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クレアチン摂取による体組成への影響 用量や形態、筋トレの有無による違い

クレアチンの摂取による体組成への影響に関する、包括的なシステマティックレビューとメタ解析の結果が報告された。摂取用量やクレアチンの形態などによる違い、筋力トレーニングを行う場合と行わない場合の違いなどが明らかにされている。

クレアチン摂取による体組成への影響 用量や形態、筋トレの有無による違い

クレアチンの体組成への影響を網羅的に検討

クレアチンはエビデンスの豊富なエルゴジェニックエイドの一種だが、体組成への影響という点でのシステマティックレビーは、これまで多くは行われていない。また、最もエビデンスの充実しているクレアチンの形態はクレアチン一水和物(creatine monohydrate;CM)であるが、それ以外にも、生物学的利用能がより高いとされる形態のクレアチン製品が流通している。ただし、それらのエビデンスは確立していない。さらに、研究対象により影響が異なることも考えられる。

以上を背景として本論文の著者らは、クレアチン摂取による体重、BMI、脂肪量、体脂肪率、除脂肪量への影響を、摂取プロトコル、クレアチンの形態、対象者の年齢・性別、トレーニング併用の有無などを考慮したメタ解析を実施した。

1993年以降に報告されたい143報を抽出

システマティックレビューとメタ解析のためのガイドライン(PRISMA)に準拠して、PubMed、Scopus、ISI Web of Scienceなどのオンラインデータベースに2023年7月までに収載された論文を対象として、発行日や言語の制限を設けず、網羅的な検索を実施。包括基準は、対照群を用いてクレアチン摂取が体組成に及ぼす影響を体重やBMI、体組成(脂肪量、体脂肪率、除脂肪量)をアウトカムとして、成人(18歳以上)を対象に評価した無作為化比較試験であり、介入期間が少なくとも4日間以上であること。除外基準は、基礎研究、介入を行っていない観察研究、レビュー論文、18歳未満が含まれている研究、無作為化されていない研究、比較対照群のない研究。

一次検索で4,831報がヒットし、重複削除後の3,590報をタイトルと要約に基づきスクリーニングを行い、298報を全文精査の対象として、最終的に172研究が含まれる143報を解析対象とした。

それらの報告は1993~2023年に発表されており、研究参加者数は6~109人で合計3,655人(介入群2,069人、対照群1,922人)であり、介入期間は4~365日。研究デザインは、並行群間比較試験が124件、クロスオーバー試験が19件。21件は女性を対象として、81件は男性を対象としていた。米国での研究が多く、そのほかに、英国、日本など、複数の国から報告されていた。バイアスリスクは「低」が111件、「高」が17件、その他は評価不能だった。

それではメタ解析の結果を紹介する。

クレアチン補給が成人の体組成に与える影響

体重やBMIへの影響

154研究の解析により、クレアチン摂取は体重の有意な増加と関連していて、異質性は認められなかった(加重平均差〈WMD〉0.86kg〈95%CI;0.76~0.96〉、I2=0.0%)。サブグループ解析では、クレアチンの体重に対する影響は、年齢、性別、トレーニング状態、介入期間、摂取用量、クレアチンの種類とは関係がないことが分かった。

一方、BMIに対しては有意な影響が観察されなかった(WMD0.20〈-0.17〜0.58〉、I2=0.0%)。

除脂肪体重への影響

95研究の解析により、クレアチン摂取は除脂肪体重の有意な増加と関連していて、異質性は認められなかった(WMD0.82kg〈0.57~1.06〉、I2=0.0%)。

サブグループ解析から、クレアチン摂取は、複合または筋力トレーニングの併用、および、クレアチン一水和物(CM)を使用した研究で、除脂肪体重を増加させることが示された。後者について具体的には、CMで介入した89研究ではWMD0.82kg(0.57~1.06)であるのに対して、その他の形態のクレアチンで介入した3研究はWMD0.91kg(-3.06~4.88)であり、非有意だった。異質性はいずれも観察されなかった(I2=0.0%)。

また、性別の比較では、男性(WMD1.20kg〈0.80~1.60〉)のほうが女性(WMD0.54kg〈0.03~1.06〉)よりも影響が大きい傾向が認められた。異質性はいずれも観察されなかった(I2=0.0%)。

体脂肪量や体脂肪率への影響

62研究の解析により、クレアチン摂取は脂肪量の有意な増加と関連していて、異質性は認められなかった(WMD-0.28%〈-0.47〜-0.09〉、I2=0.0%)。サブグループ解析から、クレアチンの摂取量が5g/日以上であること、トレーニングを行っていることが、体脂肪率の有意な低下と関連していることが明らかになった。

用量反応関係

クレアチンの摂取量と脂肪量(p=0.039)および除脂肪体重(p=0.008)との変化との間には、有意な用量反応関係があることがわかった。また、介入期間と体重の変化との間にも有意な関連が認められた(p=0.030)。

著者らは、「クレアチンの摂取は、介入期間が長い場合に、体重、除脂肪体重、体脂肪率にわずかに有意な影響を与える。これらの変化は、筋力トレーニングを併用した場合に顕著となる。また除脂肪体重増加は、女性よりも男性で大きいようだ。摂取プロトコルや年齢は、クレアチン摂取の有用性に影響を与えないようである」と総括している。

文献情報

原題のタイトルは、「Creatine supplementation protocols with or without training interventions on body composition: a GRADE-assessed systematic review and dose-response meta-analysis」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2024 Dec;21(1):2380058.〕
原文はこちら(Informa UK)

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