横須賀市「子どもたちの体力向上・健康増進に係る研究成果報告会」
【前編】産学官連携で子ども健康を見守る意義

“お口ぽかん”と言われる口呼吸をしている子どもは、睡眠時間が短くて体力が低い。睡眠不足の子どもは、立ちくらみやイライラ、やる気が起きないことが多い。5基本味の一つ『うま味』を知らない子どもが少なくない――。
子どもたちの健やかな成長は、子ども本人やご家族はもちろん、地域社会にとっても切なる願いです。その願いの実現のため、国内でも古くからさまざまな研究が続けられてきています。例えば、文部科学省やスポーツ庁などにより児童・生徒の生活習慣や運動実施状況などが調査されてきています。ただ、それらの調査結果から課題を特定しその解決策を策定するには、アカデミア、ことに医療・栄養学からのアプローチが欠かせません。さらに、子どもの健康改善を推し進めていくには、家庭での実生活にかかわる産業界の協力も必要です。
このような課題の解決を図るために2024年4月、横須賀市教育委員会と公立大学法人神奈川県立保健福祉大学、味の素株式会社の三者は産学官連携協定を締結。同市内の市立小・中学校の児童・生徒の健康・体力、生活習慣に関する調査研究を行い、その継続的・経年的な分析に基づいて、各学校に課題を提示するという活動をスタートしています。そして、それらの活動成果の公開報告会が2025年12月13日に同大学にて開催されました。冒頭に挙げた現代の子どもたちの実態を表す興味深いデータは、その報告会で発表された内容の一部です。この記事では、公開成果報告会の模様をレポートいたします。

- 【前編】産学官連携で子ども健康を見守る意義
- 【後編】子どもの生活習慣、体力、睡眠、味覚、お口ぽかんの現状と危機感
公開報告会の開始にあたり、神奈川県立保健福祉大学学長の村上明美氏が主催者として、横須賀市教育委員会や横須賀市、味の素(株)の協力へ謝意を表すとともに、「この報告会が、横須賀市の児童・生徒の一層の健康増進に資する活動であることに対する、理解を深めていただく機会としたい」と開催趣旨を説明。続いて同市教育委員会教育長の新倉聡氏と上地克明市長が挨拶に立ちました。
研究成果を学校現場にとどめることなく、未来の子どもたちのために
横須賀市教育委員会教育長 新倉 聡 氏
新倉氏は、「横須賀市では小学校3年生から中学校3年生までの全児童・生徒を対象に独自の体力等調査を実施し、経年変化を追ってきていた。それにより一定の成果は得られたものの、調査内容が断片的であり分析方法が限定的であるなどの課題を抱えていた。そうした中、今回の三者連携によって従来よりも深く多角的な視点から分析できるようになった」と、この活動の意義を解説。
また同氏は、「調査はあくまで実態把握の入り口であり、調査自体が目的ではない」とし、「調査から見えてきた課題に対し、具体的な改善策へとつなげていくことが重要だ。教育委員会としては今後、三者連携による研究成果を学校現場にとどめることなく、さまざまな方法で保護者の皆様にお伝えして学校と家庭が同じ方向に向かい、未来を担う子どもたちのためにこの取り組みをより価値あるものへとしていきたい」と今後の抱負を語りました。
「横須賀モデル」を発展させて、日本の子どもたちのwell-beingにつなげる
横須賀市長 上地 克明 氏
上地氏は、「本日はこのような三者連携による研究成果の公開発表会が開催されることを大変うれしく思う」との祝辞に続き、「well-beingという言葉は『豊かさ』と表現されることがあるが、私は“happinessの積分”だと思っている。小さい頃からどれだけhappinessであったか、その積み重ねが最終的にwell-beingにつながるのではないか。そして、happinessの原点は、健康であるということだと考えている。横須賀の子どもたちには、ぜひ、ずっと健康で生きていただきたい」と、人々が豊かな人生を送るためには、子どもの頃からの健康が重要であることを強調。
続いて、横須賀市が2030年の未来像に向けた政策の基礎として掲げている「YOKOSUKAビジョン2030」(詳細はこちら)に触れ、同市では教育現場と地域が一体となって子どもたちの教育と健康を喫緊の課題として位置付けていることを紹介。このYOKOSUKAビジョン2030との関連からも、産官学共同研究により得られる科学的な知見の蓄積へ高い期待を表しました。 最後に同氏は、本連携協定に参画した大学や企業と関係者に改めて謝意を述べたうえで、「この三者連携を『横須賀モデル』として発展させていき、横須賀だけでなく日本中の子どもたちのため、活動実績が実りあるものになることを願っている」と語り、挨拶を締めくくりました。
連携協定について
横須賀市教育委員会保健体育課指導主事 福地 真一 氏
続いて、横須賀市教育委員会保健体育課指導主事の福地真一氏が、横須賀市が行っている児童・生徒の体力等調査の結果を、全国調査や神奈川県の調査の結果と対比させながら紹介したうえで、三者連携協定について概説しました。
体力については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響がはっきり現れ、子どもたちの体力が一時的に大きく低下したものの、直近のデータには回復傾向がみられること、横須賀の子どもたちの体力は全体的に見た場合、全国平均とほぼ同程度であるものの、調査項目によっては全国平均を大きく上回るものや下回るものがあることなどを報告。運動習慣や生活習慣についても詳細なデータを紹介しました。例えば、学習以外でのスクリーンタイムが5時間以上と非常に長い児童・生徒が一定数存在する一方で、それほど長くない生徒も多く、二極化の傾向が認められたとのこと。
三者連携協定については、味の素(株)の継続的な事業支援と神奈川県立保健福祉大学の専門的な研究ノウハウを生かし、得られた知見を同市内の教師・家庭に向けて、さまざまな方法で還元するという仕組みであることを解説。そのうえで、「児童・生徒が健康に関心をもち、主体的に健康づくりに取り組む力を育成していく。それを目標に取り組んでいる」と結びました。
- 【前編】産学官連携で子ども健康を見守る意義
- 【後編】子どもの生活習慣、体力、睡眠、味覚、お口ぽかんの現状と危機感
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横須賀市児童生徒体力向上・健康増進に係る産学官連携協定公開成果報告会 2025







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