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持久系アスリートは栄養素が不足しがち、特に炭水化物、ビタミンD、EPA/DHAに注意

持久系アスリートの栄養素摂取量を包括的に調査した結果が報告された。推奨量を満たしていない栄養素が多くみられ、とくに炭水化物やEPA/DHA、ビタミンDなどで不足が顕著だという。米国からの報告。

持久系アスリートは栄養素が不足しがち、特に炭水化物、ビタミンD、EPA/DHAに注意

持久系アスリートの栄養素摂取状況を包括的に評価

アスリートの栄養素摂取量については既に多くの報告があるが、本論文の著者によると、それらの研究は主要栄養素または微量栄養素などの一部の栄養素の摂取量を評価した研究が多く、包括的に評価したものは少ないという。また、包括的に評価した研究は、研究対象にさまざまな競技のアスリートが混在しているとのことだ。これを背景として著者らは、持久系アスリートの栄養素摂取量に焦点を絞り、かつ主要栄養素と微量栄養素の摂取量を包括的に評価した。

研究参加者は、米国内の持久系スポーツ団体に電子メールで連絡をとり、ソーシャルメディア上のアンケートへの回答に協力してもらうという方法で募った。適格基準は、地域ブロック以上のレベルで週に3日以上のトレーニングを行っている持久系アスリートであり、除外基準は18歳未満および本人が持久系アスリートと自認していないこと。

主な栄養素の摂取量

計95人の持久系アスリートが調査に回答した。女性47人、男性48人で、年齢は34.9±12.9歳、BMI23.6±3.8であり、91.6%が白人で、71.5%が学士または博士号取得者。競技については49.5%がランニング、24.2%がトライアスロン、18.9%は自転車、5.3%はボート、2.1%が水泳。約8割がテキサス州に居住し、他は米国内のその他の州だった。

食習慣の特徴をみると、全体の7.4%が菜食主義者であり、49.5%がサプリメントを使用し、66.3%は飲酒の習慣を有していた。また、64.2%に何らかの疾患があり、36.8%に薬剤の処方が行われていた。

栄養素摂取量は24時間思い出し法により評価した。回答の前日がふだんの摂取量と異なっていると参加者が報告した場合、日を改めて評価した。摂取エネルギー量は中央値2,283(四分位範囲1,655~2,826)kcalで、炭水化物の%エネルギーは同43.4(33.7~57.1)%、タンパク質は18.9(14.6~23.5)%、脂質は34.2(28.5~42.7)%、コレステロール286(138~462)mg、食物繊維27.5(19.5~36.9)gであり、これらのうち摂取エネルギー量(p<0.0001)とコレステロール(p<0.01)は性別による有意差が存在し男性のほうが多かった。

脂肪酸に関しては、リノール酸7.53(3.62~13.4)g、α-リノレン酸0.67(0.38~1.34)g、EPA0.00(0.00~0.1)g、DHA0.01(0.00~0.06)gであり、これらは性別による有意差はなかった。ビタミン・ミネラル類ではビタミンB12(p<0.001)と鉄(p<0.01)で、性別による摂取量の有意差がみられ、いずれも男性のほうが多かった。

栄養素別にみた摂取量が不十分なアスリートの割合

摂取量を満たしているか否かは、米国スポーツ医学会(American College of Sports Medicine;ACSM)の推奨値との比較で判定し、栄養素によっては米国の食事摂取基準(Dietary Reference Intake;DRI)や米国心臓協会(American Heart Association;AHA)の推奨値と比較した。その結果、大半の栄養素摂取量が推奨値を満たしていなかった。以下に、推奨値を満たしていないアスリートの割合を示す。

まず、摂取エネルギー量については、推奨量を満たしていない割合が76.8%だった。性別に見た場合にこの割合はほぼ同等(女性76.6、男性77.1%)で有意差はなかった。

主要栄養素については、炭水化物(推奨量は8g/kg)の推奨摂取量に満たない割合が95.8%に及んだ。タンパク質(同1.5g/kg)と脂質(推奨量は摂取エネルギー比で20~35%)はいずれも47.7%であり約半数だったが、このうちタンパク質に関して男性は25.0%と4人に1人であるのに対して女性は70.2%に及び、性別間の有意差があった(p<0.0001)。

脂肪酸については、EPA/ADA(推奨量は0.5g)の推奨摂取量を満たしていない割合が96.8%と極めて高かった。リノール酸(推奨量は50歳以下は男性17g、女性12g、51歳以上は同順に14g、11g)は75.8%で性別間の有意差がなく、α-リノレン酸(推奨量は男性1.6g、女性1.1g)は77.9%で男性のほうが満たしていない割合が有意に高かった(p=0.03)。

食物繊維(推奨量は50歳以下は男性38g、女性25g、51歳以上は30g、21g)は49.5%のアスリートが推奨量を満たしておらず、とくに男性でその割合が高値であり性別間に有意差があった(p<0.0001)。

このほかに推奨量を満たしていないアスリートが多い栄養素として、ビタミンD(推奨量は10μg)が93.7%と高値であり、反対にナトリウム(同1,500mg未満)は94.7%と大半が過剰摂取していた。

一方、推奨量を満たしていないアスリートの割合が比較的低い栄養素は、ナイアシン(9.5%〈推奨量は男性12mg、女性11mg〉)、鉄(11.6%〈推奨量は男性6mg、女性は50歳以下が8.1mg、51歳以上は5mg〉)、リン(18.9%〈580mg〉)などだった。

ビタミンB12(2μg)は、男性(22.9%)よりも女性(46.8%)のほうが推奨量を満たしていない割合が有意に高かった(p=0.02)。

最後に、水分摂取量(男性3.7L、女性2.7L)については、推奨量を満たしていない割合が女性は44.7%、男性は70.8%であり、男性で有意に高かった(p=0.01)。

大半の持久系アスリートが推奨量を満たしておらず、栄養士の介入が必要

結論として著者らは、「大半の持久系アスリートが、多くの主要栄養素と微量栄養素の要件を満たしていないことが示された。性別による違いは大きくなかった。これらの結果は血漿中濃度やメタボロミクスなどの客観的な指標で確認する必要があるが、栄養士による食事カウンセリングが、アスリートの適切な栄養素摂取やパフォーマンスの向上、回復、怪我の予防、健康増進に有益である可能性がある」と述べている。

また、より具体的に、「栄養士やコーチは、アスリートに対し全粒穀物、緑黄色野菜、果物、赤身肉、低脂肪牛乳や乳製品を豊富に含む、バランスのとれた食事を摂取するよう奨励する必要がある」と付け加えている。

文献情報

原題のタイトルは、「Nutrient Adequacy in Endurance Athletes」。〔Int J Environ Res Public Health. 2023 Apr 11;20(8):5469〕
原文はこちら(MDPI)

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