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有酸素運動に関連した静脈血栓塞栓症の症例報告 その共通点は?

2019年07月10日

有酸素運動に関連した静脈血栓塞栓症の症例報告 その共通点は?

健康増進効果が高く、実施に伴う危険性は低いとされている有酸素運動(エアロビクス)。しかし、まれには有酸素運動の後に有害事象が発生したとの報告もみられる。例えば、深部静脈血栓症や肺塞栓症などの静脈血栓塞栓症の発症を認めたとする症例報告がある。本論文は、それらの症例報告を検討対象として、静脈血栓塞栓症を発症した競技者にみられる共通性を検討した結果である。

有酸素運動後に深部静脈血栓症または肺塞栓症と診断された運動競技者47症例の報告がレビューの対象とされた。静脈血栓塞栓症の危険因子の頻度、症状の発現等が評価された。検討対象となった症例の内訳は、深部静脈血栓症が20例、肺塞栓症が15例、深部静脈血栓症と肺塞栓症の併発が12例。このうち19例が女性だった。

結果をみると、年齢は男性の40.6±13.6歳に比し女性は24.6±7.0歳で、有意に低かった(p<0.01)。 19名の女性のうち14名(73.7%)が経口避妊薬を使用していた。また13名(全体の27.7%)が発作前に1時間以上の不活動状態にあったことが報告され、他の12例は診断後の検査によりアンチトロンビン(血液の凝固を抑制する蛋白質)の欠乏を有することがわかった。

発症時にみられた症状として最も頻度が高かった報告は、筋肉痛(81.3%)と、呼吸困難(77.8%)だった。これらは一般的にみられる症状(common symptoms)であるにもかかわらず、発症から診断の確定に要した時間は56.3±118.7日に及び、また25例(53.2%)は初期に誤診されていた。

静脈血栓塞栓症を発症した47例の約7割に相当する32例は、経口避妊薬の使用、発作前の不活動、アンチトロンビン欠乏症という3つの主要危険因子のうち、少なくとも1つを有していた。このことは、運動競技者の静脈血栓塞栓症の多くは、より質の高い教育と各自の意識を強化することで予防が可能であることを示唆する結果と考えられる。

文 献

原題のタイトルは、「Venous Thromboemboli Associated with Acute Aerobic Exercise: A Review of Case Report Commonalities」。〔Scand J Med Sci Sports. 2019 Jun 26〕

原文はこちら(PubMed)

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