筋トレ後のコラーゲンペプチド補給の効果 12週間にわたる介入での検討
骨格筋は身体活動や摂食条件に応じて変化する動的な組織であり、その維持はアスリートのみならず社会人一般の健康維持にとっても重要だ。これまでに、アスリートにおいてはトレーニング後の蛋白質補給が筋肉量・筋力の増強をもたらすことが明らかになっており、またコラーゲンペプチドがサルコペニア男性の除脂肪体重を増加させるというエビデンスがある。では、レジスタンストレーニングにコラーゲンペプチド補給を追加することで、よりの多くの骨格筋増大を期待できるのだろうか。本報告は、それら両者併用による骨格筋蛋白質組成への相加効果を検討した二重盲検無作為化プラセボ対照試験の報告である。
対象は25名の健康な学生スポーツ競技者。コラーゲンペプチド15g/日を摂取させる群(n=12)とプラセボ摂取群(n=13)とに無作為に分け、12週間にわたり介入した。介入期間中は週に3日、レジスタンストレーニングを実施させ、トレーニング直後にこれらサプリメントを摂取させた。またトレーニング後の60分間はエネルギーを有する他の飲食物の摂取が禁止された。
介入期間中の食事摂取状況に群間差はなく、サプリメントを含む蛋白質摂取量は、コラーゲンペプチド群1.66g/kg/日、プラセボ群1.86g/kg/日だった。トレーニングは指導者のもとで、スクワット、デッドリフト、ベンチプレス等を各人の最大反復回数の50%の負荷(50RM)で10回、70RMで10回を3回繰り返した。
12週間の介入により、体重、除脂肪量はプラセボ群との比較においてコラーゲンペプチド群は有意に増加した。その一方で体脂肪量の変化には有意な群間差が生じてなかった。またトレーニング負荷レベルは両群で増大し、最大筋力(MViC)についてはコラーゲンペプチド群の増大幅が、有意には至らないもののプラセボ群より大きかった。
本研究ではプロテオーム解析による検討も行われている。それによると、コラーゲンペプチド群では221種の蛋白質がアップレギュレートされていたのに対し、プラセボ群でのアップレギュレートは44種のみであり、著明な差異が認められた。
以上の結果から著者らは、「プロテオーム解析によるコラーゲン補給の顕著な影響とは対照的に、筋力への影響はさほど明確ではなかった。コラーゲン補給の影響や可能性を明らかにするにはさらな検討が求められる」と結論し、また「同時に筋力に対する異なる蛋白質の効果の比較も興味深い」と述べている。
原題のタイトルは「Effects of 12 Weeks of Hypertrophy Resistance Exercise Training Combined with Collagen Peptide Supplementation on the Skeletal Muscle Proteome in Recreationally Active Men」。〔Nutrients. 2019 May 14;11(5)〕