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8週間のβ-アラニン摂取で、男子バスケ選手の炎症反応が低下し最大無酸素パワーが増大

バスケットボール選手でのβ-アラニン摂取の有用性が報告された。8週間の介入でプラセボに比べて炎症マーカーの有意な低下と、最大無酸素パワーの有意な上昇が認められたという。ルーマニアの研究者らの報告。

8週間のβ-アラニン摂取で、男子バスケ選手の炎症反応が低下し最大無酸素パワーが増大

バスケットボールの特徴とβ-アラニンの可能性

バスケットボールは短距離スプリント、ジャンプなどの高強度負荷とともに、低強度の走行も含むマルチスプリントスポーツで、1ゲーム中に数キロメートル走行し、50回以上の垂直ジャンプの動作が行われる。試合中、最大に近い強度が発揮される時には、無酸素性の運動能力によってパフォーマンスが規定され、それ以外の比較的低い強度で活動中は、有酸素性能力に依存した回復が行われる。

一方、高強度運動は炎症反応を亢進させてパフォーマンスの低下や怪我のリスクを高めることが報告されている。それに対してβ-アラニンの摂取が炎症反応を抑制したり、骨格筋でのカルノシンレベルを高めて疲労を抑制する可能性が、in vitro研究または動物実験で確認されている。

これらを背景として本論文の著者らは、バスケ選手に対するβ-アラニンによる栄養介入が炎症マーカーやパフォーマンスへ及ぼす影響を検討した。

男子バスケ選手対象に無作為化並行群間比較試験

研究の対象は、20人の男性大学生バスケ選手。年齢は23±0.6歳、体重78.3±4.8kg、身長185.3±5.4cm、体脂肪率15.2±4.8%で、全員が大学リーグに向けてトレーニングを行っており、競技歴は5年以上。なお、研究参加前の3カ月間はクレアチンサプリメントを使用していないことを適格条件とした。

バスケのポジションに偏りが生じないように調整したうえで、無作為に各群10人ずつの2群に群分け。1群はβ-アラニン群、他の1群はプラセボ群とした。β-アラニンの用量は6.4g/日で、プラセボ群は同量のマルトデキストリンであり、両者ともに外観からは区別できないようにカプセルで支給した。なお、摂取タイミングは毎朝とトレーニング開始1時間前とした。介入期間は競技シーズン中の8週間だった。

評価項目は、下半身のパワーを評価するカウンタームーブメントジャンプ(countermovement jump;CMJ)、35m×6回の無酸素性スプリントテスト(running-based anaerobic sprint test;RAST)、トレッドミルによるVO2max、および、採血検査により炎症マニーカーのC反応性タンパク(C-reactive protein;CRP)と、免疫や炎症にかかわるインターロイキン-6(interleukin-6;IL-6)、乳酸値を測定。また、体組成の変化を評価した。

そのほか、食物摂取頻度調査票(food frequency questionnaire;FFQ)により栄養素摂取量を把握したうえで、栄養士が個別に面接し、基礎代謝量の1.55倍のエネルギー量の食事摂取を指導した。介入前と8週間の介入後の評価に際しては、それぞれの72時間前からの食事内容を一致させた。

β-アラニンでは炎症が抑制され一部のパフォーマンス指標が向上

結果について、まず栄養素摂取量をみると、介入前と介入後の主要栄養素の摂取量は群間に有意差がなかった。体重と体組成に関しても、両群ともに有意な変化がなく、群間差も非有意だった。

炎症マーカーはβ-アラニン群では有意に低下し、群間差も有意

次に血液検査関連では、β-アラニン群では炎症マーカーの有意な低下が確認され、プラセボ群ではCRPが有意に上昇。介入後の値に有意な群間差が生じていた。乳酸値には有意な変化がなく、群間差も非有意だった。炎症マーカーの変化の詳細は以下のとおり。

CRP

β-アラニン群が介入前0.83±0.08mg/dL、介入後0.70±0.03mg/dLで有意に低下(p<0.01)、プラセボ群は同順に0.84±0.09mg/dL、0.90±0.01mg/dLで有意に上昇し(p<0.01)、介入後の値はβ-アラニン群のほうが有意に低値だった(p<0.001)。

IL-6

β-アラニン群が介入前5.98±0.68pg/mL、介入後5.42±0.33pg/mLで有意に低下し(p=0.007)、プラセボ群は同順に6.14±0.42pg/mL、6.15±0.31で有意な変化がなく(p=0.21)、介入後の値はβ-アラニン群のほうが有意に低値だった(p<0.001)。

パフォーマンス指標にも有意な群間差

パフォーマンス指標に関しては、β-アラニン群でVO2maxが有意に上昇し、無酸素性スプリントテストでの最大無酸素パワー(RPP)がより大きく上昇していた。カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)は両群ともに有意な変化がなく、群間差も非有意だった。VO2maxとRPPの変化の詳細は以下のとおり。

VO2max

β-アラニン群が介入前58.1±0.87mL/kg/分、介入後60.1±1.37mL/kg/分で有意に上昇し(p=0.007)、プラセボ群は同順に58.5±0.52mL/kg/分、59.3±0.82で有意な変化がなかった(p=0.22)。介入後の値には有意差はなかった。

RPP

β-アラニン群が介入前862.1±33.3W、介入後881±45.7Wで有意に上昇し、プラセボ群も同順に850±5.12W、858.3±4.73Wで有意に上昇していた(いずれもp=0.002)。ただし変化率はβ-アラニン群のほうが有意に大きかった(p=0.001)。

以上の結果を基に論文の結論は、「8週間のβ-アラニン摂取は、男子大学バスケットボール選手のシーズン中の身体的ストレスに関連するCRPとIL-6の上昇を抑制した。炎症性サイトカインのこれらの変化は、β-アラニンが免疫調節のための有用な栄養戦略である可能性を示唆しており、かつプラセボに比較して嫌気性パフォーマンスも改善できることが示された」とまとめられている。

文献情報

原題のタイトルは、「Effect of 8-Week β-Alanine Supplementation on CRP, IL-6, Body Composition, and Bio-Motor Abilities in Elite Male Basketball Players」。〔Int J Environ Res Public Health. 2022 Oct 21;19(20):13700〕
原文はこちら(MDPI)

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