スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2024 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

カナダの大学生アスリート295人の負傷率を、男性と女性で比較した前向き研究

女子大学生アスリートと男子大学生アスリートとで、シーズン中の怪我のリスクを比較した研究結果が報告された。カナダの研究者らによるもので、バイアスのかかりやすい後ろ向き研究ではなく、前向き研究であることが特徴。怪我が発生した場合の競技生活への影響などについても分析されている。

カナダの大学生アスリート295人の負傷率を、男性と女性で比較した前向き研究

アスリートの怪我

怪我によってトレーニングや競技会参加の機会が失われることは、アスリートにとって大きな負担となる。それは、トレーニングを十分に行えないことによるパフォーマンスの低下や競技レベルの低下という点だけでなく、心理的な面にもマイナスの影響が及びやすい。アスリートにとって怪我とは、しばしば容認することが困難であり、本研究の行われたカナダからは、怪我をした大学生アスリートは怪我のない同じチームの選手にはみられない、感情の混乱が観察されるという先行研究が報告されている。

大学のレギュラークラスで競技を行っているアスリートの76%が、シーズン中に何らかの怪我を負うというデータもある。性別で比較した場合、高校性では女子アスリートの受傷率は男子よりも高いという報告があり、大学生でもその可能性を示唆する研究もあるが、競技によって異なる可能性もあり詳細は不明。また、これまで行われてきたアスリートの受傷率に関する研究の大半は可塑的なデザインで研究されており、解釈に留意が求められる。

そこで本論文の著者らは、前向きデザインにより、大学生アスリートの怪我の実態を性別に検討した。

怪我のしやすさや受傷の影響は、競技別にみれば性別による有意差がみられる

この研究には、カナダの単一大学の学生295人(男子182人、女子113人)を対象に行われた。参加しているスポーツは、アイスホッケー、バスケットボール、サッカー、レスリング、バレーボールなどだった。1シーズン全体にわたって、怪我の発生、受傷部位、受傷に関連したその後のイベントなどが記録された。

主な特徴は、男子は年齢が21.0±2.3歳、BMI26.6±4.6、女子は20.7±2.3歳、BMI25.7±4.3で、全米大学体育協会(National Collegiate Athletic Association;NCAA)登録期間は男子・女子ともに2.4±1.3年。各チームに所属する運動学の学生が、チーム内のすべての選手の受傷を、シーズンをとおして記録する任にあたった。

全体的な受傷率は性別による違いなし

1シーズンをとおして全く怪我を負わなかった選手は93人(男子57人、女子36人)であり、その他の202人(同順に125人、77人)は、少なくとも1カ所以上の怪我が記録された。受傷の延べ件数は404件であり、98人は1カ所のみだったが、29人は2カ所が記録され、最高は6カ所(1人)だった。1カ所以上の怪我が記録された選手の割合は、男子が68.7%、女子は68.1%と、有意な差はなかった。

ただし、競技によって異なり、サッカーは男子の受傷率が女子より有意に高く、反対にレスリングでは女子の受傷率のほうが有意に高かった。ホッケー、野球、バレーボール、は差がなかった。

また、選手1人あたりの受傷件数も全体では性別による有意差はなかったが(ともに1.4件)、競技別にみるといくつかの競技で有意差が観察された。例えばホッケーは男性が2.1件、女性は1.5件、サッカーは同順に1.6件、0.6件であり、ともに男子のほうが有意に高値だった。反対にバスケットボールは女子2.4件、男子1.5件であり、女子のほうが有意に高値だった。

怪我が発生するまでの期間も全体では性別による違いなし

怪我のために欠場しなければならなかったイベントの数は、男性が4.8回、女性は5.4回で有意な差はなかった。ただし、ホッケーは男性が2.1回に対して女性は11.1回、バスケットボールは同順に3.1回、6.4回、バレーボールは4.3回、9.3回であり、女子のほうが多かった。

シーズンがスタートしてから怪我が発生するまでの期間は、男子は32.3%、女子は28.9%経過した時点であり、有意差はなかった。ただし、バスケットボールは男子が42.6%(67日)、女子は17.9%(28日)、バレーボールは同順に41.2%(65日)、8.8%(14日)で、女子のほうがシーズンの早い段階で怪我が発生していた。

サッカーとラグビーについては、シーズン中の最初の怪我が発生するまでの日数は、男子は15日、女子が16日で有意差がなかったが、女子のほうがシーズンが短いため、シーズンに占める割合では21.5%、35.8%となり有意差があった。

女子は脳震盪がシーズンの早い段階で発生しやすい

シーズンがスタートしてから怪我が発生するまでの期間を、怪我のタイプごとに性別で比較すると、筋肉や腱の損傷、骨折、脱臼、捻挫などについては有意差がなかった。唯一、脳震盪/頭部外傷のみ有意差があり、女子は男子よりもシーズンの早い段階で脳震盪/頭部外傷が発生していた。

女子が怪我をしやすいのではなく、スポーツ固有の要因が怪我のリスクに関与

これらの結果からの考察として著者らは以下のように述べている。

まず、「カナダの大学生アスリートにおいて、怪我の発生率やタイプ、怪我の影響などに、男子と女子とで全体的に有意な差がない。ただし、競技別にみた場合、多くの点で性別による有意差が観察された。この結果は、女子大学生アスリートが本質的に怪我をしやすいわけではなく、スポーツ特有の要因が男性アスリートと女性アスリートの怪我のリスクに異なる影響を与えていると考えられる」と考察。

そして、「陸上競技選手では怪我によるトレーニングを20%以上休むと、目標のパフォーマンスに到達する可能性が大幅に低下するとする報告がある」として、「これと同じことがほかの競技でも起こり得る」との推測を付け加えている。

文献情報

原題のタイトルは、「Do Female University Varsity Athletes Have a Greater Risk of Injury Within a Competitive Varsity Season?」。〔Int J Exerc Sci. 2023 Jan 1;16(6):129-147. eCollection 2023〕
原文はこちら(PubMed)

この記事のURLとタイトルをコピーする
志保子塾2024前期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ