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サプリメント摂取と食事や栄養の認識レベルが関連 スペイン女子サッカー選手の調査報告

スペインのエリート女子サッカー選手を対象に、スポーツサプリメントの摂取状況と食事や栄養関連の認識との関連などを調査した結果が報告された。最もよく摂取されているサプリは最も優れた科学的エビデンスのあるサプリであること、サプリの摂取はふだんの食事での食品選択に関連のあることなどが示されたという。

サプリメント摂取と食事や栄養の認識レベルが関連 スペイン女子サッカー選手の調査報告

スペインのエリート女子選手対象の調査

この調査が実施されたスペインはサッカーの強豪国として知られており、女子サッカーの人気も上昇してきている。一般に女子アスリートは男子に比べてエネルギーバランスがマイナスになりやすい傾向のあることが知られているが、女子サッカーは体重が60kgの場合、1試合で約1,100kcal消費することもあるなど、とくに栄養ニーズへの対応が重要なスポーツ。

そのような高い栄養ニーズを満たす手法として、スポーツサプリメント(sports supplements;SS)の活用が役立つ可能性がある。アスリートのサプリ摂取状況についての研究は少なくないが、研究対象の競技や競技レベル、年齢などが異なれば結果も異なることが多く、解釈の一般化が困難。そこで今回紹介する論文の研究では、エリートレベルの女子サッカー選手に焦点を当てて調査を行い、年齢の影響に留意した解析が行われた。

調査の対象や手法

調査は2022年2~5月に、スペインの女子1部リーグ(プリメーラ・イベルドローラ)と2部リーグ(レト・イベルドローラ)で戦っている選手を対象に実施された。各クラブ経由でアプローチし、同意の得られた選手126人の回答が解析された。解析対象選手の年齢は24.6±4.2歳で24歳未満が62人、24歳以上が64人。全員が4年以上のプロ経験を有し、1部リーグの選手が20.6%、2部リーグが79.4%だった。

スポーツサプリメントの摂取状況に関するアンケートは、25人の専門家によって以前に開発され精度検証済みのアンケートを用いて、摂取の有無や摂取しているサプリの種類、摂取頻度・量・入手方法、効果の実感などを把握した。ふだんの食事における食品選択の決定要因については、食品の栄養特性、感情の影響、健康と食に関する知識、他者からの影響、体重管理、パフォーマンスなど9項目に関して、1点(完全な否定)から5点(完全な同意)のリッカートスコアで回答を得た。

スポーツサプリ(SS)摂取率、摂取理由、入手経路、摂取を勧める存在

サプリ摂取を勧めた人は「栄養士」との回答がトップ

全体の90.5%がスポーツサプリメント(SS)を摂取することに同意し、84.1%は実際に時々摂取しており、58.7%は習慣的に摂取していた。摂取品目数は、1部リーグ選手は4.2±3.2、2部リーグ選手は2.7±2.3であり、競技レベルの高い群のほうが有意に多くの種類のSSを摂っていた(p=0.008)。

SS摂取の理由は、スポーツパフォーマンス(68.3%)と健康(34.1%)を挙げた選手が多かった。入手経路はインターネット(34.9%)、専門店(23.8%)、栄養士経由(17.5%)などが多かった。SSの摂取を勧めた人は、栄養士が最多であり(56.3%)、そのほかにフィジカルトレーナー(26.2%)、チームメート(12.7%)などが挙げられた。

これらの質問の回答の多くは、年齢層(24歳未満/以上)による有意差はなかったが、唯一、SS摂取の理由として挙げられた「健康のため」は有意差があり、高齢層で多かった(40.6 vs 27.4%、p=0.045)。

習慣的にSSを摂取している選手はSSの効果を強く実感

次に、「サプリ摂取が結果につながったか」の質問のリッカートスコアをみると、全体の平均は3.7±0.9であった。

これを習慣的なSS摂取の有無で層別化すると、習慣的に摂取している選手のほうがスコアが高く、SSの効果を強く実感していることがうかがわれた(4.0±0.7 vs 3.2±0.9、p<0.001)。また、年齢で層別化すると、高齢層(24歳以上)では群間差がより強く認められた(p値が24歳未満は0.031であるのに対して24歳以上では0.001)。

強固なエビデンスのあるSSほど摂取率が高い

選手から挙げられた摂取しているSSを、オーストラリア国立スポーツ研究所(Australian Institute of Sport;AIS)によるABCD分類(Aは有効性を示すエビデンスのあるもの、Bは一定の条件下では有効の可能性のあるもの、Cはエビデンスが不足しているもの、Dは禁止物質)に分類すると、エビデンスの強固なSSがより摂取されていることが明らかになった。

例えばカテゴリーAのホエイタンパクの摂取率は30.2%、クレアチン一水和物は28.6%、カフェインは27.8%などであるのに対して、カテゴリーBのビタミンCは14.3%、カテゴリーCのBCAAは11.1%だった。

年齢で層別化して比較すると、カテゴリーAのうちホエイタンパクは高齢層でより多く摂取され(42.2 vs 17.7%、p=0.003)、スポーツバーは若年層でより多く摂取されていた(37.1 vs 18.8%、p=0.021)。

SSを利用している選手は、ふだんの食事をよく考えて食べている

ふだんの食事における食品選択の決定要因として調査された9項目の回答を、習慣的にSSを摂取している群(n=76)と摂取していない群(n=52)で二分し比較すると、以下の4項目で有意差が観察された。いずれもSSを摂取している群でリッカートスコアが高く、食品選択の際に考慮している選手が多いことがわかった。

栄養特性はSS摂取群が3.64±0.55、非摂取群が3.18±0.59(p=0.001)、健康や栄養に関する知識は同順に4.09±0.56、3.56±0.73(p=0.001)、体重管理3.82±0.71、3.40±0.82(p=0.008)、スポーツパフォーマンス4.46±0.52、3.81±0.83(p=0.001)。

文献情報

原題のタイトルは、「Prevalence of sports supplements consumption and its association with food choices among female elite football players」。〔Nutrition. 2023 Sep 27:118:112239〕
原文はこちら(Elsevier)

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