硝酸塩の摂取量が多いほど高齢女性の筋肉機能が向上
オーストラリアの高齢女性(70歳以上、n = 1,420)を対象に、硝酸塩の摂取量と筋肉機能の関連に関を横断的に研究した結果が報告された。半定量的な食物摂取調査票の記入情報をもとに硝酸塩の摂取量を計算。握力およびタイムアップアンドゴー(TUG)による筋機能測定値との関係を検討した。
結果は、総硝酸塩摂取量の平均は79.5±31.2㎎/日で、そのうち84.5%が野菜由来だった。これを三分位(1日摂取量が<64.2 mg、64.2~89.0 mg、≧89.0 mg)に分けると、最高分位は最低分位の女性に比較し握力が4%強く、TUGが5%速かった。
握力が22 kg未満を「握力低下」、TUG 10.2秒以上を「TUG遅延」と定義すると、それぞれ対象の61.0%、36.9%がこれに該当した。前記の三分位別でそれに該当するオッズ比をみると、最高分位は最低分位に対して有意にリスクが低下していた(握力低下:OR0.65, Ptrend= 0.004、TUG 遅延:OR 0.72, Ptrend= 0.044)。
これまで、若年者では食事による硝酸塩の補給が短期間の血管および筋肉機能を改善することが示されていたが、老化に伴う筋肉機能に対する硝酸塩摂取の影響は明確ではなかった。今回の結果について著者らは、「本調査は高齢女性の筋力および身体機能に対する硝酸塩に富んだ食事の潜在的なメリットを示唆している。特に野菜の摂取が筋肉機能の加齢に伴う減少を制限するための効果的な方法かもしれない」と述べている。
原題のタイトルは「Higher dietary nitrate intake is associated with better muscle function in older women」。〔J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2019 Mar 24.〕
関連情報
Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle