たんぱく質補給はVO2MAXと除脂肪体重を増加する 若年男性のダブルブラインド試験
たんぱく質補給は瞬発系スポーツにおける有用性を示すエビデンスが豊富だ。それに対して持久力トスポーツにおいては、有用性に関するエビデンスがやや不足している。しかし、持久系トレーニングは心血管系の予備能や骨格筋機能の強化を刺激し、それによって最大酸素摂取量(VO2MAX)を増加させることは明らかである。では、持久系トレーニングにたんぱく質補給を加えたら、その結果はどのように変化するのだろうか。
今回紹介する研究は、持久力トレーニング中のVO2MAXの変化に対するたんぱく質補給の長期的な影響を評価するために計画されたもの。若年男性44名を対象とする二重盲検無作為化対照試験により検討された。
被験者は週に3回、10週間の持久力トレーニングを指示された。トレーニング実施日は、トレーニングの直後および就寝前に、1群にはたんぱく質を摂取させ(n=19.年齢21.5±0.4歳)、他方の対照群には同エネルギー量の炭水化物を摂取させた(n=21.同22.5±0.5歳) 。 5週目と10週目のトレーニングの前後にVO2MAXおよび二重エネルギーX線吸収測定法による体組成を測定し、かつ10kmのタイムトライアルを施行した。また2週ごとに空腹時採血による血液検査を行い骨格筋酸化能を評価した。
結果をみると、介入から5週後にたんぱく質摂取群のVO2MAXは対照群に比べて有意に増加していた(49.9±0.8→54.9±1.1ml/kg/分 vs 50.8±0.9→53.0±1.1ml/kg/分,p<0.05)。 10週後もやはり有意差をもって増加が認められた(49.9±0.8→55.4±0.9ml/kg/分 vs 50.8±0.9→53.9±1.2mml/kg/分,p<0.05)。
また、たんぱく質摂取群では除脂肪体重(Lean Body Mass;LBM)が増加したのに対し、対照群の除脂肪体重は不変だった。具体的には、5週目においてたんぱく質摂取群の除脂肪体重の変化が1.5±0.2kgだったのに対し、対照群では 0.1±0.3kg(p<0.05)で、10週後も同様に有意差がみられた(1.5±0.3 vs 0.4±0.3 kg,p<0.05)。介入期間を通してたんぱく質摂取群では体脂肪量が有意に減少したのに対し、対照群では有意な変化がなかった(5週後:-0.6±0.2 vs 0.1±0.2kg,p>0.05.10週後:-1.2±0.4 vs 0.2±0.2kg,p<0.05)。
結論として、たんぱく質補給は健康な若い男性の10週間の持久力トレーニングの間に、VO2MAXのより大きな増加をもたらし、また除脂肪体重増加を刺激した。ただし本検討では、骨格筋酸化能と持久力パフォーマンスの改善は認められなかった。
文 献
原題のタイトルは、「Protein supplementation elicits greater gains in maximal oxygen uptake capacity and stimulates lean mass accretion during prolonged endurance training: a double-blind randomized controlled trial」。〔Am J Clin Nutr. 2019 Jun 26〕