アスリートがスポーツ栄養製品に求める効果の1位は「筋肉の回復」、2位「持久力の向上」、3位は……
アスリートがスポーツ栄養製品に何を望んでいるかを調査した結果が報告された。「筋肉の回復の促進」が最も期待されていること、購入の際には栄養プロファイルや味などが重視されることなどが明らかになった。アイルランドからの報告。
世界の市場規模は400億ドル、年8.5%成長
スポーツ栄養関連の市場は急拡大しており、2021年時点で世界の市場規模は400億ドルであり、2022~2030年にかけて毎年8.5%のスピードで拡大していくと予想されるという。アスリートが栄養に期待することとしては、パフォーマンスの向上、回復の促進、体組成の改善などさまざまあると考えられ、実際の選択に際しては、生活している地域の文化や競技ごとの生理的要求、社会経済的要因などが考慮されると考えられる。
ただし、今後も急成長が見込まれるこのスポーツ栄養関連製品市場において、新たな製品を開発しようとする時、アスリートの好みや重視することをより詳細に把握する必要がある。この研究はこのような状況を背景として、オンライン調査による横断調査として実施された。
筋肉の回復の促進を期待し、栄養組成や味を重視して製品選択
調査対象は、何らかの競技スポーツを行っているアスリート、または週に2回以上何らかの身体トレーニングを行っている18歳以上の成人。スポーツ関連団体や体育施設を通じた告知や口コミ、ソーシャルメディアによって回答者を募集した。
調査対象アスリートの特徴
有効回答は405件であり、年齢は29±9(範囲18~64)歳、男性59.5%、競技スポーツアスリートが72.8%であり、週あたりのトレーニング時間は10.3±6.6時間。なお、競技アスリートは週あたり8.4±4.9時間の競技に特化したトレーニングに加えて、基礎的なトレーニングを4.5±4.0時間行っていた。
行っている競技は、サッカー、ラグビー、バスケットボールなどの断続的にダイナミックな動きを要する競技(random intermittent dynamic type sports;RIDS)が58.9%と多くを占めていた。その他は持久系が11.3%、格闘技が8.3%、水泳7.1%、ラケット6.7%、パワー系3.1%、ダンス1.5%など。
競技レベルは、世界大会レベルが10.5%、国内大会レベルが19.0%、地域大会レベルが24.8%、その他45.2%。
スポーツ栄養製品に期待すること
まず、スポーツ栄養製品を選択する際に期待する事がらの上位三つを選択してもらったところ、1位に挙げた人が最も多かったのは「筋肉の回復の促進」であり、3位までに挙げた人の合計人数もトップだった。次いで「持久力の向上」を1位に挙げた人が多く、これを3位までに挙げた人の合計人数は二番目に多かった。以下、「筋力・パワーの向上」、「筋骨格系の健康」、「免疫力のサポートと健康一般」が続いた。
1位 | 筋肉の回復の促進 |
2位 | 持久力の向上 |
3位 | 筋力・パワーの向上 |
4位 | 筋骨格系の健康 |
5位 | 免疫力のサポートと健康一般 |
なお、回答者の7割はトレーニング後に筋肉痛や筋肉のこわばりを頻繁に経験していると回答した。
現在のサプリ利用状況
現在サプリメントを利用しているのは58%だった。その半数強(52%)は健康目的での使用で、3分の1強(35%)はパフォーマンスや回復促進のためだった。前者の目的で最も多く利用されているのはマルチビタミン、後者の目的ではプロテインだった。
なお、サプリ以外の食品では、カフェインをパフォーマンスのために摂取している割合が33%だった。
購入の際に重視すること
スポーツ栄養製品を実際に購入する際に重視することを、1点(重要でない)~4点(極めて重要)の4段階で評価してもらい、その合計スコアの平均を算出すると、スコアが最も高い事項は「栄養プロファイル」の3.37±0.62点だった。続いて「味」が3.15±0.80点、「購入しやすさ」が3.09±0.72点、「摂取の簡便さ」3.02±0.80点、「価格」3.01±0.74点、「継続しやすさ」2.45±0.92点だった。
なお、週あたりのトレーニング時間が10時間以上/未満で二分すると、未満の群では「価格」をより重視するという有意差が認められた。その他の因子についてはトレーニング時間の多寡による有意差がなかった。
食品優先アプローチを重視しつつ、エビデンスに基づく新製品に期待
このほか、リカバリーのための製品、パフォーマンス向上のための製品など、摂取する目的別にアスリートが重視することや、好みの製品形態などの調査結果が示されている。概してアスリートは自然食品を重要視し、また形態として最も好まれるのはジュース/スムージーであることなどが明らかになった。
著者らは、本調査の回答者がサッカー、ラグビー、バスケットボールなどの選手が多いという偏りがある点を、研究の限界点の一つとして挙げている。そのうえで、スポーツ栄養における食品優先アプローチは、アスリートの目標達成のために不可欠であること、新製品の開発の現場には、とくに筋肉の回復、持久力、筋力強化に重点を置き、エビデンスに基づく機能性食品が期待されることを指摘している。
文献情報
原題のタイトルは、「Nutritional priorities, practices and preferences of athletes and active individuals in the context of new product development in the sports nutrition sector」。〔Front Sports Act Living. 2023 Feb 7;5:1088979〕
原文はこちら(Frontiers Media)