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書誌学分析からみたスポーツと栄養の近年の研究の傾向 引用の多い論文、頻出ワードなどが判明

スポーツと栄養に関する近年の研究の傾向を計量書誌学的に解析した論文が報告された。この領域の論文は過去10年で急速に増加し、とくに2019年以降に急増しているという。中国の研究者の報告。

スポーツ栄養の研究はどのように発展してきている?

アスリートの食事の重要性についての認識はかつてないほど高まってきている。しかしそれでもなお、わかっていないことが多く残されている。「アスリートは何を食べるべきか?」という質問の答えも、栄養士・管理栄養士、スポーツ科学者、医師などの専門家間で異なることもある。今回紹介する論文の著者らは、近年のスポーツと栄養に関する研究がどのように進歩してきているのかという点について、書誌学的なアプローチによって全体像の把握を試みた。

過去10年間の1万報の報告を解析

文献の特定には、Web of Scienceを用い2013年1月~2023年11月に収載された、英語で執筆されている文献(原著論文、レビュー、学会報告など)を対象として、エクササイズ、スポーツ、栄養、栄養士などのキーワードで検索。ヒットした1万4,883報を2人の研究者が独立してスクリーニングして研究の質を評価し、1万16報を解析対象とした。

全体的な傾向:報告数は近年急速に増え、米国発の研究が多くを占める

報告数の年次推移

報告された論文数の経年推移をみると、2013年から順に、628報、613報、689報、783報、788報、892報、1,043報、1,144報、1,294報、1,200報、942報と漸増しており、とくに2019年以降に大きく伸びていた。

国・機関別の報告数ランキング

1万16報のうち1万11報は計147カ国から報告されていた。国別にみた場合に一番多いのは米国で3,306報、次いで英国が1,042報、オーストラリア957報、カナダ782報、中国724報が上位5カ国だった。これらのほかに、スペイン、イタリア、韓国からの報告数が大きく増加していた。なお、本論文は前述のように中国の研究者によるものであり、中国発の論文数が米国などより少ないことについて、「英語論文のみを解析対象としたためではないか」と述べられている。

機関別では、6,152報が189機関から報告されており、カリフォルニア大学が254報でトップだった。以下、ハーバード大学が234報、ロンドン大学が203報、テキサス大学が165報、ノースカロライナ大学が147報だった。

共引用回数の上位論文:2位にサルコペニア関連の論文

2013年1月~2023年11月に報告された論文の中で、共引用回数が最も多い論文は、米国の栄養と食事のアカデミー(元・米国栄養士会)とカナダ栄養士会、米国スポーツ医学会による、栄養と運動パフォーマンスに関するレポートであり、(J Acad Nutr Diet. 2016 Mar;116(3):501-528)、共引用回数は199回だった。なお、共引用が多いことは、その論文の研究テーマが他の研究者が焦点を当てているテーマと関連性が強いことを意味する。

2位は欧州におけるサルコペニアの定義と診断基準(Age Ageing. 2019 Jan 1;48(1):16-31)で190回、3位は国際スポーツ栄養学会によるエクササイズとスポーツ栄養に関する推奨事項(J Int Soc Sports Nutr. 2018 Aug 1;15(1):38)の133回、4位は健康な成人におけるレジスタンストレーニングによる筋肉量と筋力の増加に対するタンパク質摂取の効果に関するシステマティックレビューとメタ解析(Br J Sports Med. 2018 Mar;52(6):376-384)の117回、5位は国際オリンピック委員会によるハイパフォーマンスアスリートのサプリメント摂取のコンセンサスステートメント(Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2018 Mar 1;28(2):104-125)の113回だった。

上位のバーストワード

2013年1月~2023年11月に報告された論文の文中で用いられる頻度の高い語彙である「バーストワード(burst words)」として、栄養調査(nutrition examination survey)、果物、過体重、体重増加、冠状動脈性心疾患、傾向(trends)、減少(reduction)、ヒト骨格筋(human skeletal muscle)、戦略(strategy)、食物摂取量、心肺フィットネス(cardiorespiratory fitness)などが頻出し、これらの研究分野への関心が高まっていることが示された。なお、論文中には上記以外、上位25の語彙が、最近のトレンドとともに示されている。

著者らは、「報告数などから、米国、中国、フランスがこの分野の三つの主要研究国として浮上している。先進国または著名な研究機関との協力は、スポーツと栄養の研究の進歩に有益と言える。それらの国や組織による論文は、ガイドラインとして報告されていたり、インパクトファクターの高いジャーナルに掲載されて、広く引用される傾向がみられた」とまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、「Research hotspots and trends in the relationship between sport and nutrition: A bibliometric analysis from 2013 to 2023」。〔Medicine (Baltimore). 2024 Apr 19;103(16):e37782〕
原文はこちら(Wolters Kluwer Health)

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