カフェインのエルゴジェニック効果に関するアンブレラレビュー
運動パフォーマンスに対するエルゴジェニックエイドとしてカフェインは長い歴史をもつサプリメントであり、2004年にドーピング禁止物質のリストから削除されて以降、アスリートの間でより一般的になっている。しかしカフェインの効果に関するメタアナリシスからは、その結果に一貫性がみられない。そこで本論文の著者らは、メタアナリシスのさらなる系統的レビューであるアンブレラレビューを行い、より包括的な検討を試みた。
カフェイン、運動、トレーニング、身体能力等のキーワードで検索しヒットした論文から、11件の論文(21件のメタアナリシスを含む)がレビュー対象となった。それらはいずれも査読のあるジャーナルに掲載されたものだった。ほとんどの研究は若年男性を対象とするものだった。
カフェイン摂取の有酸素性持久力(aerobic endurance)に及ぼす影響は5件のレビューで検討されていて、大多数がエルゴジェリック効果を報告していた(effect size:0.22~0.61)。筋力に対する影響は4件で検討され3件でエルゴジェニック効果を報告していた(同:0.16~0.20)。筋持久力に関しては2件のレビューの双方がエルゴジェニック効果を報告していた(同:0.28~0.38)。一方、無酸素性パワー(anaerobic power)は3件で検討されていたが、エルゴジェニック効果は認められなかった。
その他の報告を含めた総括により、カフェインの筋持久力、筋力、有酸素性および無酸素性持久力に対するエルゴジェニック効果は、中等度から高品質の系統的レビューによって裏付けられた。またカフェインの効果は、無酸素運動に比し有酸素運動性の方が大きなeffect sizeを示す傾向がみられた。
著者らは、「これらの知見の一般化にはさらなる一次研究が必要」と述べ、特に女性や中高年での検討が不足していることを指摘している。
原題のタイトルは「Wake up and smell the coffee: caffeine supplementation and exercise performance-an umbrella review of 21 published meta-analyses」。〔Br J Sports Med. 2019 Mar 29.〕