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大豆製品の摂取頻度が高い高齢女性はADL障害の発生リスクが低い 4年間の縦断的研究

75歳以上の日本人女性を4年間追跡した研究から、大豆製品の摂取量が多いほど、日常生活動作(ADL)障害の発生リスクが低く、交絡因子調整後もこの関連が有意であることがわかった。東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チームの小島成実氏らが行った縦断的研究によるもので、「Women's health reports」に論文が掲載された。

大豆製品の摂取頻度が高い高齢女性はADL障害の発生リスクが低い 4年間の縦断的研究

大豆製品で高齢女性のADL低下を防げる?

高齢化とともに日常生活動作(activities of daily living;ADL)が低下した人の増加への対応が社会的な課題となっている。高齢者のなかでもとくに75歳以上の女性は、同年齢の男性または75歳未満の女性に比べて、長時間の歩行や公共交通機関の利用などが困難になりやすい。実際にADLが低下している人の割合の高いことが、スポーツ庁「体力・運動能力調査」でも明らかになっている。

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スポーツ庁/令和3年度体力・運動能力調査結果の概要及び報告書について

高齢女性のこのようなADLの低下には、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が関与している可能性がある。一方、大豆に豊富に含まれており「植物性エストロゲン」とも呼ばれるイソフラボンは、エストロゲンレベルが低下した状態ではエストロゲン様の働きをする。大豆製品または大豆イソフラボンの摂取量と、婦人科系疾患リスクとの相関を示す研究結果も少なくない。ただし、それらの多くは横断的研究のため因果関係の解釈が制限され、とくに高齢女性のADL低下と大豆製品の摂取の関連を縦断的に検討した研究は限られている。これらを背景として小島氏らは、都内在住の高齢女性を対象とする以下の検討を行った。

ADL低下のない地域在住高齢女性を4年間追跡

東京都健康長寿医療センターのある東京都板橋区南東部の居住者から無作為に抽出した家庭に、健診と研究参加を呼び掛けるチラシを配布して、75~84歳の女性を募集。応募者1,289人の基本的ADL(basic ADL;BADL)や手段的ADL(instrumental ADL;IADL)を評価するとともに、食物摂取頻度調査票(food frequency questionnaire;FFQ)により大豆製品を含む食品の摂取頻度を把握した。

BADLの評価にはKatz Indexを用い、失禁についての項目を除いて、歩行、食事、入浴、着替え、トイレをすべて支障なく行える場合をBADL低下なしと定義した。IADLの評価には老研式活動能力指標を用い、公共交通機関の利用、日用品の買い物、食事の支度、金銭の支払いや管理をすべて支障なく行える場合をIADL低下なしと定義した。いずれも、何らかの項目に介助を要したり制限がある場合を、BADL障害またはIADL障害と判定した。

そのほかの交絡因子として、年齢、BMI、運動・喫煙習慣、既往症を把握した。また、大豆製品を除いた食事の多様性(partial dietary variety score;P-DVS)もスコア化して評価した。

4年間でBADL障害が7.8%、IADL障害は12.9%に発生

ベースライン時点の主な特徴は、年齢78.5±2.7歳、BMI22.7±3.3、既往疾患数2.2±1.4、大豆製品を除いた食事の多様性スコア(P-DVS)は4.9±1.8であり、現喫煙者または前喫煙者が9.9%、運動習慣のある人が31.8%だった。大豆製品の摂取頻度は、ほぼ毎日が67.1%、2日に1回が18.6%、週1~2回が12.2%、ほとんど食べないが2.2%だった。

ベースライン時点でBADL障害またはIADL障害の認められた人やデータ欠落者を除外した解析の結果、約4年(1,462.7±5.4日)の追跡でBADL障害の新規発生率は7.8%、IADL障害の新規発生率は12.9%だった。

大豆製品摂取頻度が低いほどBADL障害リスクが高い

解析結果に影響を及ぼし得る、年齢やBMIなどの前記の交絡因子を調整後、大豆製品の摂取頻度が低いほどBADL障害の新規発生リスクが高いという関係が明らかになった(摂取頻度の質問に対する回答のカテゴリー一つの違いでOR1.51〈95%CI;1.18~1.94〉、傾向性p=0.001)。

大豆製品の摂取頻度のほかには、年齢(1歳高齢であるごとにOR1.19〈同1.10~1.29〉)、既往疾患数(一つ多いごとにOR1.23〈1.06~1.44〉)が、有意な関連因子だった。

大豆製品摂取頻度が低いほどIADL障害リスクが高い

同様の解析で、大豆製品の摂取頻度が低いほどIADL障害の新規発生リスクが高いという関係も明らかになった(摂取頻度の質問に対する回答のカテゴリー一つの違いでOR1.37〈1.09~1.72〉、傾向性p=0.007)。

大豆製品の摂取頻度のほかには、年齢(1歳高齢であるごとにOR1.24〈同1.15~1.33〉)がリスクの高さと有意に関連のある因子として抽出され、一方、運動習慣のあることはIADL障害のリスクの低さと関連する因子として抽出された(OR0.47〈0.29~0.75〉)。

大豆イソフラボン、ビタミンK2、メラノイジンがADL低下を抑制?

著者らは、本研究には研究参加者がどのような大豆製品を摂取していたのかや、実際の摂取量が不明であることなどの限界点があるとしている。そのうえで、「大豆製品の毎日の摂取が、高齢日本人女性のADL低下予防につながる可能性が示唆された」と結論づけ、因果関係の確認のため介入研究が望まれると述べている。

なお、大豆製品摂取とADL低下抑制との関連のメカニズムについては、既報研究からの考察として、大豆イソフラボンおよびビタミンK2の心血管疾患や骨粗鬆症抑制作用のほかに、「味噌や醤油に含まれているメラノイジンには抗酸化作用、血管保護作用、整腸作用、抗がん作用の報告がある」とし、それがメカニズムの一部に関与しているのではないかとしている。

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of Daily Consumption of Soy Products on Basic/Instrumental Activities of Daily Living in Community-Dwelling Japanese Women Aged 75 Years and Older: A 4-Year Cohort Study」。〔Womens Health Rep. 2023 May 15;4(1):232-240〕
原文はこちら(Mary Ann Liebert)

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