座っているのは寝ているのと同じ エネルギー消費が増える姿勢は立位だけ
メタボリックシンドロームや肥満、2型糖尿病など、多くの生活習慣病には消費エネルギー量が不足していることが関連している。消費エネルギー量を増やす最も簡単な方法として、座りがちな生活を改善することが以前から提案されてきた。では、座っている時と立っている時で、消費エネルギー量にどの程度の差があるのだろか。この疑問に答える研究成果が発表された。
研究の対象は18~25歳の若年成人55名。平均年齢は21.8±2.3歳で、女性が38名(69%)、BMIは25.2±4.8。喫煙者や何らかの急性または慢性疾患の罹患者、薬物療法中の者、妊娠中の女性は除外された。
試験参加者は消費エネルギー量計測の48時間前から運動を控えるように指示され、24時間前からはカフェインや栄養補助食品の摂取を禁止され、さらに5~6時間の絶食後に計測が施行された。消費エネルギー量は、呼気(吐く息)中の酸素と二酸化炭素濃度から推計する間接熱量測定法により測定した。
さて、結果だが、臥位(寝た姿勢)での消費エネルギー量は1分間あたり1.20±0.24kcal、座位(座った状態)では1.19±0.22kcalで、臥位と座位に有意差はなかった。つまり、座っているのは寝ているのと同じと考えられた。一方、立位(立った状態)での消費エネルギー量は1分間に1.32±0.29kcalに及び、これは臥位や座位に比べて有意に高い値だった(p<0.001)。このほか、心拍数については、臥位、座位、立位の順に高くなり、各群間に有意差が認められた。
結論として、立っている時間を増やすことは確かに消費エネルギー量を増やすことに有効であると考えられた。立ち時間を増やすことが実際にメタボリックシンドロームや肥満、2型糖尿病などの予防・改善につながるのか、今後の研究の成果が待たれる。
文 献
原題のタイトルは、「Energy expenditure differences across lying, sitting, and standing positions in young healthy adults」。〔PLoS One. 2019 Jun 12;14(6):e0217029〕