サイクリングのタイムトライアルに対する炭水化物摂取の影響
運動中の炭水化物摂取の影響を正常圧低酸素下で検討した結果が報告された。
対象は男性トライアスリート10名(年齢22.1±1.1歳、 VO2max59.4±1.4 mL / kg /分)。40kmのサイクリングタイムトライアル中の持久力と認知能力を、定期的な炭水化物摂取をする場合としない場合との二重盲検クロスオーバーテストで検討。
被験者は、1.正常酸素圧+プラセボ(吸入気酸素濃度20.9%)、2.低酸素+プラセボ(同 16.3%)、3.低酸素+CHO(同 16.3%+ 6%炭水化物溶液2mL / kg /15分)という3条件でタイムトライアルを実施。トライアルの間、生理的反応(動脈血酸素飽和度、心拍数、自覚的運動強度、血糖、乳酸塩)、認知能力、および脳血行動態を測定した。
検討の結果、低酸素状態はトライアルパフォーマンスを約3.5〜4%有意に低下させ、炭水化物摂取はそのパフォーマンスに影響を及ぼさなかった。一方、認知能力に関しては炭水化物摂取により運動誘発性認知反応速度の低下がわずかに抑制されたが、反応の精度には影響を及ぼさなかった。また、炭水化物の摂取は低酸素運動により低下した前頭前野血流量や組織酸素飽和度に影響しなかった。
著者らは結論として、「本研究は炭水化物摂取が認知課題の反応速度を維持するのには効果的であるが、低酸素運動中のトライアルパフォーマンスの向上には効果がみられない」とまとめている。
原題のタイトルは「Effects of periodic carbohydrate ingestion on endurance and cognitive performances during a 40-km cycling time-trial under normobaric hypoxia in well-trained triathletes」。〔J Sports Sci. 2019 Mar 21:1-11.〕