔Aging Clin Exp Res. 2019 Jun;31(6):845-854〕

原文はこちら(Springer Nature)

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