勝ちたければ口の中をチェック! 口腔環境がアスリートのパフォーマンスに直結する
国際歯科連盟(Fédération Dentaire Internationale;FDI)は5月末、口腔衛生がスポーツのパフォーマンスに多大な影響を与えるとの注意を喚起するリリースを発表した。FDIは世界100万人以上の歯科医が加盟する組織であり、「スポーツ歯科プロジェクト」はサンスター社のサポートによりFDIが実施しているプロジェクト。このリリースはFDIの「スポーツ歯科プロジェクト」の一環として発表したもので、FIFA女子ワールドカップ、テニス全仏オープン、ゴルフ全米オープンなど、今夏に開催される世界的なスポーツイベントを通じて口腔環境とスポーツが深く関係していることをアピールする。
今回発表されたリリースによると、スポーツ時に発生する口腔外傷は、スポーツ関連歯科関連トラブルの一部に過ぎないという。口腔外傷以外にも、
- スポーツに伴うストレスにより脱水、口の渇き、歯ぎしりなどが誘発される、
- スポーツ飲料やサプリメントには糖分や酸性素材が添加されているものが多く、
- 虫歯や歯周病を招く可能性がある、
- 歯科関連トラブルにより本来のパフォーマンスを発揮できなくなる、
などの影響が生じる可能性を指摘している。
これに対しFDIでは、フッ素配合の歯磨き剤を使っての歯磨き、マウスガードの装用、最低でも年1回以上の歯科検診、糖分または酸性度の高い食品・飲料を摂取した後には水で口をすすぐ、といった行為を推奨している。そして「試合に勝ちたければ自分の口腔衛生を最優先事項にすべき」と述べている。
口腔環境の重要性の理解は、トップアスリートの間でもまだ十分高いとは言えない。例えば、2012年のオリンピック参加選手399人を対象に実施した調査の結果、55%に虫歯があり、76%が歯肉炎に罹患しており、40%以上の運動選手が口腔の健康に悩みをもっていたという。そして、28%が生活の質への影響、18%がトレーニングとパフォーマンスへの影響があったとされる。
FDI会長のキャサリン・ケル氏は、「健康な口腔環境の維持は健康な身体を作ることにつながる。私たちは不衛生な口腔環境が身体全体の健康や選手のパフォーマンスに及ぼす悪影響について見過ごしてしまうことが多い。この認識のもと、スポーツ指導者とアスリートの対話に口腔環境のチェックが必ず含まれるよう、促していきたい」と述べている。
サンスターの科学研究・企業広報部シニアマネジャー、マルツィア・マッシグナーニ氏は、「アスリートちの口腔ケアを積極的に促進していくためにFDIと協働できることを誇りに思う。オリンピック選手であっても、休日にジョギングをするだけの人であっても、口腔環境が運動能力に影響してくる。その情報を、選手、トレーナー、医療従事者と広く共有することで、選手の運動能力を最大限に引き出すことができる口腔環境を整えるよう呼び掛けていきた」と語っている。
関連情報
「不衛生な口腔環境が競技選手のトレーニング効果やパフォーマンスを著しく低下させる」、FDI国際歯科連盟が発表Poor oral hygiene severely impacts training and athletic performance(FDI(国際歯科連盟))
Sports Dentistry(FDI(国際歯科連盟))