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筋トレと時間制限食を並行すると、筋トレだけに比べて体重や代謝面でプラス効果を得られる

手軽な食事療法として人気の時間制限食を筋トレと並行すると、ふつうの食事スタイルのまま筋トレをするのに比べて、体重や脂肪量が大きく減り、糖・脂質代謝にも良い影響が現れることを示す、メタ解析の結果が報告された。一方、筋肉量や筋力には、有意な差はみられないという。

筋トレと時間制限食を並行すると、筋トレだけに比べて体重や代謝面でプラス効果を得られる

時間制限食(time-restricted feeding;TRF)とは

時間制限食について(同友会メディカルニュース)

筋トレ+時間制限食(TRF+RT)に相加作用はある?

1日の中で、エネルギーのあるものを口にする時間帯を一定範囲にとどめ、その時間帯以外は水などのエネルギーのないものだけを口にするという時間制限食(time-restricted feeding;TRF)は、その手軽さから人気が高まっている。TRFは摂取エネルギーを考える必要がなく、場合によっては摂取量を増やすことも許容される。このTRFが、減量や代謝関連マーカーの改善につながるとする研究報告のエビデンスが増えている。

一方、レジスタンストレーニング(resistance training ;RT)は筋肉量と筋力を増加させることで体力を高める。また筋肉量が増えることは基礎代謝の向上につながるため体重管理にも有用であり、さらに減量による除脂肪体重の低下を抑制するように働く。

では、TRFとRTを並行して行った場合に、両者のメリットが強調して発現するのだろうか。今回取り上げる論文は、この疑問点をシステマティックレビューとメタ解析で検討した研究の報告。

7件のRCTを抽出してTRF+RT、CON+RTを比較

システマティックレビューとメタ解析のためのガイドライン(PRISMA)に準拠し、MEDLINE、Cochrane Library、Embase、CINAHL、SCOPUSという5件の文献データベースと試験登録データベースを用いて2023年4月7日までに報告された論文を検索した。包括基準は、18歳以上の成人を対象に行われた、介入期間が4週間以上の並行群間またはクロスオーバーによる無作為化比較試験(randomized controlled trial;RCT)であり、時間制限食(TRF)とレジスタンストレーニング(RT)を並行して行った場合の体重や体組成、代謝マーカーに対する効果を、対照群(普通食〈control;CON〉とRTを並行〈つまりRTのみの介入〉)と比べた研究の報告。除外基準は、疾患罹患者を対象とする研究、レビュー、症例対照研究、学会発表など。

文献データベースで309件、試験登録データベースで442件がヒットし、重複削除後の660件を2人の研究者がタイトルと要約に基づき独立してスクリーニングを実施して、14件を全文精査の対象とした。採否の意見の不一致は3人目の研究者との討議により解決した。最終的に7件の報告を適格と判定。2023年4月28日に追加の報告を確認し、91件がヒットしたが、包括基準を満たすものはなかった。

7件の研究の特徴

抽出された7件の研究の参加者数は18~34人で、合計164人だった。このうち83人が時間制限食と筋トレの平行(TRF+RT)、81人が筋トレのみ(CON+RT)に割り当てられていた。

大半は活動的な個人が参加しており、過体重/肥満者を対象とした研究は1件のみだった。平均年齢は22.3~45歳の範囲で、BMIの平均は22.5~29.8の範囲だった。介入期間は、2件は4週間、4件は8週間で、他の1件は12カ月だった。

TRF+RTの体重や代謝への効果は相加的である可能性

エネルギー摂取量や栄養素摂取量の比較

介入期間中のエネルギー摂取量は、時間制限食と筋トレの平行介入(TRF+RT)において、筋トレのみの介入(CON+RT)より有意に少なかった(加重平均差〈WMD〉-174.88kcal〈95%CI;-283.79~-65.97〉、p=0.0016)。研究間にやや高い異質性が認められた(I2=42.3%)。

炭水化物摂取量は、TRF+RTにおいてCON+RTより有意に少なかった(WMD-3.74g〈-6.42~-1.07〉、p=0.0061)。ただし、研究間の異質性が高かった(I2=87.4%)。

対照的に、タンパク質摂取量はTRF+RTにおいてCON+RTより有意に高かった(WMD1.98g〈1.36~1.98〉、p<0.0001)。また、タンパク質摂取量に関しては、研究間の異質性が認められなかった(I2=0.0%)。

脂質摂取量に関しては、TRF+RTとCON+RTとで有意差がなかった(WMD2.42g〈-0.45~5.29〉、p=0.0978、I2=92.5%)。

体重や体組成、筋肉量・筋力の比較

介入後の体重はTRF+RTにおいてCON+RTより有意に大きく低下していたが(WMD-2.90kg〈-5.30~-0.51〉、p=0.0175)、研究間にやや高い異質性が認められた(I2=48.1%)。

脂肪量もTRF+RTにおいてCON+RTより有意に大きく低下しており(WMD-1.52kg〈-2.30~-0.75〉、p=0.0001)、かつ、脂肪量に関しては研究間の異質性が認められなかった(I2=0.0%)。

一方、除脂肪量に関しては、TRF+RTとCON+RTとで有意差がなかった(標準化平均差〈SMD〉-0.20g〈-0.93~0.53〉、p=0.5941、I2=0.0%)。

筋肉量に関しては上肢と下肢の断面積で比較し、筋力に関しても上肢と下肢で比較したが、いずれも有意差が認められなかった

糖脂質代謝マーカーの比較

脂質代謝関連指標のうち、総コレステロールはTRF+RTにおいてCON+RTより有意に大きく低下し(WMD-9.44mg/dL〈-13.62~-5.27〉、p=0.0001)、研究間に異質性がなかった(I2=0.0%)。また、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)もTRF+RTにおいてCON+RTより有意に大きく低下しており(WMD-9.94mg/dL〈-13.47~-6.41〉、p=0.0001)、研究結果の均一性が示された(I2=0.0%)。一方、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)や中性脂肪には有意差が認められなかった。

糖代謝関連では、血糖値には有意差が認められなかったが、インスリンレベルはTRF+RTにおいてCON+RTより有意に大きく低下し(SMD-0.72〈-1.24~-0.21〉、p=0.0059)、その異質性は中程度だった(I2=41.4%)。

このほかに比較が可能だった、アディポネクチン、レプチン、テストステロンには有意差が認められなかった。

著者らは、「我々の研究結果は、時間制限食を行いながらレジスタンストレーニングを行うことによる健康上のメリットを示している。両者の平行によって脂肪量を減少させつつ除脂肪量や筋力が維持され、バランスの取れた体重管理という点で、新しい視点を提供するものと言える」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Synergistic Effects of Time-Restricted Feeding and Resistance Training on Body Composition and Metabolic Health: A Systematic Review and Meta-Analysis」。〔Nutrients. 2024 Sep 11;16(18):3066〕
原文はこちら(MDPI)

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